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LCC(格安航空会社)の航空機は大手航空会社のものと比較して座席まわりが狭く、座席位置によって機内での快適さや利便性は変わってきます。そのためLCCを利用する際はなるべく希望にそった座席に座りたいところです。
ですが座席を指定するにしても何を基準に選んでよいものか、またそもそもどのようにして選べばよいのか分からないという方もおられるでしょう。
ジェットスターはLCCのなかでも人気がある航空会社ですが、ジェットスターの良さを最大限享受するには、座席の種類や特徴、料金プランをよく知っておくことが重要です。
今回は機内で快適に過ごすためのオススメの席やプランについて解説します。

日本でジェットスターを利用する場合に乗る航空機はほぼ同じ

ジェットスターが運用しているメインの航空機は、ほかのLCC各社も数多く採用しているエアバス社のA320です。
全長37.57m、全高11.76m、最大全幅35.80mと航空機としては小型の部類に入ります。座席数は縦30列の180席、シート配列は通路を挟んで左右に3列ずつ並んでいます。
またすべての座席がレザーシートで座席幅は45㎝、座席間隔は平均74㎝です。ちなみにANAの国内線ではA320を縦28列の166席で運用しているため、大手航空会社より若干足元が窮屈です。
ゆったりと座ることができるのは身長175cmくらいまでで、180cm以上の方であれば窮屈に感じるかもしれません。1時間程度のフライトであれば問題ないでしょうが、長時間座っているとストレスを感じるでしょう。
狭い座席に長時間座ったまま足を動かさずにいると、エコノミークラス症候群を発症する危険性もあります。定期的に姿勢を変えたり立ち上がって体を動かしたりするなどの工夫が必要です。
座席の材質は黒色のレザーで、シートポケットを座席上部に置くことで、足元の座席間隔を確保しています。注意しなければならないのは、電源コンセントがない点と、11、12、30列目の座席はリクライニングしないことです。座席指定の際にはこの点にも注意しましょう。
なお、ジェットスターのビジネスクラスは長距離国際線に限り設定されており、国内線や短距離の国際線はすべてエコノミークラスです。ビジネスクラスの座席幅は96㎝でエコノミークラスの45㎝の2倍以上ある上、フットレストもありゆったりと座ることができます。

窓側、真ん中、通路側席の各座席のメリット・デメリット

ジェットスターの座席は進行方向を向いて左からA、B、C、通路、D、E、Fの順に並んでいます。つまり窓側席、真ん中席、通路側席が通路を挟んで対称になっています。
A席とF席が窓側席、B席とE席が真ん中席、C席とD席が通路側席となりますが、それぞれの座席にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

窓側(A・F)

窓側席の一番のメリットは外の景色を楽しめることです。上空から地上や海上の景色、朝焼けや夕焼け、雲の流れを眺めるのは、航空機を利用したときでなければ味わうことのできないものです。
また座席の機能面でもメリットがあり、ほかの席は椅子の背もたれ以外に寄りかかれませんが、窓側席は壁に寄りかかることもできます。体の向きを変えるのも楽で、長時間同じ姿勢を保つ必要がないのは、エコノミークラス症候群の予防になります。
さらに通路から遠い席ということもあって、隣の乗客が席を立つときでも避けたり身をかがめたりといった動作が必要ありません。一方、自分が席を立つ際は、真ん中席と通路側席の乗客に足元を空けてもらう必要があるので、気の弱い方は着陸するまでトイレに行きたくても行けないかもしれません。
また荷物を頭上の収納スペースから取り出す際も、通路側席の人に移動してもらう必要があるので少々不便を感じますし、降機する際も、真ん中席と通路側席の乗客が降りてからでないと降りる準備をすることができません。

真ん中(B・E)

LCCに限らず大手航空会社や新幹線など3列席の交通機関の真ん中席は、あまり人気がありません。その上LCCの場合は座席が狭いので、人によっては左右両隣に乗客がいると、フライトの間中常に落ち着かないかもしれません。
そのため窓側と通路側に比べて人気がなく、強いてメリットを挙げれば、比較的予約しやすいということぐらいです。
2人で隣同士の座席予約をする場合は必ず真ん中席を含むことになりますから、隣の一方が知人や家族であれば落ち着かないフライトになることは少ないはずです。窓側席か通路側席で座席が確保できたら、隣席が開いている可能性が高い点を活かして座席を指定しましょう。

通路側(C・D)

通路側席の一番のメリットは、自由に通路に出られる点です。トイレに立ったり、荷物を頭上の収納スペースから取り出したりする場合、隣の乗客に動いてもらう必要がありません。
また、通路側に足や体を少し出すことができるため、スペースを広く使うことができます。身長が高い方は、通路側席を確保すれば比較的ゆったりと体を伸ばすことが可能です。
一方、通路に面しているため、通路を人が通ることがあり落ち着かない方もおられるでしょう。また窓側席や真ん中席の乗客がトイレに行く度に立ち上がる必要があるので、わずらわしさを感じるかもしれません。その他窓から遠く、景色を楽しめない点も人によってはデメリットです。

シートタイプは3種類

ジェットスターのシートタイプは3種類あり、180席中138席と全体の7割を占めるスタンダード・シートはいわゆる通常の座席となります。
アップフロント・シートは左側1列目を除いた前方5列目までの27席で、足元の広さなどはスタンダード・シートと変わりませんが、飛行中の揺れの少なさや入り口に近く到着後すぐに降りることができる点で人気があります。
エクストラ・レッグルーム・シートは、左側1列目のA~C席と12列目、13列目の全15席です。座席前後の間隔が通常の座席より20cm広く、ゆったりと座ることができます。
座席指定をする際には、こうした各座席のメリット・デメリットを比較して選びましょう。

ジェットスターの座席指定料金

ジェットスターの座席指定料は、シートの種類や時期によって異なります。シートの種類ではスタンダード・シートが最も安く、次いでアップフロント・シート、最も料金が高い座席がエクストラ・レッグルーム・シートです。
各シートの差額は500円前後から1200円ほどの間で、航空距離の長い路線ほど高くなる傾向があります。
これに時期による差が加わりますが、年末年始や夏休み長期連休などの繁忙期は需要が増えるので料金は高くなり、いずれのシートも通常期に比べ200円高くなります。

シートタイプ 通常期 繁忙期
スタンダード・シート 480円~520円 680円~720円
アップフロント・シート 680円~760円 880円~960円
エクストラ・レッグルーム・シート 990円~1,080円 1,190円~1,280円

この座席指定は予約時のオプションとして選択できるようになっていて、Webやアプリから指定すると手数料は不要です。また予約後であっても空港カウンターで座席を指定することもできますが、その場合は手数料として450円の追加料金が発生します。

運賃プランによっては無料で指定できる

ジェットスターの座席指定は基本有料ですが、運賃プランによっては無料で座席指定ができます。
スタンダード席はエコノミークラスの「Starter Plus」、「Starter Max」、「Starter FlexiBiz」の券種を購入すると無料で座席指定が可能です。アップフロント・シートは「Starter Max」、「Starter FlexiBiz」で無料となります。またエクストラ・レッグルーム・シートは「Starter Max」で無料です。
なお、座席を変更できるのは予約した便のチェックイン開始時刻までですが、「Starter FlexBiz」と「Starter Max」はチェックイン終了時刻まで、ビジネスクラスであれば予約便出発まで変更できます。

運賃タイプについては、「ジェットスターの運賃タイプ「スターター・Plus・Max」の違いは?」で詳しく解説しています。

ちょい足しオプションを活用しよう

「ちゃっかりPlus」のオプションを付けるとスタンダード・シートが、「しっかりMAX」のオプションを付けると全席の座席指定が無料になります。

「Starter Plus」は基本運賃の「Starter」に「ちゃっかりPlus」が追加されたプランで、20㎏までの受託手荷物と機内食、飲み物、機内バウチャー、インフライトミールディールがセットになっています。

「Starter Max」は「Starter」に「しっかりMax」が追加されたプランで、「Starter Plus」の内容にプラスして、キャンセルした際のジェットスターのフライトバウチャーでの払い戻しに対応するとともに、受託手荷物が30㎏までに増えます。

「Starter FlexiBiz」は「Starter Plus」の内容にプラスして、払い戻しと当日のフライト変更にも対応したプランです。注意点として、路線によっては機内食と飲み物が含まれていない場合があります。

「ちゃっかりPlus」は2100円、「しっかりMax」は4100円の追加料金が必要ですが、持ち込み荷物の総重量の上限が上がる上座席指定もできるので、荷物の量が多くなってしまう可能性がある場合などに活用すればお得です。

座席を指定する際の注意点

ジェットスターの座席指定は、他人への譲渡は認められず料金の払い戻しもありません。またジェットスターに限らずLCCを利用する際に注意したいのが、2名以上で搭乗する場合に座席指定しないと、座る席がバラバラになる可能性が高い点です。
これはLCC各社が運賃を下げるために行っていることなので致し方ない面がありますが、どうしても隣同士の席を希望する場合は予約時に座席指定を行ったほうが無難です。
なお、座席指定をしなかった場合、座席が確定するのはチェックイン時です。座席指定をせずに真ん中席を避けたいなら、確定している座席が少ないタイミング、すなわちなるべく早くチェックインするとよいでしょう。ちなみに、Webチェックインであれば2日前からチェックインできます。

非常口席(エクストラ・レッグ・シート)はメリットとデメリットが極端

座席の1・12・13列目の席にある非常口席(全エクストラ・レッグ・シートと一部アップフロント・シート)は、もしもの際に搭乗員に協力し非常扉の開閉などを手助けしなければならない可能性があります。協力を要請されている分、ほかの席に比べて足元が広いなどのメリットがありますが、デメリットもある席です。

足元が広く優先搭乗できる

ジェットスターで非常口席に割り当てられているのは、ほぼエクストラ・レッグ・シートなので、足元が広くスタンダード・シートと比較して快適なフライトを楽しめます。
また優先搭乗できるため、列に並ばず機内に入ることができる点は持つことがきらいな方にとってはメリットです。

離陸着陸時に荷物を棚に上げる必要がある

非常口席は安全上の観点から、離着陸時に荷物をすべて頭上の収納スペースにしまう必要があります。また、離着陸時を問わず足元に手荷物を置くことができません。手荷物が多い場合などはデメリットが大きいので、非常口席は避けたほうが無難でしょう。

地上の景色があまり見えない席がある

非常口席は主翼の上に位置しており、翼が邪魔で地上の景色がよく見えません。せっかく航空機に乗るのだからと景色を楽しみにしている方もおられるでしょうが、その場合は非常口席を避けたほうが無難です。

非常時に脱出の協力をする義務

非常口席に座っている乗客には、非常事態が起きた場合脱出の補助など緊急対応の義務が発生するため、搭乗後10分ほどの簡単な説明をCAから受けることになります。
また実際の非常時には緊急対応を行うことになりますので、そうした場合の対応に不安がある方は、避けたほうがよいでしょう。その他非常口席に座れるのは、問題なく非常時対応に加われる方という条件をクリアできる方です。
詳しくは非常口座席の利用条件を確認していただき、自分が非常口席に座れるかどうか事前に確認しておきましょう。

各座席タイプのオススメ席は?

では、具体的にどの位置にあるどのタイプの座席が快適でしょうか。

スタンダード・シート

フライト時の環境に注目した場合、スタンダード・シートで人気が高い座席は、前寄りの通路側席と窓側席です。6-11列目に位置する機内前方のスタンダード・シートですが、後方のスタンダード・シートと比較してフライト中の揺れが少ないというメリットがあります。エンジンから遠いので比較的静かに過ごすことができる上、出入り口に近いため早く降りられるというメリットがあるから人気が高い座席です
中央部分の14~19列目のスタンダード・シートは、後方のスタンダード・シートに比べて早く降りることができる点とフライト時の揺れが比較的少ない点がメリットです。
しかし、翼の上に位置するので窓から地上が見えませんし、エンジンが近くで音が比較的うるさいというデメリットがあります。
20~30列目の後方のスタンダード・シートは、前方席に比べてフライト中の機体の揺れが大きく、降りる際も遅くなる点がデメリットです。ただし、機体後方のトイレが近くにありすぐに利用できる点はメリットです。

アップフロント・シート

アップフロント・シートは、1列目のD、E、F席と2列目から5列目の座席です。位置が機体の前方なので、目的地到着後、すぐに航空機を降りることができます。またエンジンから遠く比較的静かで揺れも少ないので、フライト中は静かに過ごしたいという方にはオススメです。
1列目は非常口席ですので、アップフロント・シートのメリットを最大限に活かせる座席は2列目となります。

エクストラ・レッグ・シート

エクストラ・レッグ・シートは足元が広々としている点がメリットですが、1、12、13列目にあるエクストラ・レッグ・シートのうち、12列目はリクライニング機能がないので、あまりオススメできません。ほかには、1列目はCAさんの目の前、13列目はエンジン横という違いがあります。
エクストラ・レッグ・シートのデメリットは、非常口席にあたるため制約が多い点です。事前に納得した上で指定しましょう。

まとめ

座席指定をしなかった場合、座席が決まるのはチェックインのタイミングで、ランダムに座席が割り振られます。そのため一緒に申し込んだ家族や友人と席がバラバラになってしまう可能性が高く、グループで利用する方は事前に座席指定を行うことをオススメします。
座席指定する際は、どの座席にどのような特徴があり、より快適にフライトを楽めるのはどの席がよいのか、また次のスケジュールとの兼ね合いで素早く降りたい場合はどの席がいいかなど、状況や都合に合わせて座席を選ぶようにしましょう。