日本で最も面積の小さい県・香川県。讃岐うどんが有名で、「うどん県」の愛称でも親しまれていますが、香川県の魅力はそれだけではありません。今回は、伊勢神宮と並ぶ人気の神社や、紅葉が美しい渓谷、日本の歴史の転換点となった場所など、秋の香川県でおすすめしたいスポット8ヶ所を、その魅力とともに紹介します。
日本国民が憧れた場所!金刀比羅宮
「こんぴらさん」の愛称で親しまれる「金刀比羅宮(ことひらぐう)」は、香川県の琴平町、象頭山の中腹に鎮座する神社です。香川県を代表する観光スポットとして、多くの観光客が訪れる金刀比羅宮の、歴史や見どころを紹介します。
金刀比羅宮ってどんなところ?
金刀比羅宮は、大物主命と崇徳天皇をご祭神とする神社です。その創建には諸説ありますが、大物主命が象頭山に「琴平神社」を祀ったことが始まりと言われています。
金刀比羅宮の最大の特徴は、参道の長い階段。参道入口から本宮までは785段、奥社まではなんと1,368段もあります。参道にはお土産屋や飲食店が立ち並んでおり、無料で杖の貸し出しを行っているお店もあるので、足腰に不安がある方は借りていくのがおすすめです。
長い階段を登ると、多くの観光客でにぎわう本宮に到着します。お参りを済ませたら、本宮横の展望台に行ってみましょう。本宮は海抜251mの位置にあり、展望台からは讃岐平野や瀬戸大橋が一望できます。そこからの景色は、長い階段を登ってきて良かったと感じさせてくれるほどの絶景です。
奥社は本宮から歩いて1時間ほどかかりますが、手つかずの自然が残り、厳かな雰囲気が辺り一帯に漂っています。奥社までの参道を歩くだけでも気分のリフレッシュになりますし、境内からの眺めも抜群です。時間に余裕のある方は、ぜひ立ち寄ってみてください。
金刀比羅宮は犬も参拝した?!
秋は天気の良い日が多く、連休もあることから、旅行計画を立てている方は多いのではないでしょうか。今では当たり前の旅行ですが、実は、江戸時代には庶民の旅行は禁止されていました。ただし、神社仏閣への参詣は全国民が持つ権利として認められ、神社仏閣巡りは庶民の娯楽のひとつになっていました。
伊勢神宮に参拝する「お伊勢参り」が流行した江戸時代、香川県にある金刀比羅宮にも全国各地から多くの参拝者が足を運びました。金刀比羅参りはお伊勢参りに次ぐ、庶民の憧れだったと言われており、その様子は浮世絵の「東海道五十三次」や、十返舎一九の「東海道中膝栗毛」にも描かれています。
金刀比羅宮の境内に入ると犬の銅像が参拝客を出迎えてくれますが、これは江戸時代、参拝できなかった人が、犬を代参させたことにちなんだものです。当時は犬の首に、お金や飼い主の名前を記した木札を入れた袋をさげて代参させました。飼い主の願いを背負った犬たちは、旅人から旅人へ、道中の人々にお世話をしてもらいながら、金刀比羅宮へたどり着いたそうです。境内社務所では、犬が描かれたお守りや、絵本などを販売しているので、犬好きの方はぜひご覧ください。
香川ならでは!かまたまソフトを味わってみて!
金刀比羅宮の参道には、たくさんのお土産店や飲食店が立ち並んでいます。その中でも特に有名なのが、かまたまソフトが人気の「しょうゆ豆本舗」。かまたまソフトは、生姜を練り込んだソフトクリームに、ネギと醤油をトッピングした、うどん県香川ならではのご当地ソフトクリームです。塩キャラメルのような意外な味わいがあり、シャキシャキとしたネギが良いアクセントになっています。参拝後、ほっと一息つきたいときに味わってみてはいかがでしょう。
■住所:香川県仲多度郡琴平町892-1
■電話番号:0877-75-2121
■アクセス:高松空港より車で約40分
自然が生み出した独特の景観!寒霞渓
香川県内でも屈指の人気を誇る観光地・小豆島。小豆島は、瀬戸内海国立公園に含まれています。瀬戸内海国立公園が設置されたのは1934年のことでした。現在の瀬戸内海国立公園は、東は和歌山県、西は福岡県までと、日本一広域な公園ですが、指定された当時の指定区域は寒霞渓や香川県の屋島、岡山県の鷲羽山など、一部のみでした。
小豆島では、温暖な気候を生かしたオリーブ栽培や、素麺、ゴマ油などの生産地としても知られています。また、恋人の聖地として人気の「エンジェルロード」や、名作の世界観を体感できる「二十四の瞳映画村」など、観光スポットも多いのが特徴です。ここでは、そんな小豆島で秋に行きたい景勝地「寒霞渓(かんかんけい)」について紹介します。
寒霞渓ってどんなところ?
寒霞渓は、小豆島の最高峰・星ヶ城山と美しの原高原の間にある大渓谷です。今から約1300万年前に起きた火山活動によってできた地層が、地殻変動や風化、浸食によって削られ、現在の様な雄大な景観を形成しました。日本書紀にも記されるほど古くから知られており、かつては応神天皇が鉤をかけて渓谷を登ったという故事から、「鉤掛山(かぎかけやま)」や、「神懸山(かみかけやま)」などと呼ばれていたそうです。
一年を通して多くの観光客が訪れる寒霞渓ですが、見逃せないのが紅葉の美しい秋です。見頃は例年11月上旬から下旬にかけてですが、寒霞渓は標高差があるので、山頂と麓では見頃の時期が異なり、長い間紅葉が楽しめます。色鮮やかな木々の隙間から、自然の力が生み出した荒々しい岩肌が見えるその風景は、「日本三大奇勝」のひとつに選ばれた寒霞渓だからこそ見られる姿です。寒霞渓の山頂付近は日中でも冷え込むので、紅葉狩りの際は防寒対策をお忘れなく。
空・海・渓谷の3つを一度に楽しめるロープウェイ
寒霞渓の山頂には無料の駐車場があり、車中から紅葉を楽しめることため、秋には渋滞が発生することが少なくありません。そんな時におすすめなのが、麓のこううん駅から山頂駅までを5分で結ぶロープウェイです。車からは見られない高所からの景色が楽しめるので、ロープウェイでの空中散歩も選択肢に入れておいてください。
ロープウェイからしか見られない景色のひとつが、錦屏風という岸壁に絶妙なバランスで乗っている「ひよこ岩」です。絶対に落ちないことから、多くの受験生や就活生が合格を祈願します。
ロープウェイが山頂に近づいたら、麓の方を振り返ってみましょう。眼下には渓谷と瀬戸内海の大パノラマが広がり、晴れた日には空の青が一層その2つを引き立てます。寒霞渓のロープウェイは、日本で唯一「空・海・渓谷」の3つを一度に楽しめるロープウェイです。ゴンドラの窓はとても大きいので、空を飛んでいるような感覚が味わえますよ。
グルメにかわら投げ…山頂の楽しみ方
山頂駅に到着したら、幸せを願って「かわら投げ」にチャレンジしてみてください。かわら投げは、絶景の見える第二展望台から、前方の輪に向かってかわらを投げる運試しです。かわらが輪を通ると「交通安全」「災難除け」「魔除け」などのご利益があるとされています。風向きや投げ方によって飛び方が変わるので、少しコツが要りますが、結果はどうであれ、ワイワイ盛り上がること間違いなしです!
また、山頂駅前のキッチンカーが並ぶフードコートでは、オリーブ牛コロッケバーガーやもみじサイダーなど、香川県の特産品を使ったグルメを販売しています。紅葉に彩られた寒霞渓を眺めながらの、贅沢なひと時を過ごしてみませんか?
■住所:香川県小豆郡小豆島町神懸通乙
■電話番号:0879-82-2171(山頂駅)
■アクセス:高松空港より車で約1時間30分
日本の歴史が変わった場所?!屋島
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり…」この書き出しで知られる「平家物語」は、平家の繁栄と衰退を描いた物語です。今から800年ほど前、この平家物語に描かれた源平合戦が、香川県高松市にある「屋島」で行われました。屋島には、現在でも源平合戦の痕跡が残されています。
屋島ってどんなところ?
高松市にある屋島は、「メサ」と呼ばれる讃岐岩層安山岩でできた、テーブル状の台地です。まるで屋根のように見えることから、「屋島」という名前がつけられました。一番高いところで300m、南北に5㎞の大きな台地で、様々な遺跡が残されているほかハイキングコースが整備されていることから、高松市のシンボルとして親しまれています。
また、屋島には3つの展望台があり、瀬戸内海の多島美が一望できます。3つのある展望台のひとつ「獅子の霊巌(れいがん)」は、夕日と夜景のスポットとして有名で、そこからの風景は「日本の夕陽百選」に選ばれました。瀬戸内海が徐々に赤く染まり、美しいグラデーションが楽しめます。2つ目の展望台「遊鶴亭(ゆうかくてい)」は、320度の大パノラマが広がる絶好のビューポイントです。小豆島や鬼ヶ島など、瀬戸内海を象徴する島々を、ぜひご覧ください。
3つ目の展望台から見える景色とは…
3つ目の展望台「談古嶺(だんこれい)」は、屋島山上駐車場から徒歩5分のところにある気軽に行ける展望台です。そこから見えるのは、源平合戦「屋島の戦い」の古戦場です。ここでは、平家物語にも描かれた様々な出来事が起こりました。
源平合戦とは、今から約800年前に起きた平家と源氏の戦いのことです。当時絶大な権勢を誇った平清盛を、源氏は打ち倒そうとしました。讃岐壇ノ浦の戦いの後に起きた、山口県での「壇ノ浦の戦い」で、栄華を誇った平家は滅亡することになります。
この屋島の戦いの最中に起きた出来事として有名なのが、平家物語の巻第十一にある、那須与一の「扇の的」です。勝敗がつかず戦いが中断しようとした夕暮れ時、平家軍から一艘の舟が近づいてきました。舟には扇を挟んだ竿が立っており、源氏の大将・源義経は「あの的を射よ」と、源氏随一の弓の名手・那須与一に命じます。しかし、的は波に揺られた舟の上。風も吹いてなかなか狙いが定まりません。その時那須与一は、近くにあった岩に「南無八幡大菩薩」と祈ります。そうすると風はぴたっと止み、那須与一が放った鏑矢は、まっすぐ扇を射貫きました。
屋島にある「祈り岩」は、那須与一が矢を射る前に祈った岩だと言われています。祈り岩の近くには、弓を射る際に足場にしたとされる「駒立岩(こまだていわ)」もあるので、併せて立ち寄ってみてはいかがでしょう。
史跡満載の屋島で過去にタイムスリップ!
屋島には源平合戦の史跡ほかにも、唐・新羅の侵攻に備えて築かれた「屋嶋城」の跡、空海が立ち寄った遍路道、鑑真が開創した四国霊場八十八箇所・第84番札所「屋島寺」など、日本史の名を残す観光スポットがたくさんあります。これらの史跡を登山や遍路道として利用されている屋島のハイキングコースを歩きながら巡ってみてはいかがでしょう。紅葉に包まれながらの散策は、気分転換にも最適です。屋島では、まるで過去にタイムスリップしたかのような、そんなひと時が過ごせます。
■住所:香川県高松市屋島
■電話番号:087-839-2416(高松市役所創造都市推進局)
■アクセス:高松空港より車で約40分
弘法大師空海の生まれた地!善通寺
香川県の北西部に位置する善通寺市は、弘法大師空海ゆかりの寺院「善通寺」の門前町として栄えました。弘法大師三大霊跡のひとつに数えられる善通寺の、歴史や見どころを紹介します。
善通寺ってどんなところ?東院「伽藍」を紹介!
善通寺市の名前の由来になった善通寺は、JR善通寺駅から歩いて15分ほどの場所にある寺院です。平安時代初頭の807年に創建された寺院で、空海の父・佐伯田公の諱(いみな-生前の徳行によって死後に贈る称号)である「善通」をとって、善通寺と名づけられました。
善通寺は、正式には「屏風浦五岳山誕生院善通寺」と言います。「誕生院」とあるように、善通寺は空海が生まれた場所です。そのため、京都の東寺、和歌山の高野山と並ぶ、「弘法大師三大霊跡」のひとつとして、古くから篤い崇拝を集めてきました。
善通寺の境内は、「伽藍」と称される東院、「誕生院」と呼ばれる西院の2つのエリアに分かれています。東院で見ておきたいのが、国の重要文化財の「金堂」です。金堂は善通寺の本堂で、厳かで風格ある佇まいをしています。創建時の金堂は1558年に焼失してしまい、現在見られるのは1699年に再建されたものです。煌びやかな装飾はほとんどありませんが、簡素な造りが、金堂内に座するご本尊・薬師如来像の堂々とした風格を引き立てています。
西院「誕生院」でこれは外せない!
西院でぜひ訪れたいのが、空海生誕の地「御影堂(みえどう)」です。御影堂の内部は金色や朱色の装飾で彩られていますが、これはお経の世界を再現しているそうです。その地下にある「戒壇めぐり」は、色鮮やかな堂内とは真逆の雰囲気をまとった通路で、ここでは、真っ暗な100mの通路を壁を伝いながら巡る精神修養が体験できます。
真っ暗闇の中を壁伝いに進むのはとても恐ろしいことですが、視覚以外の感覚と心の眼で見て進んでいきましょう。暗闇の中では、自分の内面にある恐怖や不安と戦うことになります。そうして自分と向き合い、光の射す方向へ歩んでいけば、先ほどとは違う自分に巡り合えるはずです。
四国八十八箇所霊場って?
香川県をはじめ、四国を観光する際によく見かける「四国八十八箇所」の案内。これは、四国にある空海ゆかりの88の寺院のことで、これを巡ることを「お遍路」、お遍路を巡る人のことを「お遍路さん」と言います。現在の第1番札所は徳島県の霊山寺ですが、元々は善通寺が第1番札所でした。
お遍路さんにおすすめしたいのが、善通寺西院にある「お砂踏み道場」です。ここには四国八十八箇所霊場全てのご本尊が祀られており、足元には各寺院の砂が敷かれています。お砂踏み道場は本来、体調が悪く全てを巡れない人のために設けられたもので、お砂踏み道場を参拝するだけで、88ヵ所を巡ったのと同じ徳が得られると言われています。普段一般公開されていないご本尊をここでは見ることができます。これもお砂踏み道場の魅力のひとつ。細かな細工が施された優しいお顔のご本尊を見ていると、自然と心が安らぎます。
また、善通寺にはお遍路さんや遠方からの参拝客向けの宿坊「いろは会館」があります。宿坊内には温泉もあり、お遍路や旅行での体の疲れをしっかり癒すことができそうです。朝のお勤めに参加できるのも、宿坊ならではの楽しみ方。普段とは違った旅に出かけたい、という方は宿坊に宿泊してみてはいかがでしょう。
■住所:香川県善通寺市善通寺町3-3-1
■電話番号:0877-62-0111
■営業時間:金堂 7:00~17:00
御影堂 朝勤行~17:00
納経所 7:00~17:00
金堂御守所 8:00~17:00
お砂踏み道場 9:00~16:00
■アクセス:高松空港より車で約40分
石垣の名城!丸亀城
高松市に次ぐ香川県第二の都市、丸亀市。かつては金刀比羅宮の参拝口で、金刀比羅参りのお土産として、丸亀うちわの製造が盛んに行われていました。現在でも、全国のうちわの生産量の9割を丸亀うちわが占めています。そんな丸亀市の中心市街地にあるのが「丸亀城」です。
丸亀城ってどんなところ?
丸亀市屈指の観光スポット・丸亀城は、織田信長や豊臣秀吉に仕えた生駒親正によって、1597年に築城されたお城です。丸亀城は高松市にある高松城の支城として築かれ、1602年に完成したと言われています。しかし、江戸幕府が1615年に「一国一城令」を出したため、讃岐では高松城を残し、丸亀城は廃城となってしまいました。
丸亀城が異例の再建を遂げたのは1641年のことです。生駒親正がお家騒動で転封となり、丸亀藩が立藩。城主となった山崎家治が入国し、1643年から丸亀城の大改修を行いました。山崎家治は「築城の名手」と言われていますが、築城だけでなく城下町の経営や整備にも手腕を振るったと言われています。
丸亀城の大改修着手から30年余りたった1673年に丸亀城は完成し、その時の石垣や天守は当時のまま現存しています。江戸時代に造られた天守は、廃城令や空襲で無くなってしまったものがほとんどで、現在国内に残る江戸時代の天守は12の城のみ。丸亀城はそのうちのひとつで、昨今では城ファンが「一度は行きたい」と声を挙げる、人気の名城になりました。
石垣の名城!様々な積み方を間近で見てみて!
丸亀城は別名「石垣の名城」とも呼ばれており、高く勾配のある石垣が特徴です。特に見てもらいたいのが、海側にある三の丸の石垣です。1660年までは、丸亀城の入口・大手門は三の丸付近にありました。つまり、この三の丸の石垣はまさに、丸亀城の顔とも言える部分だったのです。
三の丸の石垣は横配列を意識した「布積み」と呼ばれる積み方でできています。そして、最大のポイントが石と石の間に詰められた間詰め石と、急勾配の曲線です。間詰め石がなければ石と石の隙間を足場にして敵が登ってくる可能性がありますし、勾配が無ければより登りやすくなってしまいます。三の丸の石垣は、見た目だけでなく機能性も重視して積まれています。
山崎家治が丸亀城の改修を行った当初、幕府はキリシタンの蜂起を恐れ、九州や瀬戸内のお城の強化を進めていました。丸亀城もそのうちのひとつで、幕府が金銭的な支援を行い、突貫工事をさせたそうです。現在の三の丸、つまり当時の大手門から見た丸亀城は、石垣が大きく立ちはだかり、一揆をする気力もなくなるような、そんな威圧感のある壮大な姿だったと言われています。
秋にはイベントを開催!
紅葉を迎える11月末の丸亀城では、食欲の秋を満喫できる「丸亀城グルメフェスタ」が開催されます。ラーメンやコーヒーなど市内の人気店のグルメが味わえるほか、丸亀城鉄砲隊による火縄銃の実演や、ご当地ゆるキャラとのふれあいなど、大人から子供まで一緒に楽しめるイベントが様々実施されます。
また、9月中旬から11月下旬までは、丸亀城がライトアップされる「丸亀城キャッスルロード」が開催されます。美しい曲線を描く石垣や、重要文化財に指定されている大手門などが、青や緑のライトで、幻想的に照らされます。日中とは違った、大人な雰囲気に包まれる丸亀城は、デートにもぴったりです。
■住所:香川県丸亀市一番丁
■電話番号:0877-22-0331(丸亀市観光協会)
■営業時間:天守 9:00~16:30
大手一の門 9:00~16:00
■アクセス:高松空港より車で約40分
お庭の国宝と称される!栗林公園
四国の玄関口として、大きな役割を担っている香川県最大の都市・高松市は、高松松平家が治める城下町として栄えました。「栗林(りつりん)公園」は、そんな高松市にある日本庭園です。
栗林公園ってどんなところ?
栗林公園の始まりは、1631年に高松藩を治めた生駒家家臣・西嶋八兵衛による治水工事だと言われています。作庭は後に高松藩を治めた高松松平家に引き継がれ、1745年に庭園が完成しました。その後も歴代藩主が改修を重ね、一般公開が始まったのは、明治時代の1875年のことです。
日本の庭園として有名なのは、金沢の兼六園、水戸の偕楽園、岡山の後楽園の3つを指す「日本三名園」ではないでしょうか。しかし、明治時代の終わりに発行された当時の教科書「高等小学読本」には、栗林公園の木や石の雅な趣は、日本三名園より優れている、と記載されています。その美しさから1922年には国の名勝に指定され、歴代天皇も来園されました。
栗林公園の見どころとは?
栗林公園は東京ドーム約3.5個分の広大な敷地を有する、日本最大級の庭園です。庭園内は、江戸時代の大名庭園としての面影を残す「南庭」、明治時代以降に整備された、近代的な「北庭」に分かれており、それぞれ違った景色が楽しめます。
南庭でおすすめしたいのが、築山の「飛来峰」。富士山に見立ててつくられたこの築山は、栗林公園一の絶景スポットです。飛来峰からは、アーチ形が美しい「偃月橋(えんげつきょう)」や、歴代藩主の愛した「掬月亭(きくげつてい)」などの南庭の人気スポットが一望できます。
また、香川県は、日本一の松盆栽の生産量を誇っています。北庭には松盆栽の生産地を象徴するように、至るところに松が植えられています。皇族が手植した松や、樹齢100年を超える松などもあり、北庭は松の博物館とも言えます。
特別名勝に指定されている庭園は、現在全国に24ヵ所あります。そのほとんどが、一つの場所から景観を楽しむ「座観式」という様式でできていますが、栗林公園は園内を散策しながら景観を楽しむ「池泉回遊式」という様式で作庭されているのが特徴です。また、栗林公園は、公園の西にある紫雲山を背景の一部に取り入れた、「借景」という造園手法が用いられて作庭されています。紫雲山を背景とした庭園は、まるで山の中にある秘密の場所といった趣。ぜひ庭園をゆっくり散策しながら、一歩一景の風景を楽しんでください。
和船に乗って雅なひと時を!
高松市屈指の観光スポット・栗林公園をより楽しみたい方は、和船での遊覧がおすすめです。和船は南庭にある南湖を、歴代藩主が愛した掬月亭や、偃月橋などを見ながら30分間で巡ります。秋は紅葉が美しい「楓岸(ふうがん)」に近づいてくれるので、栗林公園の紅葉を違った角度から楽しめます。
和船の乗船チケットは、利用当日に栗林公園の東門券売所で買うことができますが、休日や入場者が集中する時間帯は、予約で埋まっていることがあります。栗林公園の公式ホームページから事前予約ができるので、早めに予約しておくと確実に乗船できます。
■住所:香川県高松市栗林町1-20-16
■電話番号:087-833-7411
■営業時間:2月 7:00~17:30
3月 6:30~18:00
4月・5月 5:30~18:30
6月~8月 5:30~19:00
9月 5:30~18:30
10月 6:00~17:30
11月 6:30~17:00
12月・1月 7:00~17:00
■アクセス:高松空港より車で約20分
レトロな武家屋敷跡地!多度津の街並み
南は讃岐平野、北は瀬戸内海国立公園に面した、風光明媚な町・多度津(たどつ)町。四国八十八箇所霊場の第77番札所「道隆寺」や、少林寺拳法発祥の地「金剛禅総本山少林寺」など寺社仏閣も多く、歴史あふれる独特の景観を有する町です。そんな多度津の歴史や町並みなど見どころを紹介します。
多度津ってどんなところ?
多度津の町並みの始まりは、江戸時代の1694年に遡ります。当時讃岐を治めていた丸亀藩の藩主は、生駒家、山崎家、京極家と続いていました。京極家2代藩主が死去した際、跡継ぎの高或(たかもち)はわずか3歳。高或の兄3人は早世していたため、高或が夭折してしまえば、お家断絶という可能性がありました。このことを避けるため、高或のすぐ上の側室の子・高通(たかみち)を後見人として、1694年に多度津藩が立藩することになります。
多度津藩3代藩主の頃までは、丸亀城の城内に陣屋がありましたが、4代藩主高賢が幕府に陣屋の建設を願い出て認められ、1827年に多度津の陣屋建設が始まりました。この頃に建てられた武家屋敷の一部が現在でも多度津に残っており、当時の面影を感じられるレトロな街並みを形成しています。
立藩した当時の多度津藩は、1万石の小藩でした。しかし、お金をかけて港を整備し、北前船の寄港地として発展していきます。その港には北前船だけでなく、金刀比羅参りの船も多く立ち寄ったそうです。志賀直哉の代表作「暗夜行路」や、司馬遼太郎の長編小説「菜の花の沖」など、多くの小説に当時の多度津の賑やかな様子が描かれています。
多度津のおすすめ観光スポット
多度津藩の陣屋が立ち並び、北前船の寄港地として発展していった多度津。その繁栄の様子が今でも感じられるスポットのひとつが、「家中舎(かちゅうしゃ)」です。家中舎は多度津藩家老の武家屋敷をリノベーションした建物で、結婚式場、レストラン、宿を兼ねています。レストランでは、瀬戸内海で獲れた海鮮や、地元野菜を使用したランチ、ディナーを提供しており、デートや家族での食事におすすめです。ランチ、ディナーともに2日前までの予約が必要で、結婚式がある日は予約ができない場合があります。家中舎の公式ホームページを事前に確認しておきましょう。
近代の多度津の発展には、7人の豪商が深く関係しています。その7人は「多度津七福神」と呼ばれ、それぞれが多度津に邸宅や倉庫を建てました。現在の多度津には、多度津七福神のひとり合田房太郎の邸宅「合田邸」が残っています。合田房太郎は県内初の私立銀行の取締役、電気会社の社長などを務めた実業家です。合田邸は大正から昭和初期に建てられたもので、大正ロマンを象徴する細工が至るところに施されています。近代の多度津の栄華を後世に伝えるスポットです。事前に電話予約をすれば、合田邸内部を見学することができます。
町並みを一望!桃陵公園
合田邸から歩いて10分ほどの場所にある「桃陵(とうりょう)公園」からは、多度津の街並みや瀬戸内海が一望できます。秋には紅葉が美しく、公園一面が落葉のじゅうたんに包まれる風景は、絶対見逃せない秋の光景です。桃陵公園のシンボルとも言えるメロディー時計「カリヨン」は、大小12のベルがついており、軽快な音楽とともに時間を知らせてくれます。その音楽をBGMに、多度津の街並みや紅葉を楽しんでみてはいかがでしょう。
■住所:香川県仲多度郡多度津町
■電話番号:0877-33-1116(多度津町観光協会)
■アクセス:高松空港より車で約40分
食欲の秋!自作うどんがつくれる中野うどん学校
今や香川県と言えば「うどん」というほど、香川県で忘れてはならない讃岐うどん。香川県がうどん県に名前を変えた、という設定の動画は、SNSや動画配信サイトで話題になりました。ここでは、香川県とうどんの歴史や、気軽に手打ち体験が楽しめる「中野うどん学校」について紹介します。
なぜ香川県のうどんは有名なの?
うどん県の愛称で親しまれる香川県ですが、なぜここまでうどんが有名になったのでしょう。まず理由のひとつとして挙げられるのが、香川県の気候です。香川県は温暖な瀬戸内海に面し、降雨量が少ないという特徴があります。そのため、干ばつを起こすことが多く、水稲栽培に適さない場所でした。そこで考えられたのが、二毛作で小麦を育てることでした。贅沢品であるお米の代わりに、小麦を使用した料理として考えられたのがうどんでした。
小麦と並び、うどん作りに欠かせないのが塩の存在です。香川県は塩の生産が盛んな地域です。この塩は北前船の発達により、全国に流通するようになりました。北前船によって運ばれるのは、物だけではありません。北前船によって都市部との交流が盛んになり、香川県に醤油づくりの技術が持ち込まれました。当時の醤油をつくる技術は、江戸などの都心部でしか広まっていなかったと言われています。うどんを食べるとき、醤油は欠かせませんよね。こういった香川県を取り巻く情勢により、香川県にうどんをつくる文化が生まれました。
あのスポットにも昔からうどん店があった?!
先ほど、金刀比羅宮を参拝する金刀比羅参りは、お伊勢参りと並び、日本人の憧れの的だったと紹介しました。現在でも金刀比羅宮の参道にはたくさんの飲食店やお土産店が並んでいますが、江戸時代には既に200を超えるお店があったと言われています。その活気ある様子が伺えるのが、18世紀初頭に描かれた「金毘羅祭礼図屏風」です。そこには、少なくとも3軒のうどん店が描かれています。
江戸時代後期になると、金刀比羅宮の参道には参拝客向けの旅籠が多く立ち並ぶようになりました。その多くが、1階部分がうどん店になっていて、この地域では江戸時代からうどんがよく食べられていたことが分かります。また、金刀比羅参りの参拝客を乗せた船が寄港する丸亀や多度津にも、多くのうどん店があったそうです。
ノリノリでうどんの手打ち体験ができる!中野うどん学校
高松市と金刀比羅宮の参道の、2つの場所に校舎のある中野うどん学校は、気軽にうどんの手打ち体験が楽しめる施設です。まずは、あらかじめ準備されたうどん玉を伸ばして切っていく体験からスタート!切るときには、細めに切るのが上手につくるポイントです。ここでつくったうどんは、手打ち体験終了後に食べることができます。
次は粉を捏ねる段階から始まり、足踏みをしてコシを出します。足踏みをする工程は、子供から大人まで楽しめる、中野うどん学校でも特に人気のポイントです。誰でも知っているヒット曲が流れるので、音楽に合わせてノリノリで足踏みしましょう。できたうどんは自宅に持ち帰って、習った通りに伸ばしたり、手切りしたりして味わえます。旅行のお土産にも最適ですし、家族や友人、恋人と参加すれば素敵な思い出になること間違いなしです!
■住所:琴平校 香川県仲多度郡琴平町796
高松校 香川県高松市成合町8
■電話番号:琴平校 0877-75-0001
高松校 087-885-3200
■営業時間:琴平校 8:30~18:00
高松校 9:00~17:00
■アクセス:琴平校 高松空港より車で約40分
高松校 高松空港より車で約15分
秋の香川県だからこそ楽しめるひと時を!
秋の香川県でおすすめしたい観光スポットを8ヶ所、各スポットの歴史やフカボリ情報、魅力などを交えて紹介しました。うどんや、古くから日本人に親しまれてきたスポット、歴史の転換点、日本を代表する名城や公園など、香川県には魅力の詰まったスポットが満載です。各スポットともに、紅葉シーズンを迎える秋にはほかの季節とは一味違った、美しい景観が楽しめます。今年の秋は、香川県へ足を運んでみませんか?