長崎県は日本が鎖国していた時代、西欧との唯一の窓口として、大きな役割を担ってきました。外国との交流によって、様々な歴史や文化、技術などが伝わった、異国情緒あふれる長崎県の、夏に行きたい観光スポット9つ紹介します。

美しい景観!高浜海水浴場

海

長崎県は日本で一番島が多い都道府県として知られています。中でも観光客に人気なのが、152の島々から成る五島列島。その南西部に位置する五島市には、日本で一番美しいと言われる「高浜海水浴場」があります。

日本一美しい砂浜でのんびりと!

日本一美しいと言われる高浜海水浴場は、五島市の福江島にあるビーチです。福江島は独特の歴史や文化が根付き、多様な自然にあふれた島で、1年を通して多くの観光客が訪れます。特に夏は、高浜海水浴場を目的に足を運ぶ観光客も多いのだそう。コバルトブルーに輝く海と真っ白な砂浜が広がる風景を見れば、高浜海水浴場を目的として訪れることにも納得がいくはずです。

少し離れて高浜海水浴場を眺めると、コバルトブルーに輝く海が、入り江に沿ってくっきりとしたグラデーションになっているのがはっきり分かります。その色と対照的な色を見せる白い砂浜はサンゴが砕けたもので、通常の砂浜よりも白いのが特徴です。海と砂浜の色合いが、お互いを一層引き立たせるこの景観は、日本の渚百選、日本の水浴場88選に選ばれました。

また、1日に2度、違った景色が楽しめるのも高浜海水浴場の魅力のひとつです。日中は日差しに照らされたコバルトブルーの海が、夕方になると夕陽に赤く染まります。ビーチの背後には日本の道百選に選ばれた国道384号線が通っており、ドライブスポットとしてもおすすめです。泳ぐのが苦手、という方もぜひ訪れてみてください。ぼーっと眺めているだけでもついつい時間を忘れてしまう、そんな絶景が広がっています。

頓泊海水浴場と魚籃観音展望所もおすすめ

高浜海水浴場は、毎年夏には多くの海水浴客で賑わいます。もう少しゆったりと海水浴を楽しみたい!という方におすすめしたいのが、高浜海水浴場のすぐ隣にある「頓泊海水浴場」です。地元でも穴場のビーチで、プライベートビーチのように人出が少なく落ち着いた雰囲気があります。海の透明度が抜群で波も穏やかなので、海水浴だけでなく、海辺を散策するのにもおすすめです。

また、高浜海水浴場から歩いて8分ほどの場所にある「魚籃観音展望所」にも併せて立ち寄ってみてください。元は大漁と海の安全を願って建てられたものですが、今では絶好のビュースポットとして人気の場所です。高浜海水浴場や頓泊海水浴場を含む、福江島西部の海が一望できます。コバルトブルーの海と白い砂浜、そして濃い緑に覆われた山の共演は、高い場所にある魚籃観音展望所からしか見られない風景です。

住所 長崎県五島市三井楽町貝津1054-1
電話番号 0959-84-3162(五島市三井楽支所)
アクセス 福江空港より車で約40分

中はひんやり!七ツ釜鍾乳洞

長崎県の西彼杵半島に位置する西海市は、リアス式海岸に囲まれ、漁業が盛んな地域です。そんな西海市にある「七ツ釜鍾乳洞」は、日本でも珍しい鍾乳洞として知られています。なぜ珍しいのかその理由はどんなことにあるのでしょうか。見どころとともに紹介します。

西日本随一の七ツ釜鍾乳洞

現在日本国内にある鍾乳洞は、今から約2億5000年前の古生代後期にできたものだと言われています。七ツ釜鍾乳洞が形成されたのは今から約3,000万年前の新生代で、比較的新しいため、発達段階の珍しい鍾乳洞です。1936年には天然記念物に指定されました。洞窟は全長1,500m以上あると言われていますが、現在一般公開されているのは250mだけです。

洞窟内のみどころのひとつが、入口から55mの地点にある「清水の滝」です。洞窟内にはいくつかの滝がありますが、清水の滝はその中で一番大きく、落差が6mあります。清水の滝は洞窟内で最も大きな広間「新世界」にあり、水の流れる音が周辺にこだまする様子はとっても幻想的です。

また、入口から100mの地点にある「親子地蔵」は、その名の通り親子が並んで立っているように見える鍾乳石で、石筍(せきじゅん)でできています。石筍とは、天井の割れ目から滴り落ちた石灰分が、たけのこ状に地面に積み重なってできたもので、天井から石灰分が滴り落ちる時に、天井に石灰成分が付着して、天井から地面に伸びる「つらら石」をつくります。このつらら石は1㎝伸びるのに100年かかると言われています。一方、地面に滴り落ちてできる石筍が成長するスピードは、天井の石筍の3倍から5倍の時間がかかるそうです。果てしない年月をかけてできた自然美が、間近で堪能できます。

小学4年生以上はぜひ地底探検ツアーに参加してみて!

全長1,500m以上ある鍾乳洞の中を、もっと見てみたい!という方は、ぜひ地底探検ツアーに参加してみてください。こちらは非公開部分の800mを見学できるコースで、小学4年生以上から参加できます。

一般的な見学コースは歩きやすいように整備されていますが、地底探検ツアーのコースはほとんど整備されていません。中にはしゃがんだりほふく前進したりして進む場所もあり、冒険気分が味わえます。また、七ツ釜鍾乳洞周辺は化石が多く発掘される場所です。地底探検ツアーでは、通常は見られない化石資料館の見学もできるので、お子さんの夏の自由研究のテーマにいかがでしょう。冒険気分を味わいながら、家族一緒に学べる観光スポットです。

住所 長崎県西海市西海町中浦北郷2541-1
電話番号 0959-33-2303
営業時間 4月~9月 9:00~18:00
10月~3月 9:00~17:00
アクセス 長崎空港より車で約1時間20分

川辺で水遊び!轟峡

長崎県の中央部に位置する諫早市は、有明海、大村湾、橘湾の3つの海に囲まれています。かつては長崎街道の宿場町や番所があり、交通の要所として重要な役割を果たしてきました。そんな諫早市にある「轟峡」は、夏におすすめしたいスポットです。

豊かな自然広がる轟峡

轟峡は、長崎県と佐賀県にまたがる多良岳にある渓流です。多良岳は標高996mの山で、修験場として開山されました。かつては西国三大修験場のひとつとして多くの修験者たちが、山中で修行を行ったそうです。その名残りで、現在でも山中には神社や寺院が存在しています。また、轟峡は多良岳の登山口のひとつになっており、渓流の見物客のみならず、多くの登山客が足を運んでいます。

轟峡は多良岳を水源としており、水源の森百選に選ばれました。大小30もの滝が連なる清流にはサワガニやカジカガエルが生息していて、夏には水遊びを楽しむ観光客の声が、周辺の森にこだまします。キャンプ場も併設されており、バーベキューが気軽に楽しめるのも魅力のひとつです。

渓流沿いには遊歩道が整備されており、いくつかの滝を見て回れるので、川のせせらぎを聞きながら散策を楽しんでみてください。まずは駐車場を兼ねた観光案内所に立ち寄って、地図を確認することをおすすめします。

おすすめの滝をピックアップ!

大小30もの滝が連なる轟峡ですが、その中のおすすめの滝をいくつか紹介します。ひとつめは、観光案内所から一番近くにある「轟の滝」です。その名の通り、轟くような水音が特徴で、水しぶきが舞い上がり、マイナスイオンを全身に浴びられます。また、耳鳴り岩と呼ばれる一枚岩も見どころになっています。耳鳴り岩は滝の音を反響させ、より立体的な音を聞かせてくれます。耳鳴り岩の前には足跡のマークがつけてあります。そこが一番良い音が聞こえるポイントだと言われていますので、ぜひ探してそこで聞こえる音を楽しんでみてください。

また、落差50mの迫力ある「楊柳の滝」もおすすめです。滝の近くまで行くこともできますが、すぐそばに道路が通っているので、車の中からも迫力ある滝が見られます。滝に虹が架かることがあるので、晴れた日にはじっくりと観察してみてください。

このほか、昇龍の滝、潜龍の滝、太龍の滝など、龍にちなんだ名前の滝があります。これらはその名の通り、まるで龍が優雅に水浴びをしているようでとっても幻想的です。気分転換や、次の日に備えてのエネルギーチャージに訪れてみてはいかがでしょう。

住所 長崎県諫早市高来町善住寺大山
電話番号 0957-22-8325(諫早観光物産コンベンション協会)
アクセス 長崎空港より車で約1時間

長崎の歴史を知るなら!福江島

長崎県は鎖国時代、西欧との外交が認められた唯一の場所でした。そのため、様々な外国の文化が持ち込まれました。そのひとつがキリスト教です。しかし、時の幕府が禁教令を出したことにより、隠れキリシタンと呼ばれる人々を生みました。五島市にある「福江島」も、多くの隠れキリシタンが暮らした島です。

福江島とキリスト教について

福江島を語る上で欠かせないのが、キリスト教の存在です。西欧との貿易を行っていた長崎県では、宣教師が日本に訪れたことにより、キリスト教信仰が浸透していきました。しかし、キリスト教の教えは、当時の幕府が掲げる思想や理念を揺るがす恐れがあったため、幕府は禁教令を出しました。キリスト教徒への迫害が厳しくなってから、長崎のキリスト教信者たちは、比較的迫害の緩い五島列島へ移り住むようになります。

五島列島を構成する島のひとつである福江島にも、多くのキリスト教信者たちが移り住みました。元々ここに暮らす住民たちに溶け込むように、普段は仏教徒を装ったと言われています。例えば、仏教式のお葬式をあげた後にそれを取り消すお祈りをしたり、見えない部分に十字架を施した仏像にお祈りをしたりと、今では考えられないほどの苦労を強いられていました。

その後明治時代になり禁教令が解かれると、福江島に五島列島初の天主堂が建てられました。それが「堂崎天主堂」です。県の有形文化財に指定され、現在では福江島の歴史にまつわる資料を展示する資料館として一般公開されています。福江島に行ったらぜひ訪れたいスポットです。

福江島と遣唐使について

遣唐使とは、630年から894年の間に日本が唐に派遣した使節です。遣唐使には、当時先進国であった唐の技術や文化、仏教を日本に伝える、という目的がありました。空海や最澄なども遣唐使として唐へ渡ったことは、社会の教科書で習った覚えがある、という方は多いかもしれません。

福江島は、その遣唐使が寄港した場所です。遣唐使について学びたい!という方は、道の駅「遣唐使ふるさと館」に立ち寄るといいでしょう。ここでは、遣唐使についてのアニメ上映や、資料の展示などを行っています。地元食材を使用したバイキングやお土産の販売も行っているので、ぜひ立ち寄ってみてください。また、五島市岐宿町にある遣唐使最後の寄泊地「魚津ヶ崎」は公園として整備され、夏にはひまわりが見頃を迎えます。

当時唐に渡るということは、とてもロマンにあふれるものでした。福江島のまわりに広がる海を眺めながら、目標に向かって旅立った遣唐使に、思いを馳せてみてはいかがでしょう。

住所 長崎県五島市
電話番号 0959-72-2963(五島市観光協会)
アクセス 長崎空港より福江空港まで飛行機で約30分

自然のクーラーでひんやり!白雲の池

雲仙岳の麓に位置する雲仙温泉は、長崎県屈指の温泉地として有名です。温泉から歩いて20分ほどの場所に、豊かな自然に囲まれた「白雲の池」があります。白雲の池周辺には絶景ポイントやキリシタンにまつわるスポットも。その魅力や周辺の観光情報を紹介します。

白雲の池は家族旅行の拠点としてもおすすめ!

雲仙温泉の街はずれにある白雲の池は、自然豊かな人工湖です。涼しい風が吹き抜ける白雲の池周辺は夏の避暑地として知られ、毎年多くの観光客が訪れます。また、キャンプ場が併設されているのも魅力のひとつです。白雲の池を囲む森には様々な野鳥や昆虫が生息しており、子ども連れのキャンパーに人気があります。家族みんなでバードウォッチングや虫捕りを楽しんでみてはいかがでしょう。

白雲の池は、池のほとりにそびえる「絹笠山」の登山口にもなっています。かつての絹笠山は羊や馬が放牧されるのどかな丘陵地だったそうです。明治時代には外国人旅行客の避暑地として人気になり、丘の上から夕陽が綺麗に見えることから「サンセットヒル」と呼ばれ親しまれました。その絶景は現在も変わらず、山頂からは夕陽のほか、赤い色に統一された屋根が特徴の雲仙温泉の街並みや、雲仙岳の山並みが一望できます。登山口から山頂までは整備された登山道を通って30分ほどで登れるので、親子一緒に登山を楽しむのもおすすめです。

また、絹笠山の山中には隠れキリシタンが残したのではないか?と推測されるキリシタン像が存在します。それが「天狗天使像」です。登山道には「金毘羅さん(天狗天使像)」と書かれた看板が立っているので、登山の際はぜひ立ち寄ってみてください。

長崎の歴史を感じる雲仙温泉

行基によって701年に発見された雲仙温泉は、温泉の噴気に包まれた「雲仙地獄」で有名な温泉街です。雲仙地獄の噴気によってつくられる茹でたまごは人気のグルメで、1つ食べると寿命が1年延び、2つ食べると2年長生きできる、と言われています。

今では観光地として賑わいを見せる雲仙地獄ですが、1600年代には多くのキリシタンがこの地で殉教しました。白雲の池周辺には、キリシタンの悲しい歴史を今に伝える遺構や石碑が点在しています。長崎県のキリシタン文化を学ぶには外せないスポットです。

住所 長崎県雲仙市小浜町雲仙字絹笠
電話番号 0957-73-2345
アクセス 長崎空港より車で約1時間10分

史跡巡りにもおすすめ!富川渓谷

諫早市を流れる本明川は、流域面積が長崎県で一番広い河川です。清らかな水は水田など生活用水に使用され、地域住民にとって必要不可欠なものになっています。そんな本明川の支流にあるのが、美しい渓谷美が楽しめる「富川渓谷」です。

富川渓谷の見どころをご紹介!

富川渓谷は、諫早市街地から車で30分ほどの場所に位置する渓谷です。夏には新緑が美しく、涼を感じられるスポットとして多くの観光客で賑わいます。特に、渓谷の水の流れと岩を利用した天然の滑り台は迫力あるアクティビティーで、子どもはもちろん大人にもおすすめです。

富川渓谷に行ったら、ぜひ「森の吊橋」に立ち寄ってみてください。長さ30m、幅1.5m、高さは10mもあります。床板は木でできていて、隙間から川が見えるスリル満点の吊橋です。橋の上からは、新緑に包まれた渓谷が一望できます。足元に気をつけて、ゆっくり渡ってくださいね。

また、富川渓谷には1棟6人まで宿泊できるバンガローが整備されており、キャンプにもおすすめです。寝具のほか、キッチン用品やシャワーなど、必要最低限のものが備わっているので、キャンプに慣れていない方でも安心して過ごせます。ただし、バンガローは3棟のみなので、早めの予約がおすすめです。

富川渓谷一のパワースポットはお見逃しなく!

富川渓谷が位置する本明川の水は、飲料水や水田などに利用される、人々の暮らしに欠かせないものです。しかし、かつて本明川は何度も洪水を引き起こし、流域に甚大な被害をもたらしました。特に、1699年の洪水では約500人もの人々が命を落としたという記録が残っています。その翌年には逆に、大干ばつを起こすなど天災が続いたことから、富川渓谷には洪水被害者の供養と、地域の安寧を願って「大雄寺」が建てられました。

大雄寺の壁面や渓谷の岸壁には、510体の「五百羅漢」が刻まれています。五百羅漢とは、お釈迦様が亡くなった時に集まった500人の弟子のことです。1709年に完成した大雄寺の五百羅漢は、欠け落ちることなく全て現存しています。一体一体が違った姿や仕草をしており、とても生き生きしています。

川のせせらぎや野鳥の鳴き声、そして新緑に包まれた夏の五百羅漢は、より一層神秘的なものに感じられます。まるで異世界に迷い込んでしまったかのような雰囲気が、五百羅漢周辺には漂っています。

住所 長崎県諫早市富川町932-1
電話番号 0957-22-1500(諫早市農林水産部林務水産課)
アクセス 長崎空港より車で約30分

鯉が優雅に泳ぐ姿で涼を感じる!四明荘

島原城の城下町として栄えた島原市内は、武家屋敷や美しい水路など、当時にタイムスリップしたかのような景観が残る街です。邸宅「四明荘」は、そんな島原市内を通る島原鉄道島原駅から徒歩15分ほどの島原市新町にあります。

四明荘の庭園は必見!

四明荘は、明治時代後期に開業医の伊東元三氏の別邸として建てられました。建物の周囲を囲む庭園は、昭和初期に中国の僧侶を招いて作庭されたもので、正面と裏手には池がしつらえてあります。透明度の高い綺麗な水が張られた池には、色とりどりの鯉が泳ぐ日本らしい風景が広がっており、外国人観光客にもおすすめです。

「四明荘」という名前は、東西南北四方の眺めが良いことからつけられました。特に、正面と左側の縁側は庭園に飛び出すようにつくられています。そのため、座敷から庭園を眺めると、まるで座敷と庭園が一体になっているように見えます。また、庭園を眺める時にはぜひ縁側に座って眺めてみてください。庭園は縁側に座った時一番美しく見えるように設計されているので、立って見た時とはまた違った景観が楽しめます。

梅雨や台風などで悪天候の多い夏ですが、そんな時こそ四明荘がおすすめです。雨の雫が池に落ちて水面に広がる波紋、新緑の木々に滴る水滴など、雨の日だからこそ見られる風景があります。座敷では島原の湧水で淹れたお茶をいただけるので、ほっと一息つきながら雨の日ならではの景色を眺めてみてはいかがでしょう。

湧水が育む景観とスイーツ

四明荘のある島原市は、別名「水の都」とも呼ばれています。1792年に起きた地震によって、島原市内では地割れが発生し、地下水が噴出しました。それ以降島原市内のいたるところで湧水が湧出するようになり、中でも新町周辺は地面を50㎝も掘れば湧水が出てくると言われています。
かんざらし

四明荘の庭園の池もその湧水を利用しており、1日3,000トンの湧水が流れ込んでいるそうです。また、四明荘のある新町には水路が整備されており、生活用水として使用されています。この湧水で冷やした甘味「かんざらし」は島原のご当地スイーツです。島原市内にはこのかんざらしを提供するお店がいくつかあり、お店によって大きさや味が異なります。街中を散策しながら、かんざらしの食べ比べを楽しむのもおすすめです。

住所 長崎県島原市新町2丁目
電話番号 0957-63-1121
営業時間 9:00~18:00
アクセス 長崎空港より車で約1時間20分

8.歴史を後世に伝えていくために…長崎原爆資料館

人類の歴史の中で、決して忘れてはいけない1945年の8月9日。原爆の投下により、長崎県では多くの人が命を落としました。「長崎原爆資料館」には、8月9日にあった出来事、その後に発覚した被害、そして今後の原子力の在り方についての資料が展示されています。

1945年8月9日

1945年8月9日、太平洋高気圧に覆われた長崎県は、晴天の夏らしい1日を迎えました。長崎市にある浦上天主堂では、8月15日の祝日に向けて告解が行われ、多くの信者たちが足を運んでいたと言われています。長崎市内に暮らす人々が、各々の活動をはじめ数時間経った11時2分、長崎市松山町171番地の上空500mで突如閃光が周囲を覆い、数秒後に轟くような爆音が響き渡りました。

1950年の発表によると、当時の長崎市に暮らしていた約24万人のうち、約7万4000人が亡くなりました。その人数には、8月9日に浦上天主堂で祈りをささげていた教徒全員が含まれています。浦上天主堂は爆心地から近く、建物は全壊しました。

長崎原爆資料館では、原爆による被害をはじめ、なぜ原爆が投下されるに至ったのか、核兵器開発の歴史にまつわる資料などを展示しています。

今後の世界平和のために…

長崎原爆資料館の常設展示室は4つにわかれており、ひとつ目のブースには8月9日の出来事についての資料が展示されています。特に見ておきたいのが、11時2分で止まった時計です。強風や熱によってひしゃげた時計は、一瞬にして多くの命や生活が失われたことをよく表しています。

また、ふたつ目のブースでは被爆した浦上天主堂の側壁やロザリオ、投下後の写真などを展示しており、中でも長崎に落とされた原爆「ファットマン」の模型は見どころのひとつです。資料館をリニューアルした際に現物と同じ色をつけられたファットマンは、とても大きく、おどろおどろしい風貌をしています。このひとつの爆弾が、長崎の街を一瞬にして焼け野原にしてしまったのです。3つ目のブースでは原子力の歴史、原爆投下までの経緯についての説明、4つ目のブースではビデオの放映が行われています。

今では人気観光地となった長崎県ですが、70年ほど前には悲惨な出来事があったのです。8月9日ここで何があったのか、そして今後の世界は戦争や原子力問題とどう向き合っていくべきなのか、ぜひ考えてみてください。

住所 長崎県長崎市平野町7-8
電話番号 0958-44-1231
営業時間 4月、9月~3月 8:30~17:30
5月~8月 8:30~18:30
8月7日~9日 8:30~20:00
アクセス 長崎空港より車で約40分

世界遺産に登録!当時の産業を体感できる軍艦島

軍艦島

「明治日本の産業革命遺産」のひとつとして世界遺産に登録された「軍艦島」は、正式には「端島」と言います。軍艦島という通称は、コンクリートの壁で覆われた島の姿が軍艦「土佐」に似ていることからつけられました。その歴史や魅力を紹介します。

端島の繁栄と衰退

端島が注目を浴びるようになったのは、1810年のことです。石炭が発掘され、1890年には三菱社が権利を買い取り、長崎県有数の本格的な炭鉱として開発が進みました。徐々に石炭の出炭量が増加し、作業員やその家族が島内に移り住んだため、昭和の中頃には、この小さな島に5,000人以上が暮らしていたと言われます。その密度は東京都の人口密度の9倍もあったそうです。

人口の増加により、島内には学校や病院、娯楽施設などが続々と建てられました。どんどん暮らしやすくなっても水の確保は難しく、常に節水を心がける生活だったようです。また、衛生環境の悪化で赤痢が発生したり、建物が密集しているため、火災で病院や学校が焼失したりするなど、問題も多く発生しました。そもそも、炭鉱での作業は危険を伴う肉体労働です。爆発や落盤事故が起きる可能性も少なくありません。働く作業員はもちろん、その家族も常に危険と隣り合わせ。それでも、島民たちは家族同然の関係を築き支え合って生活を営み、端島は栄えていきました。

繁栄を極めた昭和、世界の主要なエネルギーが石炭から石油へと変わったことにより、端島は衰退の一途をたどります。1974年には閉山し、当時島に残っていた2,000人余りは一斉に島を出ました。約100年続いた端島の繁栄は終わりを迎え、廃墟の無人島と化したのです。

そののち長崎市の所有となった端島は、2000年代はじめのインターネットの普及や、廃墟ブームにより「軍艦島」の名で再び注目を集めるようになりました。そして保存活動や支援が行われ、「明治日本の産業革命遺産」のひとつとして、世界遺産に登録されることになりました。

軍艦島に上陸できる?!

現在、軍艦島に上陸できる観光ツアーがいくつか存在し、それぞれ違った特徴や魅力を持っています。中でもおすすめなのが「軍艦コンシェルジュ」のツアーです。このツアーの最大の魅力は、元島民の方がガイドしてくれること!当時の暮らしぶりや当時の出来事など、軍艦島で暮らした人にしか語ることができない貴重な話を聞くことができます。

また、軍艦コンシェルジュの集合場所である常磐ターミナルにある「軍艦島デジタルミュージアム」にも併せて立ち寄ってみてください。現在は公開していない島内の一部をVRで体験できるコーナーや、炭鉱時代の写真の展示などがあります。軍艦島についてもっと知りたい!という方におすすめです。

住所 長崎県長崎市高島町端島
電話番号 0958-29-1314(長崎市観光推進課)
営業時間
アクセス 長崎港や常磐ターミナルよりツアー船に乗り約40分

長崎県へ「学ぶ」旅に出かけてみませんか?

長崎県には、涼を感じられるスポットや、この土地ならではの歴史を学べる史跡や遺構がたくさんあります。夏の休暇に旅行を計画している方は、今回紹介したスポットを参考に、長崎県へ出かけてみませんか?普段の旅行とは一味違った、「学び」のある旅が楽しめるはずです。