福井県と言えば、自然が生み出した、荒々しい岸壁が特徴の東尋坊を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。北陸地方に位置する福井県は、日本海が育んだ海の幸や、冬にぴったりな温泉のある地域。冬には雪がしんしんと降り積もる福井県でおすすめしたい観光スポットを5ヶ所厳選して、その魅力や見どころとともに紹介します。

雪が生み出す銀世界!気比の松原

横に長いゾウの顔のような形をした福井県は、北側の「嶺北(れいほく)」と、南側の「嶺南(れいなん)」に分けられます。その嶺南にある敦賀(つるが)市は、敦賀湾に面した港町です。冬の福井県でも比較的穏やかな気候の敦賀市にある景勝地「気比(けひ)の松原」について紹介します。

気比の松原ってどんなところ?

敦賀湾に面した東西1.5㎞、約40ヘクタールの浜辺に、17,000本ものアカマツやクロマツが生い茂る気比の松原は、静岡県の「三保の松原」、佐賀県の「虹の松原」と並び、日本三大松原と称される景勝地です。その景観は、万葉集や日本書紀をはじめとする歴史的な文献や、高浜虚子、石塚友二などの俳句の中にも描かれました。
かつての気比の松原は、同市にある気比神宮の境内の一部でした。そのため、気比神宮の許可無しに、松を伐採することは禁止されていました。気比神宮の境内ではなくなった後は、県の管理下に置かれ整備されました。その結果、現在のような白砂青松の美しい景観が残ったと言われています。1923年には国の名勝に指定されました。
また、気比の松原には不思議な言い伝えが残っています。今から1300年以上昔の聖武天皇の時代、異国の船が敦賀に来襲しました。この時、一晩のうちに松林が現れて、気比神宮の神の遣いである白鷺が、松の頂上に多数とまりました。それがたくさんの旗指物に見えたことから、異国の船は恐れて逃げて行ったと言われています。そんな伝説に思いを馳せながら、周辺を散策してみてはいかがでしょう。

冬の気比の松原の魅力

夏には海水浴場がオープンし、花火大会やとうろう流しが行われることから、多くの観光客で賑わう気比の松原ですが、冬の景色は一変し、駿河湾の海は荒々しい波をたて、松原は雪化粧をまとい幻想的な雰囲気を漂わせます。
また、常緑樹の松が白い雪に覆われる姿は、豪雪地帯の福井県だからこそ見られる光景です。松原の中央には、海岸線に沿って道路が整備されているので、風情ある景観を眺めながら散策も楽しめます。雪深い冬の福井県は、他の季節と比べて観光客が少ないので、ゆったりと景色を眺めたい方にもおすすめです。

■住所:福井県敦賀市松島町

■電話番号:0770-22-8167(敦賀観光協会)
■アクセス:
小松空港より車で約1時間30分
JR敦賀駅より車で約10分

日本海の冬の旬を味わって!日本海さかな街

福井県のある北陸地方と言えば、おいしい海産物が味わえることでも有名です。「日本海さかな街」は、JR敦賀駅から車で10分ほどの場所にある大きな海鮮市場です。福井県の冬の味覚・越前ガニや、他県では考えられない意外な冬のグルメなど、福井県の食を堪能できる日本さかな街の魅力を紹介します。

日本海さかな街ってどんなところ?

JR敦賀駅から車で10分ほどの場所にある日本海さかな街は、敦賀港直送の魚介類や水産加工品、銘菓などを取り扱う40数店舗と、17の飲食店が軒を連ねる大型市場です。休日や年末年始には、敦賀港で水揚げされた新鮮な海産物を求め、多くの観光客が足を運びます。
日本海さかな街の魅力のひとつが、昔ながらの活気ある雰囲気。場内には、常に店員さんの威勢のいい掛け声が飛び交っています。どれを買うか迷っても大丈夫。店員さんが試食を出してくれたり、おいしい魚の特徴を教えてくれたりと、訪れる人のお買い物を全力でサポートしてくれます。
リーズナブルな価格でお買い物をしたい人は、午後が狙い目です。特に夕方は、半額以上に値引きしてくれたり、豪華なおまけをつけてくれたりするお店が増えてきます。店の人との値段交渉は普段の生活ではあまり経験できることではないので、この機会にぜひ値段交渉にチャレンジしてみてください。街中のスーパーではなかなか感じられない活気と気さくさが、日本海さかな街に観光客が絶えない秘訣なのかもしれません。

福井県の冬に欠かせない!おすすめ商品

冬の福井県で欠かせないのがカニです。11月から3月には、越前ガニが旬を迎えます。日本海さかな街で越前ガニを買うなら、「甲羅亭」がおすすめです。店員さんに声をかけると、おいしい越前ガニの見分け方や、食べ方を教えてくれます。配送もできるので、お歳暮にもぴったりです。
また、越前ガニと並び冬の福井県で欠かせないのが、水ようかんです。水ようかんと言うと夏のイメージがありますが、福井県では寒い冬にこたつに入って食べるのが習慣になっているそうです。福井県の水ようかんは水分が多く、口当たりがなめらかでつるっと食べられるのが特徴です。日本海さかな街にあるお菓子屋さんでも、水ようかんを販売しています。お店ごとに味が違うので、食べ比べを楽しんでみてはいかがでしょう。

■住所:福井県敦賀市若葉町1-1531

■電話番号:0770-24-3800
■営業時間:
1月~6月・9月・10月 10:00~17:30
7月・8月・11月・12月 10:00~18:00
■アクセス:
小松空港より車で約1時間20分
JR粟野駅より車で約10分

厳かな修行の場!永平寺

日本に訪れる外国人観光客は年々増加しています。そんな外国人観光客向けに、日本の観光地を紹介するガイドブック「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」には、富士山や白川郷など、世界遺産にも登録されているスポットとともに、福井県にある「永平寺」も掲載されています。永平寺とは、一体どのような場所なのでしょうか。

永平寺ってどんなところ?

山中に佇む曹洞宗の大本山・永平寺は、曹洞宗の開祖である道元が、1244年に開いた坐禅修行の道場です。永平寺の修行は禅宗の中で最も厳しいと言われていますが、開創から800年近く経った今でも、「雲水」と呼ばれる修行僧が日々修行に励んでいます。
永平寺の年間参拝客数は50万人超。日本の観光地を紹介する、外国人観光客向けのガイドブック「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」に掲載されたことから、海外からも多くの観光客が訪れるようになりました。最近では、一般の人向けに開催している1泊2日の修行体験に、自分と向き合いたいという思いを持つ人が多数参加するそうです。このほか、時間のない人でも参加できる、坐禅や写経体験も行っています。

厳かな雰囲気!永平寺の魅力

永平寺_天井画_福井
永平寺で参拝客をまず出迎えるのが、樹齢500年から700年と言われる老木たちです。冬は雪に覆われ、他の季節よりも静かで、ピリッとした冷たい空気が身を引き締めます。参拝入口で拝観チケットを購入して、いざ参拝スタート!
永平寺には、修行には欠かせない7つのお堂「七堂伽藍」など、70を超える建物があります。厳かな雰囲気が漂う七堂伽藍は定番の観光スポットですが、併せて見ておきたいのが、入口近くにある「傘松閣」です。1階は研修や宿泊のための部屋ですが、2階には大広間があり、その天井には昭和初期に活躍した日本画家が描いた、230枚の絵が埋め込まれています。230枚のうちほとんどが花鳥風月を描いていますが、中にはリスや鯉、唐辛子を描いたものが隠されているので、よく見てみてください。どれも美しく、時間を忘れて見とれてしまいます。
永平寺をお参りする際には、いくつかの決まり事があります。雲水に向けてカメラを向けてはいけない、見学する時は順路の左側を歩く、などです。事前に案内されますが、永平寺は雲水が厳しい修行をする場なので、ルールを守り、心を整えて静かにお参りしましょう。

■住所:福井県吉田郡永平寺町志比5-15

■電話番号:0776-63-3102
■営業時間:季節によって異なる
■アクセス:
小松空港より車で約1時間
えちぜん鉄道勝山永平寺線永平寺口駅より車・バスで約10分
JR福井駅より直行バスあり

寒い冬にぴったり!芦原温泉

寒い冬に旅行に行くなら、温泉は外せません。福井県の最北端・あわら市にある「芦原(あわら)温泉」は、県内有数の人気の温泉地です。古くから「関西の奥座敷」として親しまれた芦原温泉の魅力や、おすすめの宿「つるや」について紹介します。

芦原温泉ってどんなところ?

芦原温泉は、福井県の最北端・あわら市にあります。芦原温泉が発見されたのは1883年。農地の灌漑工事を行っている最中に、偶然塩味のする温泉が湧き出ました。温泉街が形成されたのは、庶民の間でも旅行が流行した大正時代から昭和初期にかけてのことでした。電車の開通もあり、昭和初期には福井県屈指の人気を誇る温泉地になりました。
かつての芦原温泉は別名「関西の奥座敷」として親しまれたほか、永平寺の精進落としの湯としても知られていました。現在は30軒ほどの温泉宿が立ち並んでいます。温泉宿それぞれが自前の源泉をいくつか持っていて、宿によってお湯の触り心地や、成分が異なるのは芦原温泉ならではのこと。
また、芦原温泉は田園の中にあり、四季の移ろいを感じられる風情ある景観も芦原温泉の魅力のひとつになっています。東尋坊など福井県の定番観光スポットからも近いので、福井旅行の拠点として宿泊するのもおすすめです。

芦原温泉でおすすめの宿「つるや」

芦原温泉でおすすめの「つるや」は、えちぜん鉄道三国芦原線のあわら湯のまち駅から、歩いて5分とアクセス抜群の温泉宿です。つるやの創業は、芦原温泉が発見された翌年の1884年という老舗の温泉宿で、現代風の大型ホテルではなく、風情あるレトロな雰囲気が人気です。
客室は全23室。一室一室趣が異なり、特に本館の客室は、茶室や料亭風のわびさびをモチーフにした落ち着いた造りになっています。自慢の温泉は3つの自家源泉からひいたもので、加水や加温をしていない源泉かけ流しです。内湯や露天風呂のほか、貸切り風呂もあるので、家族や恋人と、プライベートなひと時が過ごせます。芦原温泉の良さがギュッと詰まった温泉宿をお楽しみください。
また、11月から3月までは、越前ガニをメインとした懐石料理が登場します。福井県の冬の味覚が存分に味わえると評判です。落ち着きのある大人なステイを楽しみたい方は、つるやに宿泊してみてはいかがでしょう。

■住所:福井県あわら市

■電話番号:0776-78-6760(あわら市観光協会)
■アクセス:小松空港より車で約40分

銀世界を照らす優しい灯り!越前おおの冬物語

福井県の天空の城越前大野城
福井県の東部に位置する大野市は、福井県の面積の5分の1を占める大きな市です。中心部にある「越前大野城」は、別名「天空の城」と呼ばれ、雲海に囲まれた姿が幻想的だとメディアで話題になりました。そんな大野市で冬に行われるイベントが、「越前おおの冬物語」です。

越前おおの冬物語ってどんなイベント?

越前おおの冬物語は、寒い時期の早朝に雲海に包まれた姿が幻想的だと話題となった越前大野城の城下町として栄えた大野市の七間通り周辺で、2月上旬に行われるイベントで、例年、2日間にわたって開催されます。
越前おおの冬物語の1日目は夕方から開催されます。七間通りには雪でつくられた雪とうろうが、周辺の通りには雪のモニュメントが立ち並びます。日が落ちてくると、雪とうろうに明かりが灯り、辺り一帯が暖かな明かりで照らされます。大野市は、市全域が特別豪雪地帯に指定されています。雪で覆われた大野市が、優しいオレンジ色の光で照らされる姿をお見逃しなく!
2日目は、「七間朝市」や甘酒のふるまいが行われます。七間朝市は、大野市で春分の日から大晦日まで開催されている観光名物です。その歴史は長く、今から400年前から行われているそうで、地元の人々との会話を楽しみながら、採れたての野菜をゲットしましょう。

越前おおの冬物語の見どころ

越前おおの冬物語の最大の見どころは、初日に行われる花火の打ち上げです。越前大野城をバックに、色とりどりの花火が打ち上げられます。冬は空気が澄んでいるので、夏よりの花火より綺麗に見えます。六間通りにある観光拠点「越前おおの結ステーション」には、コーンスプなどの温かい飲み物や、たこ焼き、串焼きなど、お祭り気分が味わえる屋台が出店します。花火観覧のお供にいかがでしょう。
雪が降り積もる冬の大野市は、当然気温も下がります。花火が打ち上げられる時間帯は特に冷え込むので、防寒対策をしっかりして足を運びましょう。また、街中を循環するバスが増便されているので、雪道の運転が苦手な方はこちらを利用してください。現金でバスに乗車した方は、無料乗車券が1枚もらえてお得です。

■住所:福井県大野市 越前大野城周辺

■電話番号:0779-65-5521(越前おおの冬物語実行委員会)
■アクセス:
小松空港より車で約1時間
JR越前大野駅より徒歩約20分

雪の美しい冬の福井県で心あたたまる旅を

至る所が美しく雪化粧する冬の福井県。日本海の荒々しい姿、雪が積もり厳かな雰囲気が増す寺院、雪を愛でながら入る温泉、冬の澄んだ夜空に打ち上げられる花火など、他の季節とは違った、美しい表情を見せてくれます。また、越前ガニや地域の名産水ようかんなど、おいしいグルメも満載です。今年の冬、どこに行くか決まっていない方は、冬の魅力あふれる福井県へ足を運んでみてはいかがでしょう。