全国有数の温泉地として有名な青森県!約1000年の歴史を誇る名湯からアミューズメント施設としても楽しめる温泉旅館まで、かなりの温泉マニアでもないと回り切れないくらいの素晴らしい温泉がたくさんあります。

その中でも今回は、「冬にぜひ訪れてほしい!」をキーワードに、4つの温泉スポットを紹介していきます。雪深いイメージであまり旅行先の候補には挙がりにくい冬の青森ですが、冬だからこそ味わえる格別の良さがあります。ぜひその魅力を感じてみてください。

日本海を望む絶景の露天風呂!不老ふ死温泉

不老ふ死温泉

まず最初に紹介するのは、青森県の日本海側に位置する「不老ふ死温泉」です。この温泉の特徴は、なんといっても海の間近に作られた露天風呂!湯舟がひょうたんの形をしていることから「ひょうたん風呂」とも呼ばれるこの露天風呂は、肩まで浸かるとまるで湯舟と海が一体になったような感覚が味わえます。

それもそのはずで、先ほど「海の間近に作られた」と述べましたが、実際に湯舟があるのは岩礁の上。つまり、波打ち際に湯舟を浮かべたような温泉なのです!潮騒を耳に感じ、峻厳とも評される冬の日本海を目前に眺めながら、温泉でゆったりリラックス。これ以上の贅沢は、そうそうあるものではありません。

おすすめの時間帯は、夕暮れ時です。夕日が沈むにつれて表情を変えていく空、海、そして黄金に輝くお湯。まぶしさに目を細めながら、自然が織りなすダイナミックで繊細な変化を体で感じてみてください。

露天風呂で夕日を眺めた後は、お食事を楽しみましょう。日本海で獲れた海の幸はもちろん、背後にそびえる白神山地から届けられる滋味豊かな山の幸まで、自然豊かな立地を生かした絶品の数々があなたの体を癒します。

夕食後は、ぜひまた温泉へ!ひょうたん風呂で有名な不老ふ死温泉ですが、内風呂のクォリティも高く、日本海の大パノラマを見渡すことができます。夕日のダイナミックな景色の後は、静かな夜の海に思いをはせてみるのもいいですね。

さらに、不老ふ死温泉が位置する深浦町は、環境省から日本一に認定されるほど星空がきれいな土地です。冬場の星空観察は寒いのであまりおすすめできませんが、お風呂や客室、旅館の玄関口などから、壮大な星空を眺めてみてはいかがでしょうか?さざ波や風に揺れる木々などの自然の声を聞きながら、爛々と星が輝く夜空を見上げる。ロマンチックとはこのことですね!

不老不死温泉は日帰り入浴も可能なので、宿泊はせずに温泉だけ楽しみたいという方にもおすすめします。タオルなど各種アメニティが販売されていますので、手ぶらでOKなのもうれしいポイントです。白神山地や十二湖といった観光スポットと組み合わせてみるのも面白いですよ。

住所 青森県西津軽郡深浦町大字舮作字下清滝15
電話番号 0173-74-3500
アクセス 青森市より自動車で2時間30分
JR新青森駅、ウェスパ椿山駅から送迎バスあり

日本が誇る名湯、酸ヶ湯温泉

酸ヶ湯温泉

温泉大国日本には、温泉効果が十分に期待される温泉保養地に対して、国の機関(現在は環境省)が「国民温泉保養地」に認定するという制度があります。いわば国のお墨付きというわけですが、この制度に一番最初に認定されたのが、今回紹介する「酸ヶ湯温泉」です。

その温泉効果のほどは、「酸ヶ湯」の由来からして期待できます。というのも「酸ヶ湯」はもともと「鹿湯」がなまったものと言われており、その語源は「鹿が傷や疲れを癒やすために浸かっていたお湯だから」とのこと。自然に生きる動物たちからも頼りにされていた温泉ということなのですね!

そんな酸ヶ湯温泉は、古くから湯治場としても有名です。湯治とは、長期にわたって宿泊し、温泉の力を借りながらじっくりと体の悪い部分を改善していく治療のことをいいます。何か体に不調がある方は、酸ヶ湯温泉でじっくり湯治をしてみるのもいいいかもしれません。

もちろん、日帰りや短期の宿泊も可能です。酸ヶ湯温泉といえば、「千人が同時に入浴できるくらい広い」という意味から付けられた「ヒバ千人風呂」が有名です。総ヒバづくりの建物と高い天井が特徴のヒバ千人風呂の中には、「熱湯」「四分六分の湯」「打たせ湯」の3つのお風呂があり、それぞれ違った特徴を持っています。

まずは「打たせ湯」の説明から。こちらは一般的な温泉施設でもおなじみの、お湯が滝のように流れてくるお風呂です。ただ、酸ヶ湯温泉の打たせ湯は温泉成分が濃いため、同じ個所に当て続けると湯あたりしてしまうそうなのでご注意ください。

お次は「熱湯」。字面からするととても熱そうなイメージですが、実際の温度は若干ぬるめでゆっくりと長い間入っていられるので、体が芯から温められ、保温効果が高いことからこの名前が付けられました。

最後の「四分六分の湯」は、熱湯に比べると温度は高め。ただその分長湯ができず、結局お風呂を出た後には「四分から六分くらいの温まり」ということで四分六分の湯と名付けられたそうです。なんだか歴史が感じられるネーミングですよね。

この千人風呂は混浴となっており、基本的には男女が同じ湯船に浸かることになります(脱衣所は男女別)。ただ、混浴といっても最近では女性専用の時間が設けられていますし、湯舟の中央を目安に男女が分かれて入ることが慣例になっているので、女性でもあまり心配する必要はありません。

どうしても混浴が気になるという方は、酸ヶ湯温泉の館内にある「玉の湯」へ向かいましょう。こちらは男女が完全に分かれていますので、安心して入浴することができます。また、ヒバ千人風呂には洗い場がないため、混浴OKな方でも最初は玉の湯で体をきれいにしてからヒバ千人風呂に入るようにしてくださいね。

豪雪地帯にある酸ヶ湯温泉は冬になるとかなりの雪が降りますが、湯上りの休憩所から眺める雪景色は冬ならではの絶景です。酸ヶ湯温泉が位置する八甲田山はスキーやスノーボードといったウィンタースポーツが盛んです。スキー場で遊んだ後の疲れを癒す立ち寄り湯として利用してみるのもいいですよ。

住所 青森県青森市荒川南荒川山国有林酸湯沢50番地
電話番号 017-738-6400
アクセス 青森空港、青森市より自動車で1時間
青森駅、新青森駅、十和田湖休屋からJRバスで1時間~1時間30分
※宿泊の場合は青森駅から無料送迎バスあり

青森屋で灯篭流しに囲まれる幻想空間を満喫

この章では、日本各地でリゾート事業を手掛ける星野リゾートの「青森屋」という温泉施設を紹介します。

今まで紹介してきた「不老ふ死温泉」と「酸ヶ湯温泉」は温泉がメインの観光スポットでした。しかしこの青森屋は、温泉の質が素晴らしいのはもちろん、館内施設が充実しているため、「アミューズメントスポット」としても楽しめる温泉となっています。

例えば青森屋の真ん中にある「じゃわめぐ広場」は、昭和レトロな雰囲気が漂っており、懐かしい出店や青森の文化を体験できる展示などがあります。特に毎日無料で開催される「じゃわめぐショー」は、心揺さぶる青森ねぶた囃子や民謡、津軽三味線の生演奏を鑑賞することができ、「青森のいろいろなところを回らなくても青森を感じられる!」と好評です。

他にも古民家風な造りで温かみのあるロビーや、夜12時までやっている飲食スペース「ヨッテマレ酒場」、広大な敷地を活かした屋外足湯、さらには牧場まであって、とにかく見どころが盛りだくさんの温泉施設です。「冬の青森は寒すぎて外に出たくない……」という方でも、気軽に旅行気分を味わうことができますよ。

こういった様々なアミューズメント施設で遊んだ後は、温泉で疲れを癒しましょう!冬の青森屋でぜひ味わってほしいのが、露天風呂「浮湯」です。浮湯は、木々に囲まれ風光明媚な趣のある和風庭園の中央にある池に大きくせり出すような形で存在しています。

とっぷり肩まで浸かると、まるで自分が池に浮かんでいるかのような感覚にとらわれます。先ほど紹介した、不老ふ死温泉のひょうたん風呂とはまた違った自然との一体感を味わうことができるような構造になっています。

ひょうたん風呂が「動」なら、浮湯は「静」。日頃の喧騒から抜け出した至極のリラックス空間がそこには広がっています。

さらに冬になると、浮湯を囲む池に「青森ねぶた祭」の起源とされる「ねぶり流し灯篭」が浮かべられるという演出が施されます。絢爛なねぶた灯篭に囲まれながらの湯浴みは、冬の青森屋ならではの魅力ですよ!

住所 青森県三沢市字古間木山56
電話番号 0570-073-022
アクセス 六戸JCTより自動車で約3分
八戸駅、三沢駅、青森空港、三沢空港から無料送迎バスあり

1000年の歴史を実感!平安から続く蔦温泉

蔦温泉

「源泉掛け流し」は聞いたことのある方も多いと思いますが、「源泉湧き流し」というのはあまり聞いたことがないのでは?蔦温泉は、全国でも珍しい「源泉湧き流し」が楽しめる貴重な温泉です!

源泉湧き流しとは、浴槽を温泉の湧出口の真上に設置することで、底からプクプクと源泉が湧き出るお風呂のことで、一度も空気に触れていない新鮮な温泉を味わえると、温泉好きには大人気なんです。

さて、そんな源泉湧き流しが楽しめる蔦温泉ですが、その歴史はなんと1147年にまで遡ります。当時はまだ湯治小屋があった程度のようですが、時代が下っても地元の人たちを中心に利用され続け、明治42年に旅館をメインとする現在の営業形態となりました。約1000年もの間人々に愛されてきた温泉とは、驚きです。

蔦温泉には、男女が時間帯で入れ替わる「久安の湯」と、完全男女別の「泉響の湯」の2つのお風呂があります。もちろん、どちらも源泉湧き流しです。

久安の湯はこぢんまりとしており、古の趣を感じられる落ち着いた温泉です。一方泉響の湯は、久安の湯よりも大きく、開放感のある造りが特徴です。ちなみに「泉響」の由来は、かの有名な文筆家・井上靖が蔦温泉を訪れた際、このお風呂の印象を「泉響颯颯」(せんきょうさつさつ=泉の響きが風の吹くように聞こえてくる、の意)と称したことだとか。井上靖以外にも、明治・大正期の文化人「大月桂月」など、蔦温泉は多くの著名人に愛されたことでも有名です。

南八甲田山に位置する蔦温泉の周辺には、観光スポットもたくさんあります。90度以上熱湯が湧き出る「地獄沼」、神秘的な景色が魅力の「蔦七沼」、樹木と渓流が織りなす自然豊かな渓谷「奥入瀬渓谷」、幻想的な大パノラマで魅せる「十和田湖」、スキーやスノーボードなどウィンタースポーツが盛んな「八甲田山」。いずれも雪が積もると気軽に行けなくなりますが、無料の送迎バスなどを利用してぜひ行ってみてください。ハイシーズンに比べると訪れる人が少ないので、自然を独り占めできますよ。

住所 青森県十和田市奥瀬字蔦野湯1
電話番号 0176-74-2311
アクセス 青森駅から自動車で1時間30分
青森駅、七戸十和田湖駅、十和田湖温泉郷バス停から無料バスあり