紀伊半島西部に位置する和歌山県は、南国リゾートを思わせる海岸と峻厳な山々を有し、世界遺産の高野山・熊野のほか温泉や史跡、レジャー施設など、旅行で訪れたい観光スポットがたくさんあります。
今回はその中から特に秋におすすめの観光スポットを5つ厳選し、紹介します。
和歌山県を秋に旅行する予定がある方は、ぜひ参考にしてください。
天空のパワースポット!世界遺産「高野山」
「高野山」は、熊野三山などとともに「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に選ばれた山上の宗教都市。
平安時代に弘法大師が開いた真言密教の道場であり、今なお修行に励む僧侶がいる天空の聖地です。
高野山とは?
標高900mの盆地に広がる高野山は、今から1200年前に弘法大師が開いた真言密教の道場で、壇上伽藍を中心とした学びの場と奥の院を中心とした信仰の場から成る、一大宗教都市です。
訪れる人を誰でも受け入れる
峻厳な山の上には117もの寺院が建ち並び、古くからこの地を聖地としてあがめ、はるばる訪ねてくる参拝客は後を絶ちませんでした。
真言密教の道場でありながら宗派や民族の違いにこだわらないのも高野山の特徴で、16世紀にはキリスト教の宣教師フランシスコ・ザビエルやルイス・フロイスも訪れました。
ザビエルは高野山を「中世日本の六大学の1つ」と評しました。また、フロイスは「日本で最も多くの人が参拝する巡礼地」と述べています。
この2人の言葉からも、当時の高野山がいかに学問の場として優れ、信仰の霊場として栄えていたかがわかります。
高野山おすすめの見どころ
高野山には多くの見どころがありますが、次の4つはぜひ訪れたいスポットです。
壇上伽藍
「奥の院」と並び、高野山2大聖地の1つ。
真言密教を学ぶ道場として弘法大師が最初に整備した場所で、朱塗りの美しい塔「根本大塔」をはじめとする19の建造物が配されています。
奥の院
「壇上伽藍」とともに高野山2大聖地の1つ。
弘法大師が暮らした「弘法大師御廟(ごびょう)」を中心に、信仰の場として今なお多くの参詣者を集めるパワースポットです。
金剛峯寺
高野山真言宗の総本山です。
高野山全体の宗教や行事のすべてを取り仕切っています。
各部屋にある狩野派の見事な襖絵も見どころです。
蟠龍庭(ばんりゅうてい)
金剛峯寺にある国内最大級の石庭です。
秋には庭内のもみじが紅葉し、石庭との美しいコントラストを見せてくれます。
精進料理が魅力!宿坊の宿泊がおすすめ
旅行で和歌山県を訪れたら、高野山の宿坊に泊まってみませんか。
高野山の宿坊
高野山は高い山の上にあるせいか、寺院のうちのいくつかは訪れる人たちの宿泊を受け入れる宿坊となっており、現在でも117ある寺院のうち、半数近くの52の寺院が宿坊を兼ねています。
旅館やホテルとは違い、お寺独特の雰囲気はまさに非日常の世界。
他では味わえない魅力です。
女性に人気!精進料理
宿坊の魅力の1つに、朝夕飯に提供される精進料理があります。
仏教で禁じられている肉や魚を一切使わずに作る料理ですが、旬の野菜をたっぷり使い、大豆や豆腐でたんぱく質を、ゴマで油分を摂るため栄養バランスに優れています。
太らないヘルシーな料理として、ダイエット中の女性や外国人にも人気があります。
ごま豆腐や高野豆腐はもともと精進料理のメニューの1つでした。高野豆腐はその名の通り高野山発祥の食べ物です。
高野山の宿坊では本場の高野豆腐をはじめ、手間のかかったおいしい精進料理がいただけます。
厳しすぎないルールだから安心
宿坊というと規律が厳しいのではないかと不安な方は多いかもしれません。
お寺なので早朝の勤行(ごんぎょう)はありますが、参加は任意です。
声明や読経の響きの中に身を置くと心が洗われる気分になる、とむしろ人気があるくらいです。
また、飲酒に関しては意外にも許可されています。
お酒は般若湯(はんにゃとう)と呼ばれ、昔から修行僧の間で飲まれてきたそうなので、お酒好きの方も安心して泊まれます。
【高野山 金剛峯寺】
■住所:和歌山県伊都郡高野町高野山132
■電話番号:0736-56-2011
■営業時間:8:30~17:00
■料金:500円
■アクセス:高野山駅からバスで10分(関西国際空港から高野山まで直通リムジンバス)
※9月~11月まで
日本三大名瀑!「那智の大滝」と「熊野那智大社」
落差133mの「那智の滝」は日本最大名瀑の1つ。
世界遺産「熊野那智大社」の神聖なご神体でもあり、荘厳で迫力ある姿に圧倒される人気のパワースポットです。
那智の滝とは?
那智の滝は、栃木県日光の華厳の滝、茨城県の袋田の滝と並び、日本三大名瀑の1つに数えられています。
高さ133m、滝つぼの深さ10mと、落差日本一を誇る直瀑です。
水の量は毎秒1トンとすさまじく、見る者を圧倒する迫力です。
この滝は「一の滝」とも呼ばれ、上流にある二の滝、三の滝と合わせ「那智の大滝」を形成し、国の名勝になっています。
また、水の落ち口の岩盤に3つの切れ目があり、3本の滝が重なって流れ落ちるため「三筋の滝」ともいわれています。
滝の横には和歌山県で唯一の原生林が広がり、秋は美しく紅葉する和歌山県でも人気の紅葉スポットです。
那智の滝は熊野那智大社のご神体
滝の水の落ち口には注連縄が張られています。
これは那智の滝自体が熊野那智大社のご神体であるためで、毎年7月9日と12月27日には神職の人の手により張り替え作業もがわれます。
神聖な神の水は、その場で飲むことはもちろん、持ち帰りも可能です。
熊野那智大社とは?
熊野那智大社は、田辺市の熊野本宮大社、新宮市の熊野速玉大社と合わせて「熊野三山」と呼ばれ、熊野三山は先述した高野山とともに「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に指定されています。
那智の滝が熊野那智大社のご神体であるように、熊野本宮大社のご神体は周囲の川、熊野速玉大社のご神体は神倉山のゴトビキ岩と、熊野三山のご神体はそれぞれの周囲にある自然物となっています。
これは、熊野の地が古来より神々の棲む場、ご先祖の宿る場として人々の尊崇を集めていたことと関係があります。
現在でも熊野はパワースポットとして人気で、なかでも熊野那智大社は縁結びの神社として良縁を願う人が多く参拝に訪れる神社です。
熊野那智大社から那智の滝へ
熊野那智大社は那智の滝よりも標高の高い場所にあるため、熊野那智大社を参拝してから石段を下って那智の滝へ向かうのが一般的なルートです。
熊野那智大社を参拝したら、隣に建つ「那智山青岸渡寺(なちさんせいがんとじ)」へ行きましょう。
ここは、神社とお寺が並ぶ神仏習合のスポットとして有名です。
見学したら歩いて数分の場所にある三重塔へ向かいましょう。
この三重塔の背後に那智の滝が見え、人気フォトスポットになっています。
ここからさらに熊野古道の石段を下っていくと那智の滝へ着きます。
マイナスイオンたっぷりのさわやかな秋風に吹かれ、自然の中を歩いてみてください。
■住所:和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山
■電話番号:0735-55-0321(熊野那智大社)
■営業時間:7:00~16:30
■料金:大人300円、小中学生200円
■アクセス:JR紀伊勝浦駅から熊野交通バス神社お寺前駐車場行きで約30分、滝前バス停下車、徒歩3分(石段を下る)
棚田の美しいフォトスポット!あらぎ島
「あらぎ島」とは和歌山県有田川町が誇る美しい棚田のフォトスポットです。
四季折々の表情を見せる棚田は、国の重要文化的景観や、日本の棚田百選に選出されています。
有田川町のシンボル!あらぎ島とは?
和歌山県のほぼ中央に位置する有田川町のシンボルが「あらぎ島」です。
あらぎ島は島じゃない?
あらぎ島といっても島ではありません。
有田川が蛇行してできた河岸段丘の上に作られた棚田で、形が海に突き出た島のような独特な形状をしているため、島と名付けられました。
江戸時代の初期に、このあたりの庄屋が貧しい村民を救うため私財を投じて開発した新田で、現在は6軒の農家が大小合計54枚の水田を耕作しています。
その景観はパッチワークのようで、秋は黄金色に色づいた稲穂がまるで金のじゅうたんを広げたように見え、多くの人の目を楽しませてくれます。
展望所から棚田を眺めよう!
国道480号沿いの道の駅「あらぎの里」から歩いて約10分の場所には展望所があり、ここからの棚田の眺めは見事です。
水田の中に入ることは禁止されているため、この展望所が絶好のフォトスポットになります。
棚田をよく見ると、棚田の段差はあまりないことや、いちばん下段にまで水路が通っていること、田んぼのあぜ道は農機具が入るほど広いことなど細かな特徴がよくわかります。
キャンドルナイト・イルミネーションを見よう
毎年9月6日の夜には「キャンドルナイト・イルミネーションinあらぎ島」というライトアップイベントが開催されます。
これは、秋篠宮妃紀子さまの曽祖父のご出身地が和歌山県有田川町であることから、悠仁さま満1歳の誕生日である2007年9月6日を祝して行われたイベントで、以後毎年悠仁さまの誕生日に行われるようになりました。
あたり一帯が竹灯籠のキャンドルで幻想的に照らされ、多くの見物人たちを酔わせてくれます。
■住所:和歌山県有田郡有田川町清水
■電話番号:0737-52-2111(有田川町商工観光課)
■営業時間:9月6日18:30~21:00(キャンドルナイト・イルミネーション)
■料金:無料
■アクセス:JR藤並駅からバス停「三田」下車
1350年の歴史!日本三大古湯の1つ「白浜温泉」
和歌山県の白浜温泉は、関西を代表する温泉地。
1350年もの歴史を誇る由緒正しい温泉で、愛媛の道後温泉、兵庫の有馬温泉と並ぶ日本三大古湯の1つに数えられています。
万葉集や日本書紀にも登場する歴史ある古湯
白浜温泉は、万葉集や日本書紀に登場する歴史のある温泉です。
「牟婁の温湯」「紀の温湯」という名で呼ばれ、斉明天皇や天智天皇など多くの貴人たちがはるばる都から湯治にやってきていました。
現在では関西を代表する温泉地として多くの旅館やホテルが立ち並び、周辺のレジャー施設と併せ、一大リゾートエリアとなっています。
6つの外湯めぐりを楽しもう
白浜温泉には、美しい白砂の海水浴場白良浜や、パンダのいる人気テーマパークなどがあるため、華やかなレジャースポットのイメージがありますが、秋に旅行するならしっとりと温泉めぐりを楽しんでみませんか。
これから紹介する6つの外湯めぐりがおすすめです。
崎の湯
万葉の時代から使われている湯壺と、波しぶきがかかるほど太平洋の間近にある素晴らしいロケーションが魅力の露天風呂です。
大自然に抱かれ、悠久の時の流れを感じながら入浴できます。
牟婁の湯(むろのゆ)
日本書紀などにも登場した温泉で、斉明、天智、持統、文武の各天皇が入湯した歴史ある「砿湯(まぶゆ)」「行幸源泉(みゆきげんせん)」という2つの源泉が楽しめます。
崎の湯と並ぶ、白浜温泉の歴史ある名湯です。
しらすな
白良浜海水浴場にあるプールのような露天風呂です。
水着のまま入れるとあって夏は大混雑しますが、海水浴シーズンの終わった秋は人も減り、狙い目です。
手軽に利用したい方には足湯もあります。
白良湯
白良浜海水浴場に面した、銭湯の趣がある2階建ての外湯です。
1階には木造の休憩スペースがあり、2階にお風呂があります。
海を眺めながら入る温泉は最高の贅沢です。
松乃湯
地元町内会が運営しており、地域の憩いの場となっている外湯です。
公民館風の建物の2階は、町内会の会議などに利用されています。
塩分濃度の高い温泉です。
綱の湯
温泉街の中心地から離れたところにあるせいか、地元の人が多い外湯です。
硫黄臭のある泉質で、体の芯から温まります。
以上、6つの外湯をすべて回ると、記念品として湯の花がもらえます。
湯上がりに秋風に吹かれながら、そぞろ歩きを楽しむのも格別な気分です。
白浜温泉に行ったら、ぜひ外湯めぐりを楽しんでください。
【崎の湯】
■住所:和歌山県西牟婁郡白浜町湯崎1668
■電話番号:0739-42-3016
■営業時間:【10月1日~3月31日】8:00~17:00
■料金:500円
■アクセス:JR白浜駅からバス停「湯崎」下車
【牟婁の湯】
■住所:和歌山県西牟婁郡白浜町湯崎1665
■電話番号:0739-43-0686
■営業時間:7:00~22:00
■料金:大人 420円 中人 140円 小人 80円
■アクセス:JR白浜駅からバス停「湯崎」下車
【しらすな】
■住所:和歌山県西牟婁郡白浜町864
■電話番号:0739-43-1126
■営業時間:【9/1~6/30】10:00~15:00
■料金:200円
■アクセス:JR白浜駅からバス停「白良浜」下車
【白良湯】
■住所:和歌山県西牟婁郡白浜町白浜3313-1
■電話番号:0739-43-2614
■営業時間:7:00~22:00
■料金:大人 420円 中人 140円 小人 80円
■アクセス:JR白浜駅からバス停「白良浜」下車
【松乃湯】
■住所:和歌山県西牟婁郡白浜町瀬戸743-1
■電話番号:0739-43-0988
■営業時間:13:00~21:00
■料金:大人 300円 小人 100円
■アクセス:JR白浜駅からバス停「白浜バスセンター」下車
【綱の湯】
■住所:和歌山県西牟婁郡白浜町3354-1
■電話番号:0739-43-0533
■営業時間:13:00~21:00
■料金:大人 400円 小人 200円
■アクセス:JR白浜駅からバス停「白浜桟橋」下車
梅王国!和歌山県みなべ町の「紀州梅干館」
和歌山県にはいろいろな名産品がありますが、梅干もその1つ。
和歌山県中部に位置するみなべ町は日本一の梅の産地として知られ、町内には梅干や梅酒、梅のお菓子などさまざまな梅製品を売るお店があります。
なかでも「紀州梅干館」は、梅好きなら1度は立ち寄りたい観光施設です。
梅干工場の見学ができる
館内では、南高梅の梅干を作る工場見学ができます。
梅がパック詰めされ店頭に並ぶまでの全工程は手作業で行われており、その丁寧な仕事ぶりに感激することでしょう。
梅干や梅ジュース作り体験ができる
紀州梅干館では、梅干作り、梅酒作り、梅ジュース作りの体験教室が開かれています。
予約は前日までに入れればOK。
和歌山県を家族で旅行する方におすすめです。
直売店でお土産を
館内には直売所があり、南高梅の梅干をはじめ、梅ラーメンや梅クッキーなど珍しい梅製品が販売されており、お土産としても喜ばれます。
■住所:和歌山県みなべ町山内1339
■電話番号:0739-72-2151
■営業時間:8:30~17:00
■料金:無料
■アクセス:南紀白浜空港より車で約40分
またはJR南部駅下車徒歩約20分
魅力あふれる和歌山県をさわやかな秋に旅行しよう!
今回は、世界遺産である高野山・熊野、フォトジェニックなあらぎ島の棚田、日本三大古湯の白浜温泉、そして紀州梅干館と、さわやかな秋風の下、歩いたりグルメを楽しんだりするのにおすすめのスポットを紹介しました。
気候の良い秋の旅行で、和歌山県の魅力を存分に味わってください。