愛媛県と言ったら、みなさんは何をイメージしますか?夏目漱石の名作「坊っちゃん」の舞台・松山市や、ご当地ゆるキャラで人気の今治市など、全国的に知名度の高いスポットを思い浮かべる方が多いかもしれません。今回は、みなさんもよく知る定番スポットから、穴場スポットまで、秋におすすめしたい愛媛県の観光スポット7ヶ所を、その魅力や歴史とともに紹介します。

都会の喧騒と離れて!鈍川渓谷

愛媛県の北東部に位置する今治市は、江戸時代に今治城の城下町として栄え、現在では日本有数のタオルの生産地として知られています。2012年には、今治市をイメージしたゆるキャラ・バリィさんが、ゆるキャラグランプリで王者になりました。そんな今治市にある「鈍川(にぶかわ)渓谷」は、散策を楽しめる愛媛県屈指の景勝地です。

鈍川渓谷ってどんなところ?

鈍川渓谷は、松山市と東温市の市境を源流とする蒼社川の支流、木地川にある渓谷です。渓谷一帯が「奥道後玉川県立自然公園」に指定されており、透明度の高い清水や、ゴツゴツとした自然そのままの奇岩を見ることができます。渓谷を流れる清らかな水にはマスやアメノウオなどが生息しており、渓谷の上流では渓流釣りを楽しむ人も。鈍川渓谷沿いには、ニジマス釣りができる「門岡養殖場」があるので、釣り道具を持っていなくても、渓谷の自然を堪能しながら釣りが楽しめます。
また、鈍川渓谷に沿って車道が整備されているのも魅力的なポイントです。窓を開けて、川のせせらぎをBGMにドライブを楽しんでみてはいかがでしょう。鈍川渓谷から車で15分ほどの場所には、玉川ダムの建設によってできたダム湖「玉川湖」があり、こちらは愛媛県屈指のドライブスポットとして有名です。鈍川渓谷、玉川湖ともに、今治市街地から車で30分ほどの場所にあります。山間部の自然を満喫したい方におすすめのスポットです。

鈍川渓谷の紅葉の見頃は?

秋には観光客で賑わう鈍川渓谷。紅葉の見頃は、11月中旬から下旬にかけてです。鈍川渓谷には遊歩道が整備されており、1時間から2時間ほどで巡ることができます。
散策のスタート地点としておすすめのスポットは、渓谷沿いにある「ふれあいの森 森林館」です。駐車場があるので現地まで車で向かう方には便利ですし、遊歩道の案内看板が立っているので、散策に出発する前に経路を確認できます。ふれあいの森 森林館の館内には、近隣の林業で使用されていた道具や、周辺に生息する動物の剥製などが展示されており、鈍川渓谷の歴史を学ぶにも最適なスポットです。
ふれあいの森
森林館をスタートしてまず見えてくるのが、朱色が特徴の「水源の森橋」です。橋を渡ると、森の中は鳥のさえずりや、川のせせらぎしか聞こえません。都会の喧騒を離れ、心安らぐひと時が過ごせそうです。遊歩道をどんどん進んでいくと、鈍川渓谷に架かる2つ目の橋「ふれあい橋」が見えてきます。吊り橋なので人が渡ると揺れますが、橋の上から見下ろす、紅葉に包まれた渓谷の姿は格別です。
遊歩道には階段や坂道がいくつかあり、雨が降った後だとぬかるむ場所もあります。散策の際はスニーカーなど、歩きやすい靴を履きましょう。

散策の後は鈍川温泉へ!

鈍川渓谷を散策した後は、風情あふれるレトロな街並みの「鈍川温泉」に立ち寄ってみませんか?鈍川温泉は平安時代に発見された歴史ある温泉地で、江戸時代には今治藩の湯治場として栄えました。現在は道後温泉に次ぐ愛媛県内で人気の温泉地として、地元の人たちに親しまれています。
鈍川温泉のお湯はラドンの含有量が多く、美肌の湯として有名です。温泉街には鈍川渓谷の散策後に気軽に立ち寄れる日帰り入浴施設「鈍川せせらぎ交流館」や、渓流を眺めながら湯浴みが楽しめる「美賀登」など、5つの入浴施設や宿があります。今治市街地から車で30分ほどなので、愛媛旅行の拠点として利用するのもおすすめです。

■住所:愛媛県今治市玉川町鈍川

■電話番号:0898-55-2211(今治市役所玉川支所住民サービス課)

■アクセス:松山空港より車で約1時間10分

東洋のマチュピチュと呼ばれた銅山!別子銅山

別子銅山_愛媛県
機械産業や化学工業の企業や工場などが集まる新居浜市は、別名「工都」とも呼ばれています。その足がかりとなったのが、江戸時代に開坑された「別子銅山」。江戸時代から昭和まで、長年にわたり、日本の産業や人々の生活を支えてきた、別子銅山の歴史や、現在の見どころを紹介します。

別子銅山ってどんなところ?

別子銅山は、今から300年以上も昔の江戸時代、1690年に別子山村で発見された銅山です。明治時代には鉄を運ぶための鉄道が敷かれ、周辺には鉄の採掘の関連施設として金属精錬所や、化学工業などが築かれました。長い歴史に幕を下ろしたのは、1973年のこと。現在でも当時の面影を残す採掘場跡地などの遺構が残されており、世界遺産登録を目指す働きかけがなされています。
別子銅山はおおまかに、銅山が発見された「旧別子地区」、別子銅山一の見どころ「東平(とうなる)地区」、道の駅のある「端出場(はでば)地区」、閉山まで利用された「筏津(いかだつ)地区」、鉄の精錬所があった「四阪島(しさかじま)地区」の5つに分けられます。四阪島は住友金属鉱山の私有地のため立ち入ることはできませんが、ほかの地区は観光地として整備してあったり、登山道が整備してあったりと、実際に見学することが可能です。ここでは、旧別子地区と筏津地区、端出場地区と東平地区に分けて、見どころを紹介します。

静寂に包まれる旧別子地区・筏津地区

最初に紹介する旧別子地区は、別子銅山が発見された場所です。1916年に採鉱本部が東平に移るまでは、旧別子に鉱山の拠点がありました。旧別子地区を見学するには、山を登らなければなりません。目印は、別子ダムそばにある「旧別子銅山跡入口」という看板。駐車場とトイレが整備してあり、ここが登山のスタート地点になります。
山道を登っていくと、明らかに人の手が加わったことが分かる石垣が見えてきます。そこは小学校の跡地で、明治時代には約300人の子供たちが通ったそうです。当時は子供たちの元気な声が響き渡っていたであろうこの場所は、現在は静かに、自然に還ろうとしています。このほか、1,000人を収容した劇場跡や、鉱山役員の宅地跡などが残されているので、ぜひ秋の紅葉を眺めながら、散策を楽しんでみてください。
旧別子銅山跡入口の看板から車で5分ほどの場所には、別子銅山閉山まで利用された筏津抗があり、2019年から一般公開されています。坑道内には岩を削る道具が展示されているほか、岩を削った跡や火薬庫などを見学することができます。ちなみに入場料は無料です。

まるで空中都市!端出場地区・東平地区

端出場地区は、昭和初期から閉山まで利用されていた地区です。現在は道の駅「マイントピア別子」としてリニューアルされ、鉱山内部を公開しています。鉱山の仕事を人形を使って説明したり、砂金採り体験ができたりと楽しく学べる工夫が施されているので、子供連れの方にもおすすめです。
マイントピア別子からは、1日に2回、東平地区へのシャトルバスが運行されています。東平地区には、大正から昭和初期にかけて鉱山本部が置かれていました。現在は、花崗岩造りの倉庫や、保安本部、発電所跡地などが残されています。建物には苔が生し、まるでペルーの空中都市・マチュピチュのように見えることから、「東洋のマチュピチュ」と呼ばれるようになった東平地区は、別子銅山の顔とも言える地区です。まるで異空間に迷い込んでしまったかのようなひと時が過ごせます。東平地区へは自家用車でも行けますが、道中の道幅が狭いので、シャトルバスの利用がおすすめです。

■住所:愛媛県新居浜市周辺

■電話番号:0897-43-1801(道の駅マイントピア別子)

■アクセス:松山空港より車で約1時間30分

日本三大カルストのひとつ!四国カルスト

四国カルスト県立自然公園
晴れた日の多い秋は、絶好のドライブシーズン!愛媛県の人気ドライブスポット「四国カルスト」は、愛媛県と高知県の県境に位置する台地です。牧歌的な風景が広がる四国カルストが形成されるまでの流れや、見どころを紹介します。

四国カルストってどんなところ?

四国カルストは、山口県の秋吉台、福岡県の平尾台と並ぶ「日本三大カルスト」のひとつです。四国カルストは、水に溶けやすい石灰岩でできた地層が、雨水や風によって浸食されて形成されました。白いゴツゴツとした石灰岩が、地面から露出しているのが特徴です。源平合戦で敗れた平家がこの地へ訪れた際、白い岩が源氏の追手に見えて、驚き逃げて行った、という逸話も残されています。
四国カルストを東西に縦断する国道383号線は、通称「天空の道」と呼ばれ、「日本百名道」に選ばれました。道中には「大野ヶ原」、「姫鶴平」、「五段高原」、「天狗高原」の4つのビュースポットがあり、それぞれのスポットから見る四国カルストはまさに絶景です。今回は、牧歌的な風景が広がる大野ヶ原と、天空の道の玄関口・姫鶴平について詳しく紹介します。

大野ヶ原は日本のスイス?!

大野ヶ原は、四国カルストの西端に位置するエリアです。大野ヶ原の特徴は、ほかの3つのビュースポットとは違って、人が暮らしていること。民家や牧場、サイロなどが草原の中に点在していて、まるでスイスのようなのどかな景色が広がっています。大野ヶ原にある「ポニー牧場」では、牛やヤギ、羊などを飼育しており、見学のほか餌やり体験もできるので、子供はもちろん、大人も童心に返って自然と触れ合えるスポットです。
大野ヶ原で人気なのが、搾りたての牛乳や手作りスイーツが味わえるカフェ「もみの木」。ポニー牧場のすぐ隣にあるお店です。こちらのお店の一番人気は、数量限定の手作りチーズケーキです。チーズの濃厚な味わいがたまらない逸品で、日曜日や祝日は、13時に完売してしまうこともあるそうです。予約はできないので、ぜひ味わいたいという方は早めに行くようにしましょう。
大野ヶ原はほかの3つのビュースポットよりも、比較的観光客が少ないので、牧歌的な風景をより楽しめます。落ち着いて観光したい、という方におすすめのスポットです。

アウトドア好き必見の姫鶴平

四国カルストの観光拠点・姫鶴平は、国道383号線のほぼ中央部にあるビュースポットです。カルスト台地特有の、緑色の草原の至るところから顔を出す白い岩と、風力発電の風車が立つ姫鶴平の光景は、四国カルストの顔とも言えます。
姫鶴平の風景を楽しんだ後は、ぜひレストラン「姫鶴荘」に立ち寄ってみてください。おいしいと評判のソフトクリームのほか、あまごを使った定食、2人以上から予約できるバーベキューなど、食欲の秋にぜひ味わいたいメニューが豊富です。四国カルストの絶景を眺めながらの食事は、一層美味しくいただけること間違いなし!
姫鶴平には、四国カルストの大パノラマを一日中満喫できるキャンプ場が整備されています。日中の風景ももちろん美しいですが、昼間とは雰囲気をガラッと変える夜の景観は、姫鶴平に宿泊した人しか見られません。視界を遮るものがなく、人工的な光も少ない姫鶴平の夜には、まるで空から降ってきそうなほどの満天の星空が広がります。ただし、四国カルストは標高が高く夜になると冷え込むので、天体観測をする際には防寒対策をしっかりしましょう。

■住所:愛媛県西予市、上穴浮郡久万高原町、喜多郡内小町、高知県高岡郡梼原町、津野町

■電話番号:0892-21-1192(久万高原町観光協会)
0894-72-1111(西予市野村支所)

■アクセス:松山空港より車で約1時間50分

繊細な滝と紅葉が美しい!白滝公園

かつては大洲藩が治め、大洲城の城下町として栄えた大洲市は、別名「伊予の小京都」と呼ばれる、風情あふれる町並みの残る街です。そんな大洲市にある「白滝公園」では、毎年11月末に、とある悲話にまつわるお祭りが開催されます。

白滝公園ってどんなところ?

JR予讃線の伊予白滝駅を降りると、そこには風情ある町並みが広がっています。石畳の道路がその風情をより一層引き立たせ、まるで過去にタイムスリップしたかのような感覚に。そんな感覚に浸りながら5分ほど歩くと、白滝公園の入口が見えてきます。入口には公園内の地図が書かれた案内板があるので、散策の前に確認しておきましょう。
白滝公園は、その名の通り滝がある公園です。公園内には大小7つの滝があり、秋には錦絵の中に一本の白糸が縫うように走る、幻想的な風景が楽しめます。白滝公園の目玉とも言える滝が「雌滝(めだき)」です。上下2段に分かれているのが特徴で、高さ85mのところから落ちる繊細な水の流れが、見るものを惹き付けます。
また、公園内に整備された遊歩道の至るところに、にっこりとほほえむ「夢わらべ」という人形が佇んでいます。これは愛媛県を拠点に活動する陶人形作家・善めいさんの作品です。現代人が忘れかけている思いやりの気持ちを思い出させてくれる、と言われています。公園内を散策の際は、ぜひ探してみてください。優しい笑顔を見ているだけで、心がほっこりしてきます。

毎年11月末に開催される「るり姫まつり」について

白滝公園で毎年11月末に行われる「るり姫まつり」は、和服を着た少女や、みこしを担いだ男の子たちが、駅前や白滝公園内を練り歩く伝統行事です。このまつりには、ある悲話が隠されています。
時は遡り、戦国時代の1570年のこと。大洲市にあった米津城は土佐の長宗我部氏との攻防を繰り返していました。城主の妻・瑠璃の方は薙刀、その娘は手裏剣の名手だったため自ら敵と戦い、やっとの思いで包囲網をくぐり抜けることに成功しました。しかし、侍女の不用意な一言で相手勢力に残り矢の少ないことを悟られ、瑠璃の方一行は敵に包囲されてしまいました。
敵にとらわれることをよしとしなかった瑠璃の方は、2歳の跡継ぎ・尊雄丸を脇に抱え、60mの高さから滝に身を投げます。これに続いて、侍女たちも滝に身を投げました。その滝が、現在の白滝公園にある雌滝だと言われています。るり姫まつりはこの伝説にちなんで行われています。
るり姫まつりの見どころは、お昼12時のサイレンとともに、雌滝へと花みこしが落とされる瞬間。少女たちの扮するるり姫が見守る中、瑠璃の方が尊雄丸を抱えて飛び込んだのと同じ60mの高さから、花みこしが落ちていきます。紅葉に包まれた雌滝の滝つぼに、花みこしがぽっかりと浮かぶ光景は、とっても幻想的。お祭りの終了を惜しむような歓声が、観光客の口々から発せられます。

あの詩人が愛した白滝公園

白滝公園の遊歩道を、雌滝を目指して歩いて行くと、歌碑が目に入ります。この歌碑は、「シャボン玉」や「赤い靴」でおなじみの詩人・野口雨情の歌碑です。野口雨情は1935年の秋に何度か白滝公園を訪れ、俳句を10句詠みました。その10の句にはメロディーがつけられ、かつては街中でいつも流れていたそうです。歌碑には、その10句が刻まれています。錦秋に包まれた白滝公園を見れば、野口雨情がなぜこの場所に心惹かれたのかが分かるはずです。

■住所:愛媛県大洲市白滝

■電話番号:0893-24-1719(大洲市役所都市整備課都市計画係)

■アクセス:松山空港より車で約1時間

日本七霊山のひとつ!石鎚山

「石鎚山(いしづちやま)」は、愛媛県の西条市と久万高原町の境に位置する、標高1,982mの西日本最高峰です。かつては山岳信仰の山として篤い崇拝を受け、現在でも山頂にある石鎚神社の奥宮「頂上社」を目指す登山客が絶えません。そんな石鎚山の歴史や見どころを紹介します。

石鎚山ってどんなところ?

日本は古くから、地震や噴火、雪崩など自然災害が多く発生してきました。昔の人々はこれを「山の神が怒ったからだ」と考え、山をはじめとする自然を敬い、畏れたのです。これを山岳信仰と言います。その一方で、当時は明かりや道が整備されておらず、むやみに山へ立ち入ることは、自分の命を危険にさらすことでもありました。山岳信仰は、自分の身を自然の脅威から守るための手段のひとつとして広まったのではないか、とも言われています。
後に山岳信仰は、仏教や日本古来の神道と結びつき、日本独自の宗教「修験道」が生まれました。石鎚山は奈良時代には修験道の修行道場として知られ、修験道の開祖・役小角(えんのおづぬ)や、弘法大師で知られる空海が修行したと言われています。現在の石鎚山は、富士山や白山などと並ぶ、「日本七霊山」のひとつです。

石鎚山登山にはロープウェイがおすすめ!

石鎚山登山を楽しみたい方、気軽に散策したい方におすすめなのが、山麓下谷駅から山頂成就駅までを8分で結ぶ「石鎚登山ロープウェイ」の利用です。秋には紅葉が見頃を迎え、ゴンドラからは石鎚山の雄大な大パノラマが広がります。
石鎚山の最大の見どころと言えるのが、石鎚神社の中宮「成就社」と、奥宮「頂上社」です。石鎚神社は奈良時代に創建された神社で、本社はJR予讃線の石鎚山駅近くにあります。成就社は山頂成就駅から歩いて20分ほどの場所にあり、登山に自信のない方でも気軽に足を運べます。成就社は、文字通り願いを叶えてくれる社として有名です。今後の目標や、登頂の成功など、今叶えたい願い事をぜひ祈ってみてください。
奥宮の頂上社は、石鎚山の山頂にあります。成就社からは2時間から3時間ほどかかりますので、本格的な登山をしなければなりません。途中ほぼ垂直の岩場を鎖を伝って登る「鎖場」がありますが、迂回路が用意してあるので、経験のない方でも登山可能です。また、5月から11月までは山頂社の山荘に宿泊することもできるので、神々しい朝焼けや満天の星空など、山頂でしか見られない風景を眺めてみてはいかがでしょう。

石鎚山の楽しみは登山だけじゃない?!

石鎚山では、毎月金曜日、土曜日、日曜日に、天体観測イベント「石鎚山スターナイトツアー」が開催されます。会場は山頂成就駅から歩いて5分ほどの場所なので、山頂まで登り切れる自信がないという方や、足腰の弱い方、子供連れの方などでも、通常は山頂社の山荘に宿泊しなければ見られない石鎚山からの星空を気軽に観測することができます。
秋の石鎚山スターナイトツアーは、19時から開催されます。開始前に山麓下谷駅で受付を済ませ、ロープウェイで会場まで向かいましょう。ベテランのガイドさんは分かりやすい説明をしてくれますが、双眼鏡や星座のアプリなどをダウンロードして準備しておくと、もっと星空が楽しめますよ。
山頂成就駅周辺は標高が高いので、平地よりも気温が5~10度違います。しっかりと防寒対策をして、一度見たら忘れられない満天の星空を楽しんでください。

■住所:愛媛県西条市、久万高原町

■電話番号:0897-59-0331(石鎚登山ロープウェイ)

■アクセス:松山空港より車で約1時間30分

日本三古湯のひとつ!道後温泉

「親譲りの無鉄砲で、子供の時から損ばかりしている」。この書き出しでおなじみの夏目漱石の名作「坊っちゃん」は、愛媛県松山市が舞台です。主人公の無鉄砲でやんちゃな性格に、親しみを覚えたり、ハラハラさせられたりしたことのある方は多いのではないでしょうか。坊っちゃんの作中にも登場する「道後温泉」の歴史や見どころを紹介します。

道後温泉ってどんなところ?

愛媛県を代表する観光スポット・道後温泉は、約3,000年の長い歴史を持つ温泉街として有名です。兵庫県の有馬温泉、和歌山の白浜温泉と並び、「日本三古湯」のひとつにも数えられています。道後温泉の発見には諸説ありますが、一羽の白鷺が岩の間から出るお湯で傷を癒しているのを見た住民が、お湯に手を浸し効能を確かめた、というのがひとつの有力な説です。ほかにも、日本神話において、大国主命が海底に管を通してお湯を引いた、という説もあります。
道後温泉の源泉は18あり、源泉によって温度はまちまちですが、温度の高いお湯と低いお湯を合わせることで、42度ほどの丁度良い温度にしています。加水をしない、源泉かけ流しのお湯が自慢です。道後温泉のお湯はアルカリ性単純泉で、角質を落とす効果があることから、美肌の湯としても知られています。アルカリ性単純泉は肌に優しく、なめらかな肌触りなので、道後温泉は大人から子供まで一緒に楽しめる温泉と言えるでしょう。

道後温泉のシンボル!道後温泉本館

道後温泉には3つの共同浴場があり、それぞれ違った特徴があります。まず最初に紹介するのは、道後温泉のシンボルとも言える「道後温泉本館」です。レトロな本館の建物は、1894年に建てられ、何度か改築を繰り返しています。
建物の特徴と言えるのが、最上階にある時間を太鼓で知らせる「振鷺閣」です。太鼓の音が響く様子は、「残したい日本の音風景100選」に選ばれました。振鷺閣の上に取り付けてある白鷺の像は、道後温泉発見のきっかけになった白鷺をモチーフにしています。白鷺は現在の正面玄関とは違う北側を向いていますが、これは明治時代の改築時、北側に玄関があった名残だそうです。
また、夏目漱石ゆかりの地としても有名で、坊っちゃんの作中に登場したことから、道後温泉本館は別名「坊っちゃん湯」とも呼ばれています。明治時代、実際に夏目漱石が松山市に教師として赴任した際は、正岡子規や高浜虚子を連れて、道後温泉に何度も立ち寄ったそうです。
2019年から2024年までは改修工事中で、全貌を見ることができませんが、手塚治虫の名作「火の鳥」とコラボしたラッピングアートや、プロジェクションマッピングが行われています。改修中は道後温泉本館の西側が玄関になっていて、白鷺を正面から見られますよ。道後温泉の長い歴史の中でも、こういった風景が見られるのは改修工事中の今だけです。

地元の人たちに親しまれる椿の湯・飛鳥乃湯

飲食店が多く立ち並ぶ道後商店街の中央にある共同浴場「椿の湯」は、1953年に建てられました。道後温泉本館とは異なり、こちらは地元に暮らす方が主に利用しています。ローカルな雰囲気を味わいたい方や、地元の方との交流を楽しみたい方におすすめの共同浴場です。
3つ目の共同浴場「飛鳥乃湯」は2017年に完成した浴場で、飛鳥時代をイメージした造りになっています。館内には特別浴室や露天風呂があるほか、和紙や焼き物など、愛媛県の伝統工芸が散りばめられているのが特徴です。ほかの2つの浴場よりも比較的混雑しにくいので、ゆったりと道後の湯を楽しみたい方はぜひ立ち寄ってみてください。

■住所:愛媛県松山市道後

■電話番号:0899-21-5141(道後温泉事務所)

■営業時間:

■アクセス:松山空港より車で約30分

愛媛のおいしいグルメを味わって!ほづみ亭

愛媛県のグルメと言ったら、みかんやいよかんをイメージする方が多いかもしれません。しかし、愛媛県は全国屈指の鯛の漁獲量を誇っています。愛媛県でなぜ鯛がたくさん獲れるのでしょう。その秘密や、鯛を使用したご当地グルメが味わえるお店を紹介します。

愛媛県で鯛が獲れる理由って?

瀬戸内海に面する愛媛県には、大きく分けて3つの漁業が盛んなエリアがあります。ひとつが燧灘(ひうちなだ)で、主に小型漁船での漁業が行われているエリアです。もうひとつの伊予灘は、身の締まったイワシやサバがよく獲れます。そして3つ目の宇和海は、真珠やハマチ、そして鯛の養殖が盛んなエリアです。宇和海での鯛の漁獲量は、なんと日本一!宇和海には、ミネラルや栄養分を豊富に含んだ黒潮が流れ込んでおり、魚にとって恵まれた環境が整っています。そんな宇和海で育った鯛は、程よく脂がのっていて、美味しいと評判です。
また、宇和海の海水は一目で分かるほど透明度が高く、南国にも負けないほど透き通っています。2003年の調査では、ダイオキシンなどの化学物質の数値が低く、汚染されていない海だということが分かりました。
宇和海はリアス式海岸で養殖がしやすいというのも、愛媛県が鯛の一大養殖地であることに関係しています。しかし、自然そのままの環境で鯛の養殖を行っているわけではありません。養殖場のそばで昆布を育てたり、こだわりの餌をあげたりと、それぞれの生産者が愛情を込めて鯛を育てています。愛媛県の鯛が有名な理由は、恵まれた環境、そして生産者の愛情と努力にありました。

「ほづみ亭」でご当地グルメを味わって!

日本一の鯛の漁獲量を誇る愛媛県では、鯛を使用したグルメを提供する飲食店がたくさんあります。その中で特におすすめしたいのが、JR予讃線宇和島駅から徒歩5分と、アクセスの良い場所にある「ほづみ亭」です。
宇和島の郷土料理で一番有名なのが、新鮮な鯛を使用した「宇和島鯛めし」。宇和島鯛めしは、鯛のお刺身に、だし汁やゴマなどで作ったタレを混ぜ合わせ、ご飯の上に乗せて食べる、宇和島の郷土料理です。元々は、日振島を拠点にしていた海賊・村上水軍が船の上で酒盛りをする際、お酒の残った茶碗にご飯を盛り、醤油とお刺身を乗せて食べたのが、宇和島鯛めしの始まりだと言われています。
ほづみ亭の宇和島鯛めしは、タレに漬けた鯛と卵黄、ご飯にお味噌汁、酢の物が付いて950円とリーズナブルです。ほかほかのご飯にタレの味が染み込んだ鯛を乗せて頬張ると、口の中いっぱいに鯛のうま味が広がります。ご飯はおかわりできるので、タレの分量を変えたり、卵黄を割って濃厚な味わいを楽しんだりして、鯛のうま味を思う存分堪能してみてはいかがでしょう。

鯛めしには2種類あった?

今治市や松山市で提供される鯛めしは、宇和島鯛めしとは違い、醤油や昆布で味を付けたお米と、鯛丸々一匹を一緒に炊き上げたものです。炊きあがったら鯛の身をほぐしてご飯に混ぜ、そのまま食べたり、薬味や出汁をかけたりして食べます。何通りも違った食べ方が楽しめるのが特徴です。
今治市や松山市で食べられている鯛めしの始まりはとても古く、神功皇后が朝鮮出陣の際に、現在の松山市にある鹿島明神へ、戦勝祈願のために立ち寄った時のことだと言われています。地元の漁師が鯛を乗せてお米を炊いたところ、神功皇后は大変喜んで、美味しいと絶賛したそうです。
食欲の秋。愛媛県への旅行の際には、宇和島鯛めしと今治市や松山市で食べられている鯛めしを食べ比べするのもおすすめです。

■住所:愛媛県宇和島市新町2-3-8

■電話番号:050-3464-9477

■営業時間:ランチ 11:00~14:00
ディナー 月~金:17:00~22:10
土:17:00~21:40

■アクセス:松山空港より車で約1時間20分

秋の醍醐味を全部満喫できる愛媛県

秋の愛媛県でおすすめしたい観光スポットを7ヶ所、その歴史や見どころとともに紹介しました。秋と言ったら、紅葉や温泉、グルメなど、楽しみたいことがたくさんありますよね。愛媛県には、紅葉が美しい渓谷や公園、歴史ある温泉街、名産品を使用したグルメなど、秋の魅力がぎゅっと詰まっています。今年の秋、まだどこへ行くか決めていない方は、愛媛県へ足を運んでみてはいかがでしょう。