豪雪地帯として知られる岐阜県。世界遺産にも登録された白川郷や、自然豊かな奥飛騨温泉など、1年を通して人気の観光地も冬になると雪化粧します。今回は、美しい町並みや風情あふれる景色などが楽しめる、冬に行きたい岐阜県の観光スポットを6ヵ所紹介します。

日本の原風景!世界遺産にも登録された白川郷

岐阜県と富山県の県境に位置する「白川郷」は、日本の原風景とも言える景観が人気の観光スポットです。その景観は、日本人のみならず外国人観光客をも魅了し続けてきました。冬には雪景色が楽しめるライトアップイベントも開催されます。今や日本を代表する観光地となった白川郷には、どのような歴史や魅力があるのでしょうか。

白川郷ってどんなところ?

岐阜県の北部に位置する、大野郡白川村の荻町地区には、屋根が手を合わせ、拝んでいるように見える「合掌造り」の家屋が立ち並んでいます。現在も人々が暮らし、住民が協力して屋根の葺き替えなどのメインテナンスを行い景観を守り続けていることから、1995年に世界遺産に登録されました。
白川郷に訪れたら、まずは「天守閣展望台」に向かいましょう。白川郷のポスターに利用されている写真のほとんどが、この展望台から撮影したものです。天守閣展望台からは、合掌造り家屋のほか、トラックや農機具などが見えて、荻町地区が今でも生活の場であることを実感できます。また、天守閣展望台から少し下ったところには、「荻町城跡展望台」があります。天守閣展望台とは見え方が少し違うので、見比べてみるのもおすすめです。
荻町地区には、集落最大の合掌造り「和田家」や、250年続く名家「長瀬家」など、内部を見学できる合掌造り家屋があります。外からは分からない内部の様子や、白川村の歴史などを知ることができるので、ぜひ見学してみてください。

雪が降り積もる冬はライトアップを開催!

白川郷_岐阜県
冬には1mを超える雪が降り積もる白川郷では、1月の中旬から2月中旬の日曜日や祝日には、ライトアップイベントが開催されます。観光客が多く、混雑するため、2019年からは完全予約制になりました。夏の8月頃には白川郷観光協会の公式サイトに詳細が掲載され、予約の受付が始まります。
雪に覆われた幻想的な白川郷は、見るものを昔話の世界へと誘います。まるで故郷に帰ってきたような懐かしさと温かさが、白川郷にたくさんの観光客が訪れる理由なのかもしれません。冬の夜は特に冷えるので、防寒対策をしっかりして、世界遺産にも登録された絶景を楽しみましょう。

■住所:岐阜県大野郡白川村荻町

■電話番号:05769-6-1013(白川郷観光協会)
■アクセス:富山空港より車で約1時間
     小松空港より車で約1時間30分
     白川郷IC下車すぐ

早起きして出かけよう!高山市街地

岐阜県の飛騨地方に位置する高山市には、城下町として栄えた当時の風情ある街並みが今も残っています。白川郷とともに高山市を巡る観光ツアーも多く、近年では外国人観光客も増えているそうです。ここでは、高山の歴史や見どころと、江戸時代から続く伝統的な朝市について紹介します。

高山市ってどんなところ?

日本一広い市として有名な高山市は、飛騨山脈、両白山地に囲まれた盆地にある地域です。近年では人気アニメ映画「君の名は。」の舞台になったことで話題となり、聖地巡礼で訪れる観光客も多いのだとか。
特に、高山市を通る高山本線の高山駅周辺には、城下町・商人町として栄えた、当時の面影を残す街並みが広がっています。別名「飛騨の小京都」と呼ばれており、日本を訪れる外国人観光客向けのガイドブック「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」では、最高評価の三ツ星を獲得しました。今では国内外問わずから多くの観光客が訪れ、その風情を楽しんでいます。
高山駅周辺を観光する際にぜひ味わっておきたいのが、飛騨牛を使った肉寿司。人気のお店「こって牛」では、とろけるような口当たりの、贅沢な肉寿司が味わえます。お皿がせんべいになっていてゴミが出ないので、食べ歩きにおすすめです。

早起きして行ってみて!宮川朝市

寒くてなかなか起き上がれない冬の朝。そんな冬でも行きたくなるのが、高山駅から歩いて10分ほどの宮川沿いで開催される「宮川朝市」です。宮川朝市は、江戸時代の花市や米市から発展したものだと言われています。
朝市と言うと、地元の野菜や鮮魚などを販売している様子をイメージする方が多いのではないでしょうか。宮川朝市では、地元の野菜や果物はもちろん、コーヒーやたこ焼きなどのグルメから伝統工芸品まで、様々なものを販売しています。お買い物の際は、ぜひ店員さんとの会話も楽しんでみてください。野菜や果物の美味しい食べ方や、地元のしか知らないような観光スポットやグルメ情報を教えてくれるかもしれません。
また、宮川朝市から歩いて5分ほどの場所では「陣屋前朝市」も開催されているので、併せて足を運ぶのもおすすめです。

■住所:岐阜県高山市

■電話番号:0577-32-3333(高山市観光課)
■アクセス:高山本線高山駅周辺

雪景色を眺めながらの湯浴みはいかが?奥飛騨温泉郷

冬の旅行の定番と言ったら温泉!岐阜県には、山に囲まれた自然豊かな温泉地「奥飛騨温泉郷」があります。雪の降り積もる幻想的な風景を眺めながら、ゆったりと湯浴みを楽しんでみませんか?奥飛騨温泉郷の魅力やおすすめの宿について紹介します。

奥飛騨温泉郷ってどんなところ?

北アルプスに囲まれた自然豊かな奥飛騨温泉郷は、平湯温泉、新平湯温泉、栃尾温泉、福地温泉、新穂高温泉の総称です。山間部にあるという環境を活かした露天風呂が多く、冬には雪をいただいた山々を眺めながら、ゆったりと湯浴みが楽しめます。
奥飛騨温泉郷にはたくさんの源泉があるので、旅館によって違った泉質のお湯が楽しめるのも魅力のひとつです。中には、ひとつの旅館で4つの異なるお湯が楽しめるところもあります。共同浴場や日帰り入浴が可能な旅館も多いので、湯めぐりを楽しんでみてはいかがでしょうか。
奥飛騨温泉郷は、高山市街地から車で1時間ほどの場所にあります。先ほど紹介した高山駅周辺をはじめ、新穂高ロープウェイや奥飛騨クマ牧場、上高地など県内屈指の観光地からもアクセスしやすいので、岐阜旅行の拠点としてもおすすめです。

おすすめの宿「隠庵 ひだ路」について

奥飛騨温泉郷でおすすめの宿「隠庵 ひだ路」は、福地温泉にある隠れ家風の旅館です。客室は全12室で、全室に露天風呂と檜の内風呂が備わっています。時間や人目を気にせず、ゆっくりと湯浴みが楽しめると評判です。また、客室には掘りごたつが設置されているのも魅力的です。掘りごたつに入りながら、雪がしんしんと降り積もる庭園を見ていると、時間が経つのを忘れてしまいます。
旅行の楽しみのひとつでもある食事は、囲炉裏炬燵でいただきます。使用される食材は、地元で育った山の幸のみ。海の幸は一切出てきませんが、旬の食材を地元に伝わる方法で、丁寧に調理してくれます。冬には熊肉や飛騨サーモンなど、他の地域ではなかなか味わえない食材が登場し、山に囲まれた奥飛騨温泉郷ならではの食事が楽しめます。非日常的なひと時を過ごしたい方におすすめの旅館です。

■住所:岐阜県高山市奥飛騨温泉郷

■電話番号:0578-89-2614(奥飛騨温泉郷観光協会)
■アクセス:富山空港より車で約1時間30分

レトロな街並みを散策しよう!馬籠宿

江戸時代に整備された、五街道のうちのひとつ・中山道。東京の日本橋から、京都の三条大橋を結ぶ重要な通路として、大きな役割を担ってきました。中山道には峠や山道が多く、京都までの道のりはとても厳しいものだったそうです。そのため、中山道にはいくつもの宿場町が整備されました。そのうちのひとつが「馬籠宿(まごめじゅく)」です。

馬籠宿ってどんなところ?

東京の日本橋から京都の三条大橋までつながる中山道は、別名「木曽路」とも呼ばれ、江戸時代には旅人や参勤交代の行列が行き交っていました。しかし、中山道には峠や山道が多く、容易な道中ではなかったそうです。その上、冬には大量の雪が降るので、1日に移動できる距離が限られていたことから、中山道には69もの宿場町が置かれました。そのうちのひとつが、岐阜県と長野県の県境に位置する馬籠宿です。
馬籠宿の魅力のひとつが、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような体験ができること。石畳敷きの路地、当時の旅籠を彷彿とさせる家屋など、ノスタルジックな街並みが今も残っています。近年では、外国のテレビ番組で取り上げられたこともあり、外国から訪れる人も多いようです。
また、馬籠宿は大正から昭和にかけて活躍した文豪・島崎藤村の生まれ故郷としても有名で、藤村の代表作「夜明け前」には、江戸時代から幕末までの馬籠宿の様子が、鮮やかに描写されています。馬籠宿に出かける前に一読しておくと、馬籠宿をより楽しめるかもしれません。

冬のイベント「氷雪の灯祭り」について

氷雪の灯祭り_岐阜_馬籠
冬の木曽路や御嶽山麓の宿場町では、雪でできたスノーキャンドルが風情ある街並みを照らす「氷雪の灯祭り」が開催されます。場所によって開催日が異なりますが、1月から2月の週末や祝日に行われるので、お休みの日にぜひ立ち寄ってみてください。馬籠宿では、例年2月上旬に開催されます。
馬籠宿の氷雪の灯祭りでは、午後3時頃にスノーキャンドルが並べられ、午後6時頃から順番に明かりが灯されます。道端に並んだスノーキャンドルは、道しるべのように足元を照らしてくれて、とっても幻想的です。また、馬籠宿にある飲食店などでは、甘酒や豚汁など温かい飲み物や食事が無料でふるまわれます。優しい明かりに照らされる馬籠宿散策のお供にいかがでしょう。

■住所:岐阜県中津川市馬籠

■電話番号:0573-69-2336(馬籠観光協会)
■アクセス:JR中津川駅より車で約20分

夜には花火の打ち上げも!下呂温泉

先ほど紹介した馬籠宿から車で約1時間。「下呂温泉」は、奥飛騨温泉郷と並び県内屈指の人気を誇る温泉地です。温泉街の中心部には飛騨川が流れ、川のせせらぎを聞きながらの湯浴みが楽しめます。かつては別の場所にあったという下呂温泉の、歴史やおすすめのイベントについて紹介します。

下呂温泉ってどんなところ?

岐阜県の中東部に位置する下呂温泉は、兵庫県の有馬温泉、群馬県の草津温泉とともに、日本三名泉のひとつに数えられている温泉地です。高山本線の下呂駅の近くに温泉街が形成され、富山駅や名古屋駅からのアクセスも良いことから、1年を通して多くの宿泊客が訪れます。
下呂温泉が発見されたのは、今から1000年以上も昔のこと。今の下呂駅があるところから4キロほど離れた湯ヶ峰山の山頂から温泉が湧き出しました。泉質が良かったため麓に住む人々に親しまれていたそうです。しかし、鎌倉時代には温泉が突然枯渇するというアクシデントが発生してしまいます。その後、飛騨川沿い(現在の下呂温泉中心部)で温泉が再発見され、現在のような活気ある温泉街が誕生しました。源泉が平地に移りアクセスが良くなり、多くの旅行客が訪れるようになったと言われています。
日本三名泉に数えられている下呂温泉には、40を超える宿泊施設や共同浴場が存在します。ほとんどの入浴施設で同じ源泉をひいていますが、川のそばにある温泉や山の中にある温泉など、各施設の趣はそれぞれ違います。湯めぐりをして、下呂温泉の多様な魅力を味わってみてはいかがでしょう。湯めぐりには、加盟施設の中から3つまで選んで入浴できる、湯めぐり手形の利用がおすすめです。

下呂温泉冬の風物詩!「花火物語」

下呂温泉の冬の風物詩となっているのが、1月から3月の毎週土曜日に行われる「冬の下呂温泉花火物語」です。開催時間は毎回夜8時30分から10分間。夕食後の寛ぎの時間に鑑賞できます。
花火物語の魅力は、毎回違う演出が行われること!バレンタインデーやひなまつりの時期にはピンク色の花火が、ホワイトデーには真っ白の透き通るような美しい花火が打ち上げられます。冬は空気が澄んでいるので、夏よりも花火が美しく見えると評判です。花火鑑賞後に冷えた体を温泉で温めるのもいいですね。

■住所:岐阜県下呂市

■電話番号:0576-24-1000(下呂温泉観光協会)
■アクセス:高山本線下呂駅周辺

白亜の天守が美しい!郡上八幡城

先ほど紹介した高山市と同様に、岐阜県内には城下町として栄え、その街並みが今でも残る場所がいくつかあります。その中で高山市と並んで有名なのが、岐阜県の中央に位置する郡上八幡です。夏に開催される郡上おどりでも知られる郡上八幡のシンボル「郡上八幡城」について紹介します。

郡上八幡城ってどんなところ?

夏に開催される、日本三大盆踊りのひとつ「郡上おどり」で有名な郡上八幡。その郡上八幡のシンボル的存在である郡上八幡城は、1559年に築城されたお城です。戦国時代末期に郡上八幡を治めていた東氏と、遠藤盛数との間で起きた戦の最中、盛数が築いた砦が郡上八幡城の始まりだと言われています。
19代続いた郡上八幡城の歴史は、1869年の廃藩置県とともに幕を下ろします。廃城の翌年には石垣を残して全ての建物が取り壊されましたが、1933年に大垣城を参考にして天守が再建されました。その天守は、現存する木造再建城としては日本最古と言われています。
現在の郡上八幡城の内部は、歴史資料館として利用されています。郡上八幡にゆかりのある資料のほか、甲冑や刀剣などの貴重な展示品も豊富です。期間限定ですが、城内ではお化け屋敷や写真展なども開催されるので、子供から大人まで楽しめます。

冬にしか見られない!幻想的な天空の城

郡上八幡城を一躍有名にしたのが、朝霧の中にお城がぽっかりと浮かぶポスター。空に浮かんでいるような景観から、郡上八幡城は別名「天空の城」と呼ばれています。
郡上八幡城が朝霧に包まれる天空の城は、いつも見られるわけではありません。晩秋から冬にかけての、風が弱い日や湿度の高い日にしか見られない絶景です。雨が降った次の日の朝は、見られる可能性が高いそう。事前に天気を確認しておきましょう。運よく天空の城を見られた時は、天守をじっくり見てみてください。日中も白く美しい天守ですが、雲間から差し込む朝日に照らされ、白さが一層際立ちます。
小説家の司馬遼太郎は、郡上八幡城のことを「日本で最も美しい山城」と称しました。彼をはじめこれまで多くの人々を魅了してきた景色を、実際に足を運んで眺めてみてはいかがでしょう。

■住所:岐阜県郡上市八幡町柳町一の平659

■電話番号:0575-67-1819(郡上八幡産業振興公社)
■営業時間:3月~5月、9月・10月 9:00~17:00
     6月~8月 8:00~18:00
     11月~2月 9:00~16:30
■アクセス:長良鉄道郡上八幡駅から車で約15分
     郡上八幡ICより車で約10分

体も心もほっこり!冬の岐阜県へ行こう

冬にはクリスマスやお正月などイベントが多く、その時期に合わせて旅行に出かける方も多いのではないでしょうか。雪に包まれた白川郷や、風情あふれる城下町、寒い冬にぴったりの温泉など、岐阜県には冬だからこそ行きたい場所がたくさんあります。体も心もほっこりするような、そんなひと時を岐阜県で過ごしてみませんか?