滝あり、鍾乳洞あり、そして歴史散歩ありとバラエティに富んだ夏の奈良県には、「関西の軽井沢」と呼ばれる地域もあり、とても爽やかな夏を過ごせます。今回は夏旅行にぴったりの奈良県の観光スポットを紹介しますので、旅行の参考にしてください。

最寄りの空港:伊丹空港
住所:大阪府豊中市蛍池西町3-555
電話番号:06-6856-6781
公式HP:https://www.osaka-airport.co.jp/

伊丹空港~奈良駅まで空港リムジンバスで約1時間

伊丹空港の詳細はこちら⇒伊丹空港発着

関西の軽井沢、「洞川温泉」と鍾乳洞巡り

奈良県天川村(てんかわむら)の洞川温泉(どろがわおんせん)は、標高約820メートルにある山里の温泉です。
夏でも涼しく“関西の軽井沢”とも呼ばれています。周辺には散策できる鍾乳洞が点在しており人気です。

洞内平均気温8度の「面不動鍾乳洞」

面不動鍾乳洞

「面不動鍾乳洞(めんふどうしょうにゅうどう)」は、洞川温泉の中心街から歩いて20分ほど自然探求路を登ったところにある鍾乳洞です。1933年(昭和8年)に発見され、見学できる距離は全長約140メートル。
洞内は年間を通して気温約8度に保たれており、夏は冷蔵庫にいるような涼しさです。洞内には貴重なストロー鍾乳管(ストロー場の鍾乳石)もあり、見学できるようになっています。
洞川温泉と面不動鍾乳洞の間はトロッコが運行しています。


面不動鍾乳洞

住所 奈良県吉野郡天川村洞川673-89
電話番号 0747-64-0352
営業時間
通常期間 9:00~18:00
夏休み期間中
(7月20日~8月末)
9:00~19:00
冬季期間
(10月1日~3月31日)
9:00時~17:00
定休日 荒天時、不定休、(12月31日~1月6日)
入場料 大人450円、こども小人200円
トロッコ料金 往復)大人500円、小学生まで300円、4歳未満無料
(片道)大人300円、小学生まで200円、4歳未満無料

8メートルに達する鍾乳石が見られる「五代松鍾乳洞」

「五代松鍾乳洞(ごよまつしょうにゅうどう)」は、洞川温泉中心街から歩いて約30分のところにあります。
1929年(昭和4年)に発見された鍾乳洞で、奥行きは約80メートルです。
洞内は鍾乳石はじめ石柱や石筍が淡い光で照られ、幻想的な雰囲気を醸し出しています。また、洞内にある「大黄金柱」と呼ばれる鍾乳石は高さ8メートルもあり、見るものを圧倒します。
五代松鍾乳洞という名前は、鍾乳洞を発見し私財を投じて見学できるように整備した、赤井五代松翁にちなんで付けられました。
洞内へは入り口にある「ごろごろ茶屋」からモノレールが出ていいます。

五代松鍾乳洞

住所 奈良県吉野郡天川村洞川
電話番号 0747-64-0188(ごろごろ茶屋)
営業時間 9:30~15:20
定休日 冬季休業・水曜日 ※雨天・荒天時は臨時休業
入場料 大人400円、こども200円
駐車場 500円(ごろごろ水施設協力金)
モノレール料金: (上り)大人300円、小学生まで200円、4歳未満無料
(下り)大人200円、小学生まで100円、4歳未満無料

役の行者が開いた「蟷螂の岩屋」「蝙蝠の岩屋」

「蟷螂の岩屋(とうろうのいわや)」「蝙蝠の岩屋(こうもりのいわや)」は、ともに修験道の始祖役行者(えんのぎょうじゃ)が修行のため籠もった自然が作り出した洞窟で、「蟷螂の窟(いわや)」「蝙蝠の窟」とも書きます。
「蟷螂の岩屋」は、役行者が修験道の聖地「大峯山(大峰山―おおみねさん)」を開く前に修行をした岩屋です。
修験者が天井の低い洞窟の中で、頭を低くして歩く姿が蟷螂(カマキリ)に似ていることからこの名が付きました。
「蝙蝠の岩屋」は、役行者が修行の際の仮住まいとしてした洞窟です。
「蟷螂の岩屋」「蝙蝠の岩屋」へは洞川温泉中心部から歩いて約20分です。

「蟷螂の岩屋」「蝙蝠の岩屋」

住所 奈良県吉野郡天川村洞川
営業時間 9:00 ~17:00
定休日 11月30日~4月末
入場料 300円

夏でも涼しい関西の軽井沢「洞川温泉」

洞川温泉は、大峰山から源とする山上川(さんじょうがわ)沿いに湧く温泉で、標高820メートルあまりの高地にあるため、夏でも涼しく“関西の軽井沢”と呼ばれています。
自然豊かな昭和時代にタイムスリップしたようなひなびた温泉地で、温泉街からは鍾乳洞や渓流、滝などを天川村の大自然を満喫できる散策路がいくつも整備されています。
修験道の聖地大峰山への登山口にもなっていて、山頂には大峯山寺(おおみねさんじ)があります。
ただし、寺は未だに女人禁制なのでご注意を。

洞川温泉
大峯山洞川温泉観光協会

住所 奈良県吉野郡天川村洞川温泉
電話番号 0747-64-0333
メールアドレス dorogawa@pearl.ocn.ne.jp
アクセス 鉄道/近畿日本鉄道下市口駅下車洞川温泉行き路線バスで約70分終点で下車
車/南阪奈道路葛城ICから高田バイバス、国道169・309号経由約1時間20分

十津川村の「谷瀬の吊り橋」と滝巡り

十津川村(とつかわむら)は、日本一面積が大きな村、日本初の源泉かけ流し泉源を行った村、日本一長い路線を走るバスがある村など、日本一や、日本初がいっぱいある村です。さらに加えると村のキャチフレーズは「日本一親切な村」となっています。
アクセスは車だと南阪奈道路葛城ICから国道310、168号線経由で約120分、鉄道だとJR和歌山線五条駅から路線バスに乗り継いで約180分という絶秘境の地にあります。
この路線バスが日本一長い距離を走る路線バスで、近畿日本鉄道大和八木駅から和歌山県のJR紀勢本線新宮駅までの167キロメートルを約6時間45分で結んでいます。
2020年4月現在1日3本運行しています。

高さ54メートルの空中散歩「谷瀬の吊り橋」

谷瀬の吊り橋

「谷瀬の吊り橋」は、十津川村の中心を流れる十津川にかかる吊り橋で、長さ297メートル、高さ54メートルは鉄線を使った吊り橋として日本一の規模を誇ります。
完成は1954年(昭和29年)で、もともとは川を挟んだ集落に住む人々の生活用の橋として、住民が基金を出して完成させたものです。
現在は雄大な景観と、少しのスリルを楽しむための観光用吊り橋として人気があります。

落差100メートルの「十二滝」

「十二滝(じゅうにたき)」は十津川村の南部にある滝で、落差が100メートルほどある大きな滝です。
水量は梅雨時を除いてあまり多くなく、静かに流れ落ちます。
近くにある二津野(ふたつの)ダム湖は、日本一多数のオシドリが越冬する地として野鳥ファンが注目するスポットです。

滝ツボまで近寄れる「清納の滝」

「清納の滝」は、十津川村の中心部にほど近い深い渓谷沿いにあり、すぐ近くまで寄って滝を見学できることから、別名マイナスイオンの滝とも呼ばれています。落差はあまりありませんが、滝つぼが大きく、水量も多いため迫力があります。
滝の近くに岩壁がヴィーナスの顔に見える「大野出合(おおのであい)のヴィーナス」と呼ばれる場所があり、幸運のパワースポットとして人気です。

温泉でひと休み

十津川の流域には十津川温泉、温泉地温泉、上湯温泉などの温泉が湧いていて、いずれも源泉かけ流しです。
日帰り入浴施設もあり、滝や渓谷散策のあと疲れを癒やすのに最適です。

十津川村
十津川村観光協会

住所 奈良県吉野郡十津川村小原373-1(公衆浴場「滝の湯」内)
電話番号 0746-63-0200
営業時間 8:30~17:00
定休日 木曜日(祝日の場合は翌日)
URL http://totsukawa.info/
アクセス 鉄道/近畿日本鉄道大和八木駅から路線バスで約240分、JR和歌山線五条駅から路線バスで約180分
車/南阪奈道路葛城ICから国道310、168号線経由で約120分、

世界遺産「熊野古道」を歩く

十津川村には、世界遺産熊野古道の「小辺路(こへち)」と「大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)」が通っています。
「小辺路」は、十津川村の中心部を通っていますので、十津川村に行くだけで古道の一部を体験できます。
「大峯奥駈道」は修験者の道で、初心者は気軽に歩くことができませんが、世界遺産の「玉置神社」だけは車で行ける観光地になっています。

高野山と熊野本宮大社を結ぶ熊野参詣道「小辺路」

熊野参詣道「小辺路」

熊野参詣道「小辺路」は、高野山から熊野本宮大社へ向かう全長72kmほどの参道で、その一部が十津川村を通過しています。
この古道は1000メートル級の峠を3つも越える険しい道ですが、十津川温泉からだと熊野本宮大社まで往復3時間程度で古道の一部を体験できます。
十津川温泉バス停から1時間ほどの古道沿いにある果無集落(はてなししゅうらく)」は、「天空の郷」と呼ばれており、小辺路でも一二を争う絶景が広がっています。

吉野と高野山を結んだ険しい道「大峯奥駈道」

「大峯奥駈道」は、大峰山を開いた修験道の祖役行者が1300年前に開いた山岳信仰の道です。
奈良県の吉野と熊野本宮大社を結ぶ約170キロメートルにも及ぶ道で、道筋には「大峯七十五靡(なびき)」と呼ばれる拝所や行場(修行場)が遺されています。
熊野古道の語り部が案内する「大峯奥駈道を歩く旅」が、4月から11月の毎月1日に開催され、語り部と共に玉置神社と玉置山頂の展望台などを巡ります。

十津川鼓動の会

住所 奈良県吉野郡十津川村風屋
電話番号 090-8937-6920
URL http://www5.kcn.ne.jp/~saka1951/
・熊野三山の奥宮「玉置神社」

「玉置神社(たまきじんじゃ)」は、「大峯奥駈道」の霊峰玉置山(たまきさん/標高1076.4m)の中腹標高1000メートル付近に鎮座する神社です。
熊野三山の奥の院だったといわれていて、修験道の霊場として隆盛を誇っていました。
境内には国の天然記念物の「神代杉」など樹齢3000年ともいわれる大杉が生い茂り、神聖な空気に覆われています。

玉置神社

住所 奈良県吉野郡十津川村玉置川1
電話番号 0746-64-0500
拝観時間 08:00~17:00 散策自由
URL http://www.tamakijinja.or.jp/
アクセス

標高960メートル。夏でも爽やか「葛城高原」

標高960メートルの「葛城高原(かつらぎこうえん)」は春のツツジ大群落が有名ですが、夏はアクティビティーにあふれた高原リゾートとして人気があります。
ロッジやキャンプ場があり、夏のレジャー基地として最適です。

葛城高原
なら旅ネット(奈良県観光公式サイト)

URL http://yamatoji.nara-kankou.or.jp/

緑深い自然探求路をハイキング

奈良県御所市にある「葛城高原」は、ロープウェイで登ることができるファミリーでも安心して行ける安全な高原です。
山頂付近には遊歩道が整備されていて、色とりどりに咲く花を眺めながら散策できます。
葛城山山頂からは360度の大パノラマが望め、キラキラ輝く夜景は絶景です。
遊歩道は全長約2キロメートル、高低差約180メートル、2時間ほどで歩けます。

気軽にキャンプができる「葛城公園キャンプ場」

「葛城公園キャンプ場」は、葛城山の山頂付近にある周りを樹木に囲まれた自然豊かなキャンプ場です。
園内にある売店では、テントやバーベキュー用品のレンタルをしていますので、手軽にキャンプ体験ができます。
隣接する葛城公園ロッジの風呂も利用可能です。

ロッジに泊まって夏を満喫

宿泊して高原の夏を満喫したい場合は、「国民宿舎 葛城高原ロッジ」が便利です。
1泊2食付きで大人1人9000円~と、リーズナブルな料金が魅力で、夕食は「かも鍋」「かもすき焼き」「大和牛しゃぶしゃぶ」などロッジの名物料理から選べます。
大浴場は日帰り入浴が利用できます。

金剛生駒 国民宿舎 葛城高原ロッジ・葛城公園キャンプ場

住所 奈良県御所市櫛羅2569
電話番号 0745-62-5083
宿泊料金 1泊2食付き大人1人9000円~
URL http://www.katsuragikogen.co.jp

生駒山中「千光寺」で修行体験

「本山上(もとやまかみ)千光寺(せんこうじ)」は、役行者が大峯山を開く以前に修行したといわれる修験道の霊場で、683年に天武天皇が伽藍を建立した真言宗の別格本山です。

険しい山中にあり、今でも修験者たちが厳しい修行を行っています。

修行体験ができる「千光寺ユースホステル」

「千光寺」が運営する「千光寺ユースホステル」に宿泊した一般の宿泊者は、修行体験をすることができます。修験道の修行といえば山中を何ヶ月も歩く荒行や、滝行、火渡り、瞑想など常人ではとても行えない厳しい修行を思い描きますが、ユースホステル宿泊者が体験する修行は、座禅や写経などでそんなに厳しいものは行いません。
境内には錫杖と鉄下駄があり、男性は錫杖3回持ち上げ、女性は鉄下駄を3回履くと良縁に恵まれるとのことです。

精進料理の作法を学ぶ

「千光寺ユースホステル」では朝食を住職と一緒にいただきます。
この食事作法はお寺ならではのもので、まずは住職が先に箸を付け、それに習うような形で宿泊客が続いて食事をいただきます。
最初にお膳に置いてある細長い板の先の方にご飯を少しのせます。
これは悪いことをして地獄に落ちた人にも、仏の慈悲で食事を分け与えてあげるものだそうです。
食事中はおしゃべりができません。
住職が食べ終わったら食事は終了です。

千光寺・千光寺ユースホステル

住所 奈良県生駒郡平群町鳴川188
電話番号 0745-45-0652
営業時間 拝観境内自由
ユースホステル宿泊料金 ユースホステル会員 1泊2993円
会員外 1泊3593円
夕食 1260円
朝食 760円
アクセス 鉄道:近畿日本鉄道生駒線元山上駅下車、徒歩約50分
車/第2阪奈有料道路壱分ランプから約20分

夏の食欲が湧かないときこそ冷たい「三輪そうめん」

三輪そうめん

桜井市にある三輪の里はそうめん発祥の地です。
昔ながらの手延べそうめんは、各地にあるそうめんとは別格。
寒い時期に作られたそうめんは梅雨を越し、コシが出たら食べ頃になりますが、2回、3回と梅雨を越し熟成したそうめんは絶品です。


三輪の里(三輪そうめん)
奈良県三輪素麺工業組合

URL https://www.miwasoumen-kumiai.com/

まとめ

奈良といえばいにしえの都や神社仏閣が有名ですが、自然豊かな秘境地帯も多く、夏にこそ楽しみたいスポットがいっぱいあります。
歩いたあとは秘湯でひと休みしましょう。
夏こそ修行して精神統一。
夏を満喫できる奈良県へ是非足を伸ばしてください。