金引の滝

国内有数の観光名所であり、国内外から多くの観光客が訪れる京都府は、どこも混雑していて落ち着いて回ることが難しい、と感じたことのある方は多いのではないでしょうか。
混雑や渋滞に煩わされることなく、ゆっくりと京都旅行を楽しみたい方のために、夏ならではの自然美や、涼を感じながら観光を楽しめるスポットを紹介します。
実のところ京都市は盆地という地形上夏は暑さが厳しく、桜や紅葉の季節に比べ観光客が少なくなります。そのため、人ごみが苦手な方には持ってこいの時期かも知れません。
涼を体感できるスポットで、暑さを忘れて京都の夏の風物詩を十二分に堪能してみてはいかがでしょうか。

最寄りの空港:伊丹空港

住所:大阪府豊中市蛍池西町3-555
電話番号:06-6856-6781
公式HP:https://www.osaka-airport.co.jp/

伊丹空港~京都駅まで空港リムジンバスで約50分
伊丹空港~京都まで電車・モノレールで約70分

伊丹空港の詳細はこちら⇒伊丹空港発着

涼感を誘う、日本の名瀑「金引の滝」

京都府北部の宮津市にある「金引の滝(かなびきのたき)」は、天と地をつなぐ自然美の原点と評価され1990年に「日本の滝100選」に選定された名瀑です。
巨石をなでるように流れ落ちるさまは天然のカーテンのようと表され、涼を求める人々から憩いのスポットとして親しまれています。
また鬱蒼と生い茂る緑と澄みきった水のコントラストから漂う神聖な雰囲気は、夏の暑さで火照った体を冷やしてくれます。
「金引の滝」は日本三景に数えられている「天橋立」の近くにあるため、2箇所併せて観光を楽しむのもおすすめです。
敷地内には駐車場の完備しているため、車でも行くことができます。

京都で唯一選定された日本の滝100選の一つ

「金引の滝」は、京都で唯一日本の滝100選に選ばれた落差約40m、幅約20mの名瀑です。
「金引の滝」は三段構造になっていて、下流から「白龍(はくりゅう)」、「臥龍(がりゅう)」、そして「金引」の三つの滝があり、この三滝を総称して「金引の滝」と呼ばれています。
「金引」は巨石の岩肌を左右に分かれるように流れ落ち、岩の右側は「男滝」、左側は「女滝」と称されています。

一年中豊かな水量を誇り、迫力満点

「金引の滝」は一年を通じて水量が多く、季節に関わらず勢いのある景観を楽しむことができます。
木々の間から指す日の光に照らされて、滝壺付近に虹がかかっているのを見かけることもあります。
毎年7月最後の日曜日に「金引の滝まつり」が催され、勢いよく流れる滝を背景に巫女舞や、火の滝太鼓などの奉納が行われます。

滝つぼがなく、滝の根元で涼を感じることができる

「金引の滝」は、滝つぼがなく滝の根元まで近づくことができる珍しい滝です。
滝の周辺には遮るものがなく、流れ落ちる水に触れられるほど間近で涼を感じることができます。
付近にはベンチが設置されていて自然のシャワーを浴びながら、静かな時間を過ごせるのも魅力の一つです。
時間帯によっては貸し切り状態になるタイミングもあり、この流麗な清流を独り占めできるのは贅沢の極みと言えます。

住所 〒626-0034
京都府宮津市字滝馬
電話番号 075-414-4706
営業時間 散策自由
アクセス 京都駅より京都丹後鉄道宮福線 特急はしだて号 乗車
宮津駅から路線バスで約11分(「金引の滝口」下車)
車の場合、京都縦貫自動車道、宮津天橋立IC下りて5分

自然美とスリルを体感!「保津川下り」

保津川下りは、亀岡から嵐山までのおよそ16kmの渓流を約2時間かけて下る舟下りです。
船が激流の中を巨石の合間を縫うように進んでいくので、渓谷美とスリルを同時に体感することができます。
景観のみならず、船頭さんの竿さばきやユーモア溢れるトークも魅力の一つです。
運行スケジュールは、保津川遊船企業組合のホームページで確認することができます。

400年以上の歴史がある川下り

かつてこの川下りは、保津川の流れを利用して、物資や人を輸送するために始まったものでした。
その歴史は京都に都が造営される以前に遡ります。主に寺院の建設に必要な資材である木材を輸送するため保津川を利用していました。
戦後の昭和23年頃までこの水運によって物資が輸送されていましたが、交通網の発達により次第に使われなくなりました。
しかし、明治28年頃から保津川峡谷の美しい自然を人々に広めるべく、遊覧目的という新たな形で川下りが始まり、現在も多くの観光客に親しまれています。

変化に富んだ流れの中、時折受ける水しぶきが暑さを忘れさせてくれる

保津川は幾重にも蛇行していて、巨石の間や大きな高低差のある箇所など変化に富んだルートを下っていきます。
時折受ける水しぶきは、夏の厳しい暑さをしのぐにはぴったりです。
ただし、船内には水除シートが用意されていますので、過度に濡れる心配はありません。
また、間近に迫ってくる山々の新緑も初夏の爽やかな涼をもたらしてくれます。
川下りも終盤というところで、「琴ヶ瀬茶屋」と呼ばれる船が川下りの船に横付けされ、おでんや天ぷらなどの食事や飲み物を販売します。ここで買ったものを食べながら渓谷美を楽しむことができるのも保津川下りの魅力になっています。

新緑やツツジなどの初夏ならではの保津川峡谷の景観が楽しめる

保津川下りの楽しみは何と言ってもその景観の美しさです。
春の桜、夏の新緑やツツジ、秋の紅葉など季節の移り変わりとともに景色が様変わりするので、川下りには季節ごとの楽しみ方があります。
ちなみに、冬は座敷暖房船での運航となるため寒さを心配する必要はありません。

嵯峨野観光線鉄道のトロッコ列車

また、保津川下りと並んで人気のある嵯峨野観光線鉄道のトロッコ列車が、保津川沿いを走る姿を見られる点も見どころのひとつです。

住所 621-0005
京都府亀岡市保津町下中島2
電話番号 保津川遊船企業組合 0771-22-5846
営業時間 9:00-17:00
アクセス JR京都駅より嵯峨野線でJR亀岡駅 下車 徒歩8分

京の夜を彩るライトアップ。
「高台寺」の夜間特別拝観

京都府東山区にある高台寺は豊臣秀吉の菩提を弔うために、秀吉の正室であるねねが建立した禅寺として知られ、境内には重要文化財に指定されている建物が数多く存在します。
ここでは毎年期間限定の夜間特別拝観が行われていて、通常は入れない夜の時間帯に境内を拝観することができます。
境内の至るところに色とりどりのライトアップが施され、昼間の高台寺とは異なる美しい景色が見られます。
七夕会や橙明会、百鬼夜行展など夏ならではのイベントも数多く開催されます。

「臥龍池(がりゅうち)」に映し出されるアオモミジや竹林が神秘的

夜のライトアップで特に見どころとなるのは、「臥龍池(がりゅうち)」と竹林です。
水鏡と言われるほど静かな水面に青々とした新緑を映し出す臥龍池は、息を呑むほど美しく、思わず目を奪われてします。
また光に照らされた竹林は神秘的で、周辺に漂う凛とした空気が暑さを忘れさせてくれます。
「臥龍池」は夏に限らず、桜や紅葉の時期も大変多くの旅行客で賑わいます。

現代的アート プロジェクションマッピングも人気

夏に行われる高台寺のイベントの中で、注目を集めるのが3Dプロジェクションマッピングです。
毎年夏に境内の「波心庭」で開催される「百鬼夜行展」では、ユーモア溢れる妖怪たちが、音楽に合わせて砂波の庭園に映し出されます。
高台寺が所蔵する「百鬼夜行絵巻」や「地獄太夫の掛軸」が、夏の時期限定で特別展示されます。
「百鬼夜行」とは、様々な怪異なものや捨てられた道具などが、鬼や妖怪に化けて夜な夜な行列を成しながら徘徊するさまのこと言い、道具も生き物と同様、魂が宿っていて大切に扱わなければならない、というメッセージが込められているといわれています。

春・夏・秋の季節折々の情緒溢れる景観が魅力

国の史跡・名勝に指定されている高台寺庭園は、境内の中でも圧巻の景色が広がっています。
歴史的建造物と桜、新緑、紅葉と季節ごとに様変わりする自然の美しさは、一年を通して楽しめます。
春と秋にも夜間のライトアップが施され、多くの旅行客が訪れます。

住所 〒605-0825
京都市東山区高台寺下河原町526番地
電話番号 075-561-9966
営業時間 9:00〜17:30 (17:00受付終了)
ライトアップ ※特別期間のみ
日没後点灯〜22:00 (21:30受付終了)
アクセス JR京都駅 奈良線 →JR東福寺駅 京阪本線 →京阪祇園四条駅 下車徒歩10分

暑さも穢れも祓う!下鴨神社の「みたらし祭」

下鴨神社

世界遺産に登録されている京都最古の神社の一つ「下鴨神社(しもがもじんじゃ)」は、歴史と伝統溢れるパワースポットです。
鴨川の下流に位置していることから「下鴨神社」と呼ばれていますが、正式名称を「賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)」といい、かの「源氏物語」や「枕草子」にも登場する古くから有名な神社です。
長寿、縁結び、安産など多くの御利益があるとされ、老若男女を問わず大勢の観光客が訪れるスポットです。

京都の夏の風物詩を世界遺産で体験できる

「下鴨神社(しもがもじんじゃ)」は、1994年に世界遺産「古都京都の文化財」の1つとして指定されました。
「糺の森(ただすのもり)」と呼ばれる参道は、樹齢およそ200~600年の原生林で囲まれ、現実世界から切り離されたような神聖な雰囲気を醸し出しています。
この参道を抜けると、国宝や重要文化財に指定されている建造物が至る所にあるほか、日本の国歌「君が代」の歌詞に登場する「さざれ石」を見ることもできます。
この神社では年間を通じて様々な祭典が行われていて、夏には京都府ならではの風物詩を体験することができます。

炎天下でもひんやりと冷たい御手洗池に足を浸したまま、ろうそくを祭壇に供えて無病息災を祈る

毎年土用の丑の日に、下鴨神社境内にある御手洗池において「みたらし祭」(別称:足つけ神事)が行われます。
このお祭りは、京都の夏の風物詩の一つになっており、御手洗池に足を浸し、祭壇までゆっくりと進んで無病息災を祈りながら燭台にろうそくを供えます。
これは、古代より伝わる季節の変わり目に人々が罪や穢れを祓った、伝統的な禊ぎの風習に由来しています。
池の清水は非常に冷たく、夏の暑さを忘れてしまうほど。
不思議なことに土用の頃になると、池から清水が湧き出し、池底から玉のような泡が吹き出すと言われています。
夕刻になると灯されたろうそくが池の水面に映し出され、幻想的な雰囲気が漂ってきます。

発祥の地でいただく「みたらし団子」は絶品

下鴨神社は「みたらし団子」の発祥の地としても知られています。御手洗池の池底から吹き出す水泡をかたどったのが、みたらし団子の始まりと言われています。
下鴨神社の程近くにある大正11年創業の「加茂みたらし茶屋」では、まさに元祖のみたらし団子をいただくことができます。
竹串に刺さった5つの団子は五体を意味し、串先の団子を頭部、その他4つを胴体に見立てています。
下鴨神社に立ち寄った際は、ここでしか味わえない京都名物「みたらし団子」をぜひお試しください。

住所 〒606-0807
京都市左京区下鴨泉川町59
電話番号 下鴨神社 075-781-0010
営業時間 2020/7/23(木・祝)〜8/2(日) 9:00〜21:00
アクセス JR京都駅からの乗り継ぎ→JR奈良線:京都駅~東福寺駅→乗り換え(京阪:出町柳駅行き)→京阪東福寺駅~出町柳駅→徒歩12分:下鴨神社

夏季限定の本格抹茶かき氷 「中村藤吉 本店」

お茶の産地京都の宇治市に所在する「中村藤吉 本店」は、圧倒的な歴史と知名度を誇る日本茶専門店です。
創業以来の伝統を受け継ぎながら真摯に研鑽に努めた同店は、現在銘茶に加え、お茶の魅力を最大限引き出したデザートや食事も提供しています。
京都には抹茶を使用した甘味処は数あれど、「中村藤吉 本店」は本物の美味しさを求める人々で平日でも行列ができるほどの人気を誇っています。

160年以上の歴史を持ち、茶処宇治を代表する日本茶専門店

安政6年の創業からおよそ160年もの長きに亘って、茶業ひとすじで営んできた「中村藤吉 本店」は、世代を超えて愛され続けています。
煎茶や玉露などそれぞれ本来の美味しさを追求し、上質な味わいにこだわってきた「中村藤吉 本店」の日本茶は、大正天皇の御大典の際の御茶として献納されました。
また、今でも残る明治期から守り続けてきた風格ある屋敷では、和の風情を感じながらお茶を楽しむことができます。
店舗の場所がJR宇治駅から徒歩1分というアクセスの良さも魅力の一つです。

抹茶、ほうじ茶、抹茶&ほうじ茶、抹茶黒蜜の4種のシロップから好きなものを1つ選んで自分でかけて食べられるかき氷

宇治きん氷

夏季限定で登場する「宇治きん氷」は、「中村藤吉本店」ならではの抹茶やほうじ茶の香りとうまみを堪能できるかき氷です。
きめ細かい氷にソフトクリームや白玉、大納言の小倉がトッピングされており、シロップは抹茶、ほうじ茶、抹茶&ほうじ茶、抹茶黒蜜の4種から好きなもの選ぶことができます。
このシロップは自分で後からかけることができるため、甘さ加減を自分好みに調節できる楽しみもあります。

歴史ある建物は重要文化的景観に選定

「中村藤吉本店」の建物は、2009年宇治の文化的景観を形成する建物の一つとして、「重要文化的景観」に選定されました。
明治・大正期の製茶工場を、柱や梁などの建物の構造を残したまま内装を改修し、モダンなカフェにしたことで、老若男女問わず多くの来訪客で賑わっています。
店舗の暖簾をくぐると優美な日本庭園が広がり、圧倒的な存在感を放つ樹齢約250年の宝来船松が来客を迎い入れてくれます。
また、店舗敷地内にある茶室「瑞松庵」では、挽き茶体験ができるようになっていて、抹茶と季節に合わせたお茶菓子を楽しむことができます。

住所 京都府宇治市宇治壱番10
電話番号 0774-22-7800
営業時間 11:00〜17:00(ラストオーダー 16:15)
アクセス JR京都駅JR奈良線「宇治」駅から徒歩1分

まとめ

京都の猛烈な暑さに負けることなく、涼を感じながら観光を楽しめるおすすめスポットを紹介しました。
まだまだ広く知られていない夏の京都の魅力はたくさんあります。
五感をフル活用して自然美やグルメ、歴史的建造物、夏の催しなど、夏にしか味わえない京都を堪能してみてはいかがでしょうか。
※尚、寺社や施設によって定休日や営業時間などが変更になる場合がありますので、事前に各所の公式サイトで最新情報をお確かめください。