岩手県は北海道に次いで、日本で2番目に広い都道府県です。
釜石大観音など海辺の観光地が有名ですが、やはり秋の岩手と言えば紅葉。
しかし、どのスポットに行けば紅葉を楽しめるのかわからない、という方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、岩手県で紅葉を楽しめるおすすめ観光スポットをメインに岩手の魅力をたっぷりと紹介します。
中尊寺金色堂
言わずと知れた世界遺産「中尊寺金色堂」。
850年に慈覚大師円仁により開基された中尊寺は、奥州藤原氏により大規模な改装が行われ現在の姿になりました。
藤原清衡は当時辺境と言われていた東北の地に仏国土を建設するために中尊寺に堂塔を数多く造営しました。
この清衡公の遺志は子孫にも引き継がれ、二代藤原基衡は毛越寺を、三代藤原秀衡は無量光院を造立しました。
こうしてすべての命あるものを過去、現在、未来の三世に導きたいという奥州藤原氏初代清衡の思いは具現化されたのです。
その後奥州藤原氏は、源氏との争いに巻き込まれて1189年に滅亡するまで平和な時代を過ごしました。
奥州藤原氏滅亡後、中尊寺は火災により多くの宝物を失いましたが、金色堂など一部の美術品や工芸品は焼失を逃れ、現在も大切に保管されています。
金色堂
金色堂は藤原清衡により1124年に建立された建物です。
1337年に起きた火災から逃れ、現在は多くの人が訪れる岩手の主要観光スポットとなっています。
金色堂はその名が表すとおり、金箔で装飾された建造物です。
また、内部は南洋の海よりもたらされた夜光貝を使った螺鈿細工のほか象牙、宝石により豪華絢爛な装飾が施されています。
そして、この金色堂には奥州藤原氏三代の亡骸が安置されています。
秋になると金色堂周辺の木々も緑から黄色やオレンジ色に様変わりします。
金色堂内部では豪華絢爛なお堂を、外では自然が織りなす美しい景色を楽しめますが、この風情を味わえるのは秋だけです。
紅葉
11月の上旬になると、手入れが行き届いた中尊寺境内のモミジが美しく紅葉します。
広い中尊寺の中でも特に紅葉が美しいのは経堂付近です。
経堂付近のモミジは、色鮮やかな赤色に色づき目を見張るほどの美しさです。
昼間の紅葉も美しいですが、夜の紅葉は昼間とは一味違った趣を感じさせてくれます。
10月26日から11月11日までの期間中の16:30から18:00までの間、中尊寺では紅葉のライトアップを実施しています。
これは「紅葉銀河」と呼ばれるイベントの一環として行われており、毎年ライトアップの演出が変えられるので毎年行っても違った夜の紅葉を楽しめます。
また、境内では「菊祭り」も同時期に開催されているので、中尊寺金色堂を訪れるなら11月上旬がおすすめです。
住所 | 岩手県西磐井郡平泉町平泉衣関202 |
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公式サイト | http://www.chusonji.or.jp/ |
開館時間 | 8:30-17:00(3月1日~11月3日)、8:30-16:30(11月4日~2月末日) |
拝観料 | 大人800円、高校生500円、中学生300円、小学生200円 |
電話 | 0191-46-2211 |
アクセス | いわて花巻空港よりバスで約50分(車の場合は約45分) |
八幡平
岩手の絶景スポットで紅葉を楽しみたいという方におすすめなのが「八幡平(はちまんたい)」。
八幡平にはトレッキングコースや散策道も整備されているので、山歩きをしながら紅葉を楽しめます。
八幡平は標高1614mの山で、日本百名山のひとつに数えられています。
そんな八幡平の紅葉は山の中腹がおすすめ。
見頃は年により多少変わりますが、おおむね9月下旬から10月上旬です。
八幡平周辺では、山の中腹のほかにも松川渓谷や県民の森周辺もおすすめの紅葉狩りスポットです。
松川渓谷と県民の森周辺の見頃は10月中旬から10月下旬と期間が短いので、この2か所の紅葉を楽しむなら、ピンポイントで予定を立てるようにしましょう。
また、八幡平では毎年「八幡平紅葉まつり」が開催されます。
このイベントでは大自然のもとで3kmのウォーキングをします。
ウォーキングにはガイドがつきますので、名所案内を聞きながら紅葉を楽しむことができます。
今年の八幡平紅葉まつりは10月19、20日(10:00-15:30)に開催されるので、興味のある方はぜひこの日に八幡平を訪れてみてはいかがでしょうか。
住所 | 岩手県八幡平市細野 |
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関連サイト | https://www.hachimantai.or.jp/ |
電話番号 | 0195-78-3500(八幡平市観光協会) |
アクセス | いわて花巻空港から車で約80分 |
盛岡城跡公園
盛岡城跡公園は南部藩南部氏の居城跡に作られた公園です。
敷地面積9.2ヘクタールのこの公園には石垣、梅林、池、ホタルの里、桜林、四阿、文学碑などがあります。
1000本以上の梅が植えられた梅林では、白梅やシダレウメなどを楽しめます。
ホタルの里では5月から7月にかけてホタルを見ることができますし、周辺をカエデの木々が囲んでいますので、秋になると紅葉鑑賞のスポットになります。
桜林にはソメイヨシノ、ヤマザクラ、エドヒガンなどの桜が植えられており、ゴールデンウィークの時期には美しいピンク色の桜が咲き、花見の人で賑わいます。また、これらの木々は秋に鮮やかな赤色に衣替えをします。
また、園内には岩手出身の石川啄木や宮沢賢治、武士道で有名な新渡戸稲造の碑文があり、文学好きも楽しめる公園になっています。
紅葉
盛岡城跡公園ではイロハモミジ、イチョウ、イタヤカエデ、ヤマモミジなどの木々が10月下旬から11月下旬に色づきます。
盛岡城跡公園はとても広い公園なので、ある場所ではイチョウの落葉による天然の黄金の絨毯を、またある場所では鮮やかに色づいた赤い葉と花崗岩の石垣のコントラストを楽しめます。
なかでも渡雲橋付近の紅葉は絶景ですのでお見逃しなく!
住所 | 岩手県盛岡市内丸1-37 |
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公式サイト | http://www.city.morioka.iwate.jp/shisei/midori/koen/1010491.html |
電話 | 019-651-4111(盛岡市役所) |
アクセス | いわて花巻空港よりバスで約55分(盛岡駅前での乗り換えあり) |
毛越寺
「毛越寺(もうつうじ)」は中尊寺とともに世界遺産平泉の構成寺院のひとつです。
毛越寺も中尊寺と同じく慈覚大師円仁により開基されました。
奥州藤原氏三代秀衡の治世の時代に多くの伽藍が建立され、一時は中尊寺よりも大規模な寺でした。
しかし、奥州藤原氏の滅亡後1226年に火災により炎上してしまったため、現在ある本堂は1989年に平安様式で再建されたものです。
毛越寺には「大泉が池」と呼ばれる大きな池があります。
池の大きさは南北約90m、東西約180mです。
秋になるとこの池のまわりにあるモミジなどの木々が紅葉し、風情ある景観を創り出します。
特に、水面に映るモミジは必見です!
また毎年11月1、2、3日の3日間には「秋の藤原まつり」が開催されます。
「秋の藤原まつり」とは奥州藤原氏四代の追慕のまつりです。
このまつりの期間中は国の重要無形民俗文化財の「延年の舞」を鑑賞できます。
美しく紅葉したモミジのもとで披露される舞は、この期間ここでしか楽しめません。
ちなみに、この「秋の藤原まつり」は中尊寺でも行われているので、毛越寺と中尊寺両方訪れることをおすすめします。
天台宗別格本山 毛越寺
住所 | 岩手県西磐井郡平泉町平泉字大沢58 |
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公式サイト | http://www.motsuji.or.jp/ |
開館時間 | 8:30-17:00(11月5日~3月4日は8:30-16:30) |
住所 | 岩手県西磐井郡平泉町平泉字大沢58 |
拝観料 | 大人500円、高校生300円、小・中学生100円 |
電話 | 0191-46-2331 |
アクセス | いわて花巻空港より電車で1時間47分(車を利用する場合は約46分) |
小岩井農場
日本最大級の敷地面積を誇る「小岩井農場」。
土日や連休などの休日には多くの人で賑わう農場です。
1891年に創業した小岩井農場の建物の一部は、2017年に国の重要文化財に指定されました。
西洋建築からヒントを得て建てられた建築群(21棟)が、日本における近代農業の発展過程を示すものとして評価され指定に至りました。
「小岩井農場本部事務所」や「倶楽部」、「四階倉庫」、「一号サイロ」、「二号サイロ」などが文化財に指定されていますが、その多くが現役で使用されています。
そのため、自由見学ができる建物は一部に限られています。
建物群を見学したい方は文化財ツアーに参加するのがおすすめです。
またツアーは文化財ツアーのほかにも「ガイド付きバスツアー 小岩井農場めぐり(所要時間約45分)」や、「小岩井農場自然散策(所要時間約1時間)」などがあるので、小岩井農場について深く知りたい方はツアーに参加しましょう。
ツアーのほかにも乗馬体験やバター作り体験、羊飼いの仕事見学など様々なアクティビティも体験できます。
また、小岩井農場では秋限定で
・「秋の星空散歩①②」(参加料:大人1000円、子供500円)
・「ホタルの森づくり」(参加無料)
・「木の実拾いとクラフト作り」(参加料:一人1500円)
・「紅葉ウォッチング」(参加料:大人1000円、子供500円)
などのイベントも開催しています。
秋の星空観察や紅葉狩りなどに興味のある方にはぴったりのイベントです。
いずれのイベントも電話予約が必要なので、予約をお忘れなく!
住所 | 岩手県岩手郡雫石町丸谷地36-1 |
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公式サイト | https://www.koiwai.co.jp/makiba/ |
営業時間 | 9:00-17:00(8月10日~8月15日は8:00-18:00) |
入館料 | 中学生以上800円、子供(5-12歳)300円 |
電話 | 019-692-4321 |
アクセス | いわて花巻空港から車で約50分 |
えさし 藤原の郷
「えさし 藤原の郷」も奥州藤原氏に関する歴史テーマパークです。
約20ヘクタールの敷地には、武士館や平安貴族の住宅など全部で120もの建物があります。
パーク内にはサクラや紫陽花、モミジなどの四季折々の木々も植えられており、どの季節に訪れても時期ごとの趣を感じられるように工夫されています。
特に秋は、モミジが色づき格別の美しさがあります。
場所によっては池、モミジ、朱塗りの小橋を一度に眺めることができます。
モミジが映った伽羅御所の池は、秋を身近に感させてくれます。
また、雨上がり後の紅葉も葉に水滴がつき、キラキラとして普段とは違った姿の紅葉を鑑賞できます。
そんな「えさし 藤原の郷」で最も有名な建造物が左右対称に建物が配置されている政庁(せいちょう)です。
政庁は政治だけではなく、儀式の場としても使われていました。
その他にも清衡館や伽羅御所などがあります。
伽羅御所は檜皮葺(ひわだぶき)をイメージして作られた屋根が特徴。
また、テーマパークに隣接する「えさし郷土文化館」では江刺地方の歴史を学べるだけではなく、そば打ちや匂玉づくりなどの体験もできます。
「えさし 藤原の郷」では4月21日から11月10日までの期間中の日曜日に「江刺鹿踊」という郷土芸能が披露されています。
黒を貴重とした衣装に身を包んだ演者たちの踊りは圧巻です!
住所 | 岩手県欧州市江刺岩谷堂小名丸86-1 |
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公式サイト | https://www.fujiwaranosato.com/ |
営業時間 | 9:00-17:00 |
入場料 | 大人800円、高校生500円、小・中学生300円 |
電話 | 0197-35-7791 |
アクセス | いわて花巻空港よりバス・電車で2時間8分(車の場合は約40分) |
わんこそば
岩手県のグルメと言えば「わんこそば」。
100杯以上食べる方もおり、最高記録はフードファイター菅原初代さんが記録した570杯です。
「わんこそば」の「わんこ」とは木地椀を意味する方言です。
そんなわんこそばの起源には2つの説があります。
まず一つ目は花巻説。
今から370年ほど前に大名・南部利直が江戸から戻る際に立ち寄った花巻で食べたそばを気に入り、何度もお代わりをしたことがきっかけで、わんこそばとなったという説です。
そして2つ目が盛岡説。
大のそば好きの原敬第19代内閣総理大臣が地元盛岡に帰省した際に、「そばは椀コに限る」と発言したことからわんこそばと呼ばれるようになったという説です。
2つの説のうち、花巻説の方が古く有力な説のようです。
ちなみにお椀一杯あたりの量は、お椀15杯分で通常のそば一人前の店とか、7杯分で一人前というようにお店により違いがあります。
わんこそばの食べ方
わんこそばは、お椀に盛られた温かいおそばを給仕の掛け声とともに食べます。
この時、薬味と一緒に食べるのがポイント。
薬味はオーソドックスなわさびやネギのほかに、
・海苔
・なめこおろし
・まぐろ
・漬物
・白ごま
など様々な種類があるので、薬味を代えるごとにう味でおそばを楽しめます。
もうお腹いっぱい!と思ったところでお椀にフタをして、終了(=ごちそうさま)
の合図をしましょう。
なるべく沢山食べるためには、
・空腹で食べない
・めんつゆは飲まない
・適度に薬味を加えて、味に飽きないようにする
・同じテンポで食べ続ける
ことがポイントです。
とはいえ、わんこそばは本来茹でたてのそばを美味しく食べるための料理です。
お腹が苦しくなるまで食べるのではなく、最後まで美味しく食べられる量を食べるようにしましょう。
おすすめのお店
1. 直利庵
「直利庵(ちょくりあん)」は創業1884年の老舗です。
給仕さんのテンポの良い掛け声で楽しくわんこそばを堪能できます。
直利庵には3種類のわんこそばコースがあり、一番安い普通コースが薬味8種類で3050円(税抜)、上わんこそばが3780円(税抜)、特上わんこそばは5400円(税抜)です。
特上わんこそばには天ぷらなどの料理もつきます。
住所 | 岩手県盛岡市中ノ橋通1-12-13 |
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公式サイト | http://chokurian.com/ |
営業時間 | 11:00-21:00(水曜定休) |
電話 | 019-624-0441 |
アクセス | JR盛岡駅より徒歩約10分 |
2.やぶ屋 花巻総本店
1923年創業の「やぶ屋 花巻総本店」も老舗のお店です。
日本を代表する詩人、童話作家の宮沢賢治が愛したやぶ屋は、創業時から変わらぬ味を提供しています。
こちらのお店でも給仕さんがテンポよくおそばをついでくれるので何杯でも食べられます。
また、わんこそばを食べ終えると証書がもらえます。
100杯以上食べた方は「横綱」認定を受けることができますよ。
お値段は10種類の薬味がついたものが3000円(税別)。
また、水菓子や天ぷらのついた特上わんこそばは4000円(税抜)です。
住所 | 岩手県花巻市吹張町7-17 |
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公式サイト | https://yabuya.jp/ |
営業時間(昼の部) | 11:00-15:00 |
営業時間(夜の部) | 17:00-20:00 |
定休日 | 通常月曜 祭日の際は火曜日 |
電話 | 0198-24-1011 |
アクセス | いわて花巻空港より車で15分 |
岩手の秋を楽しむなら早めに航空券の手配をしよう!
自然豊かな岩手県には紅葉を楽しめるスポットがたくさんあります。
ただ紅葉を鑑賞するだけではなく、ウォーキングをしながら紅葉狩りができる場所などもあり、充実した時を過ごせること間違いなしです。
京都や奈良の紅葉もいいですが、今年の秋は岩手まで足を伸ばして紅葉狩りを楽しんでみてはいかがでしょうか。