全国旅行支援

観光庁は2022年(令和4年)9月26日、コロナ禍で落ち込んでいる旅行需要の喚起策として、「全国旅行支援(全国旅行割)」を2022年(令和4年)10月11日から12月下旬まで実施すると発表しました。

この「全国旅行支援(全国旅行割)」の概要について、実施期間、割引率、割引上限額、予約方法、すでに予約している旅行の取り扱いなど、多くの方が抱く疑問も含めくわしく解説します。

「全国旅行支援(全国旅行割)」とは?

これまで政府、地方自治体は「Go Toトラベル」「県民割」などの旅行需要喚起策を実施してきましたが、これに続いて新しく始まるのが「全国旅行支援(全国旅行割)」です。

「全国旅行支援(全国旅行割)」は、観光庁が2022年(令和4年)6月に実施を発表していた「全国を対象とした観光需要喚起策」と同じ内容のものですが、当初7月前半スタートの予定が、新型コロナウイルス流行の「第7波」を迎えたために延期されていました。

しかし、「第7波」の全国新規感染者数が減少に転じ、ピークアウトが近いと見られていること、オミクロン対応のワクチン接種がスタートしたことなどから、10月中旬からの実施開始が決まった模様です。

なお、政府の財政支援を受けて各都道府県が実施している「県民割」は、2022年(令和4年)9月30日終了の予定でしたが、「全国旅行支援(全国旅行割)」スタート前日の10月10日宿泊分(10月11日チェックアウト分)まで延長されることが決まっています。

「全国旅行支援(全国旅行割)」の具体的内容

「全国旅行支援(全国旅行割)」の割引率は、旅行代金の40%です。ただし、1名1泊あたりの割引上限額は、新幹線や飛行機ツアーなど公共交通機関を使った移動が含まれる旅行商品の場合は8,000円、その他の場合は5,000円となっています。

また、「全国旅行支援(全国旅行割)」でも「Go Toトラベル」「県民割」と同じように、旅行先の土産店や飲食店など登録店舗で使える地域共通クーポンが付与されますが、その付与額は旅行日が平日の場合は3,000円、休日の場合は1,000円となります。

「全国旅行支援(全国旅行割)」利用の条件

「全国旅行支援(全国旅行割)」の割引を受けるためには、本人確認書類などに加えて、ワクチン接種歴3回接種済かPCR検査等の陰性結果などの証明書が必要になります。

くわしい条件は都道府県により異なりますので、必ず確認するようにしてください。

「全国旅行支援(全国旅行割)」における休日と平日の定義

「全国旅行支援(全国旅行割)」における休日と平日の定義は通常のカレンダーとは異なります。

観光庁からの発表はまだですが、「Go Toトラベル」が実施された際の条件を参考にすると、事務局は休日と平日を次のように定義していました。

  • 休日…… 土曜日、翌日が祝日の日曜日、翌日が土・日・祝の祝日
  • 平日…… 日曜〜金曜、ただし火曜〜木曜の間にある祝日も平日となる。

ただし、この定義がそのまま「全国旅行支援(全国旅行割)」でも適用されるかどうかは確実ではありません。

2泊以上の旅行で平日と休日をまたぐ場合はどうなるかなども含め、公式発表を必ず確認してください。

全国旅行支援の予約や申請の仕方、利用方法は?

「全国旅行支援(全国旅行割)」を使った旅行の申し込みは、キャンペーンに参加する「じゃらん」「Yahoo!トラベル」「楽天トラベル」などの旅行予約サイト、各旅行会社、宿泊施設で申込める予定ですが、詳細についてはまだ発表されていません。

また、実施するか否かは各都道府県に委ねられていますし、実施内容や地域クーポンの取扱店なども都道府県ごとに異なります。

これらは全国旅行支援割の実施が正式に決定したあと、準備のできた都道府県から順次発表される見込みです。

旅行先を決める際には、その目的地の都道府県が出す実施情報を必ず確認することをおすすめします。

新しい全国旅行支援でどう変わるのか?

新しい全国旅行支援が開始されると、これまで実施されていた県民割からどう変わるか、比較してみましょう。

【全国旅行支援と県民割】※割引は1人当たり

全国旅行支援 県民割
実施期間 40%Off※ただし、交通付き宿泊は8,000円割引、それ以外は5,000円割引を上限とする。 50%Off※ただし、5,000円割引を上限とする。
地域クーポン 平日3,000円分、休日1,000円分 最大2,000円
補助額(割引+クーポン) 最大11,000円(交通付き宿泊の場合) 7,000円
補助対象 ・全国の都道府県からの旅行。ただし各都道府県からの申し出により支援対象から除外する場合もある。 ・県民の県内旅行と隣接都道府県からの旅行、地域ブロック内で同意した都道府県間の旅行に限る。

全国旅行支援の押さえておきたいポイント

全国旅行支援の特徴を理解すれば、よりお得に利用できます。

「Go Toトラベル」では割引上限が高かったため高級宿に予約が集中し、平日と休日の割引に差がなかったために休日に利用が集中してしまったという反省がありました。

これらの反省点を参考に設計された「全国旅行支援(全国旅行割)」では、次のような特徴が見られます。

交通事業者支援で交通付きの方がお得

飛行機、鉄道、バス、フェリーといった交通と宿泊がセットになった旅行プランの方が、宿泊だけの利用よりも割引上限額が高く設定されています。

その一方、交通チケットの単体購入や高速料金などは割引対象外となります。

平日利用推進で平日旅行の方がお得

平日利用を推進するため、地域クーポンの付与額は平日の方が高くなっています。

また、観光庁は平日の旅行需要の平準化と促進を促進するに取り組むため、観光関連事業者と連携し、「全国旅行支援(全国旅行割)」の開始にあわせて「平日にもう一泊」キャンペーンを実施するとしています。

対象エリアは全国に拡大される

「県民割」は住んでいる都道府県内と、住んでいる都道府県と同じブロック(全国を6ブロックに分割)にある都道府県への旅行が対象でした。

しかし、「全国旅行支援(全国旅行割)」は対象エリアが全国に拡大されますので、同じブロックではなくても利用が可能です。

ただし、新型コロナウイルスの感染状況をふまえ、「全国旅行支援(全国旅行割)」への参加を希望しない都道府県は支援対象から外れます。

計画している旅行の目的地が「全国旅行支援(全国旅行割)」の対象かどうか、必ず確認するようにしましょう。

割引率は引き下げられる

割引率は「県民割」の50%から40%に引き下げられます。

ただし、交通付き宿泊の場合は割引上限額が8,000円(県民割は一律5,000円)に引き上げられ、平日利用であれば地域クーポンが3,000円(県民割は最大2,000円)になりますので、利用のしかたを工夫すれば県民割よりお得に旅行ができます。

「全国旅行支援(全国旅行割)」についてのQ&A

地域クーポンはどこでもらえるのか?またその使い方は?

「全国旅行支援(全国旅行割)」の地域クーポンは、予約した旅行会社から受け取るか、宿泊施設にチェックインする際に受け取ることになります。
付与された地域クーポンは、旅行先の都道府県内の対象店舗、飲食店、観光施設で利用することができます。
くわしい使い方、対象店舗については、今後開設される各都道府県の「全国旅行支援(全国旅行割)」公式サイトなどで確認できるようになります。

子どもも割引対象になる?

現在実施している「県民割」の実施条件は、各都道府県の判断に委ねられていますが、子どもに費用が発生する場合は割引対象としている都道府県が多いようです。
「全国旅行支援(全国旅行割)」の子ども割引についても、各都道府県の判断となりますので、利用の際は目的地の都道府県に確認することをおすすめします。

すでに予約済みの旅行は割引対象になる?

すでに10月11日以降の旅行を予約済みの方は、自分の予約が割引対象になるか気になるところですが、現時点では未定となっています。
一部の旅行予約サイトでは、すで既に予約済みの旅行についても、利用条件に合致している場合は事後割引(あとから割引)を適用する仕組みを考えているようです。
しかし、正式な発表前で詳細は不明ですので、今後の観光庁、旅行会社、旅行予約サイトなどの発表を待つことをおすすめします。

なお、「全国旅行支援(全国旅行割)」に加え、政府の水際対策緩和により、今後外国人観光客の受け入れが拡大することが予想されており、予約が取りづらくなるのではないかという心配の声も聞こえてきます。
そこでひと足早く旅行の予約をしてしまおうと考えている方も多いようですが、先に予約したものが本当に全国旅行支援(全国旅行割)の対象となるかは、まだ正式に決まっていません。
キャンセルして新たに予約するにしても、キャンセル不可の商品であったり、キャンセル料がかかったりする場合がありますので、旅行計画は正式発表を待って慎重に計画しましょう。

これが新しいGo Toトラベルなの?

「全国旅行支援(全国旅行割)」は県民割の拡大版として行われるものです。
この「全国旅行支援(全国旅行割)」終了後に、現在中断している新「Go Toトラベル」が再開される見込みとなっています。

支援窓口、問い合わせ窓口は?

利用方法や問い合わせ先等詳細についてははこれから発表されます。
実施するかどうか、実施内容をどうするか、地域クーポンが利用できる店はどこかなど詳細については、都道府県によって異なることから、旅行先となる各都道府県が今後開設する専用サイトへアクセスして情報を得るようにしましょう。

まとめ

「Go Toトラベル」「県民割」に続く新たな観光需要喚起策が「全国旅行支援(全国旅行割)」です。

交通付き宿泊旅行プランの方が宿泊のみよりも利用上限額が引き上げられていたり、平日利用の方が地域クーポンの付与額が増えたりするので、その特徴を理解して最大限有効活用すれば、「県民割」よりさらにお得に旅行ができます。

まだ具体的な利用方法や対象の都道府県など未確定の部分がありますので、正式発表を待ちがなら旅行を計画しましょう。