飛行機

航空券を予約したあとで、やむを得ず予定を変更しなければならなくなったら、出発までに航空券のキャンセルをしなくてはなりません。しかし、キャンセル手続きの期限や、キャンセル料の有無は、航空会社や航空券の種類によって異なります。航空券をキャンセルするに当たり、いつまでに手続きをすればいいのか、キャンセル料はかかるのかなど、航空券のキャンセル手続きについて調べました。

飛行機のキャンセル料は2種類ある

予約済の航空券をキャンセルする場合、キャンセル料という名目で発生する手数料は2種類あります。それは「払戻手数料」と「取消手数料」といいます。それぞれの手数料についてみていきましょう。

払戻手数料とは

払戻手数料は、支払い済みの航空券の代金を返金してもらうために必要な事務手数料です。払戻対応が可能なJAL、ANAなどのレガシーキャリアでは、500円程度の払戻手数料を設定しています。
ANAの場合、払払い戻しの際、航空券・料金券1枚(1区間)につき440円です。手数料は1区間あたりで発生するため、往復の便をキャンセルするなら880円となります。また、乗り継ぎなどで複数の区間をキャンセルする場合は、区間に応じた払戻手数料がかかります。
キャンセル可能なLCC航空券の場合、払戻手数料はレガシーキャリアより高く設定されており、数千円程度かかることもあります。

取消手数料とは

取消手数料は、航空券の取消に関して発生する手数料で、支払った額の何割かを徴収されます。取消手数料の額は航空券の種別や各航空会社の規定によって異なるので、予約の際に確認しておきましょう。同じ航空会社のチケットであっても、安いチケットほど取消手数料は高額になります。

たとえば、JALの早期購入割引に当たる「先得」シリーズの航空券の取消手数料は、以下のようになっています。

ウルトラ先得、スーパー先得、先得割引タイプA/Bの場合
出発の55日前まで 無料
出発の54日前から出発前 運賃の50%相当(払戻手数料を含む)
予約便出発後 運賃の90%相当(払戻手数料を含む)

このように、出発日が近付くにつれて取消手数料は上がっていきます。飛行機が出発したあとは、ほぼ全額に近いキャンセル料がかかることもあります。

航空券のキャンセル料は取消手数料がポイント

レガシーキャリアをはじめ、払戻し可能な航空券であれば、キャンセルしてもほとんどの場合返金されます。返金額は、購入金額から払戻手数料と取消手数料を差し引いたものになります。

払戻手数料はレガシーキャリアなら一律500円程度なので、注意しておかなければならないのは取消手数料になります。普通運賃の場合は出発直前まで取消手数料がかからない航空会社が多いですが、格安航空券の場合は出発日までの日数で金額が変わってきます。安く購入できる分、キャンセルすると取消手数料が高くなるため、予約の際は注意が必要です。

飛行機のキャンセル料はいつからかかる?

飛行機のキャンセル料はいつからかかる?

飛行機のキャンセル料が発生するタイミングは、航空券の代金を支払ってからになります。予約しただけで代金を支払っていなければ、予約を取り消しても一切手数料は発生しません。では、代金を支払ったあとキャンセルした場合はどうなるのでしょうか。それぞれのタイミングでキャンセル料がどう変化するかを見ていきましょう。

出発前日までのキャンセル

航空券を購入してから出発前日までのキャンセルは、出発日までの日数に応じたキャンセル料がかかります。ポイントとなるのは「航空券が定価に近い料金か」「出発までの日にちがどれくらいあるか」です。
定価で航空券を購入した場合、JALとANAは出発前なら取消手数料がかからないので、キャンセル料は払戻手数料の430円のみです。
しかし、普通運賃より安い航空券の場合は、出発までの日数によって払戻手数料に加えて取消手数料が発生します。JALとANAの早期購入割引の出発前キャンセル料は以下の通りです。

JAL:先得シリーズの場合
航空券購入後~搭乗日55日前 払戻手数料の430円のみ
搭乗日54日前~出発前 運賃の50%相当額
ANA:SUPER VALUEシリーズの場合
航空券購入後~搭乗日55日前 払戻手数料の430円のみ
搭乗日54日前~搭乗日45日前 運賃の約30%相当額
搭乗日44日前~搭乗日28日前 運賃の約40%相当額
搭乗日27日前~搭乗日14日前 運賃の約50%相当額
搭乗日13日前~出発時刻前 運賃の約60%相当額

出発当日のキャンセル

出発当日にやむを得ない理由でキャンセルしなくてはならなかった場合、キャンセル料が高額になると思われがちですが、航空券に関しては「出発日」ではなく「出発時刻」が基準になるため、当日であっても出発時刻前であればキャンセル料は前日までと変わりません。

JALとANAの場合、出発時刻を過ぎてしまうと普通運賃でもキャンセル料が発生します。JALは出発前のキャンセル料は一律のためANAより割高ですが、出発後のキャンセル料はANAより割安になることがあります。

出発時刻後のキャンセル:JALの場合
普通運賃(普通席) 路線区分によって2000円~8000円
ウルトラ先得/スーパー先得 運賃の90%相当額
出発時刻後のキャンセル:ANAの場合
普通運賃(ANA FLEX) 運賃の約20%相当額
ANA SUPER VALUE 運賃額の100%(旅客施設使用料のみ返却)

割安な早期購入割引の航空券を利用した場合、JALやANAでも出発時刻後のキャンセルはほぼ全額返金不可になります。航空券の当日キャンセルは、できるだけ出発時刻前に行いましょう。

LCCはキャンセルできる?

格安運賃が魅力のLCCは、基本的にキャンセル不可です。ただし、通常よりも割高な運賃タイプを選ぶと、一定の手数料を支払うことでキャンセルが可能な航空会社もあります。

【Peach】
シンプルピーチ キャンセル不可
バリューピーチ 取消手数料1,080円でキャンセル可能
プライムピーチ 取消手数料不要でキャンセル可能

※航空券から取消手数料を差し引いた額がPeachポイントで返ってきます。

【Vanilla Air】
わくわくバニラ キャンセル不可
シンプルバニラ キャンセル不可
コミコミバニラ 取消手数料3,000円でキャンセル可能
【ジェットスター】
Starter キャンセル不可
Starter Plus キャンセル不可
Starter Max 取消手数料3,090円でキャンセル可能

このように、LCC各社は運賃タイプによってキャンセルができないケースがあります。LCCを利用する場合、キャンセルが可能な運賃タイプかどうか確認してから購入しましょう。

病気や怪我、身内の不幸の場合のキャンセルは?

病気や怪我、身内の不幸の場合のキャンセルは?

病気や怪我、身内の不幸など、どうしてもキャンセルせざるを得ない事情があった場合は、通常のキャンセルとは異なる対応をしてくれる航空会社がほとんどです。多くの場合、キャンセル料なしで返金が受けられます。キャンセル理由を証明する書類などが必要になることがあり、まずはキャンセルする旨を早めに航空会社に連絡することが大切です。

病気や怪我の場合

病気や怪我でのキャンセルには、医師による診断書の提出が必要になります。レガシーキャリアは、診断書があればキャンセル料なしで払戻してくれます。また、ANAとJAL、スカイマークの場合は出発予定日から30日以内の便に手数料なしで変更が可能です。
ただし、診断書を病院で書いてもらうための費用は自己負担となります。診断書を医師に書いてもらうためには診察料や文書作成費などが必要になり、数千円から1万円程度かかることもあります。そのため、航空券の種別やキャンセルまでの期間によっては、通常のキャンセル手続きの方がお得なこともあります。

身内の不幸の場合

身内の不幸によるキャンセルは、死亡診断書の提出を求められます。死亡診断書は病院から発行されるもので、航空会社に提出するのはコピーで構いません。病気や怪我の場合と同様、キャンセル料なしでの返金や、一定期間内の振替が受けられます。

万が一のトラブルで搭乗できなくなった場合いつまでに手続したらいいの?

病気や怪我、身内の不幸は予測できないトラブルです。各航空会社とも、キャンセルに関する書類の提出などの手続きは後日で大丈夫ですが、キャンセルの連絡はできるだけ搭乗便の出発前に行いましょう。キャンセルの連絡が出発後になってしまった場合、特別な事情でのキャンセルが認められず、キャンセル料が高額になる可能性があります。

万が一のトラブルで搭乗できなくなった場合のLCCの対応は?

レガシーキャリアと異なり、LCCは怪我や病気、身内の不幸が原因でも、キャンセルできない場合があります。代表的なLCCであるPeach、ジェットスター、バニラエアの3社の対応を見てみましょう。

【Peachの場合】

Peachでは、通常運賃のチケットはいかなる理由でキャンセルしても返金してもらえません。また、オプション運賃のバリューピーチ、プライムピーチの場合、キャンセルは可能ですが、返金は現金ではなく、ポイントで返されます。
Peachは、万が一のトラブルに備え「Peachチケットガード」という保険を用意しています。病気や怪我、身内の不幸はもちろん、突然の出張などによってキャンセルしなくてはならなかった場合に、航空券代金が補償されます。Peachチケットガードの費用は航空券の料金によって変わりますが、旅行代金 が5,000円 であれば保険料は570円となっています。
当日の急なキャンセルでも航空券代が保険金として返ってくるので、Peachを利用する際は加入しておくと安心です。

【ジェットスターの場合】

ジェットスターは、公式WEBサイトのお問い合わせページの「特別な事由による予約変更」からキャンセル手続きができます。ライブチャットでリアルタイムの問い合わせができるので、スムーズに手続きできます。申し込みの際は、レガシーキャリアと同様に診断書や死亡診断書が必要になりますが、審査が完了すればキャンセル料不要で返金を受けられます。

【バニラエアの場合】

バニラエアでは、通常のキャンセルと同様、病気や怪我の場合であってもわくわくバニラとシンプルバニラはキャンセルできません。医師による診断書に旅行再開可能日の記載があった場合のみ、再開可能日から2週間以内に空席があれば、運賃タイプに関わらず同区間の振替が可能になります。しかし、旅行再開可能日から2週間以内の振替が可能とはいえ、現実的にはスケジュール調整などの関係で実施するのは難しいでしょう。バニラエアではコミコミバニラ以外のチケットは、どんな理由でキャンセルしても返金されないと思っておいた方がいいでしょう。

飛行機のキャンセル手続きの流れや返金などはどうしたらいい?

飛行機のキャンセル手続きの流れや返金などはどうしたらいい?

搭乗者の事情によるキャンセルが必要になった場合、キャンセルが決まった段階で速やかに手続きを行いましょう。キャンセル手続きの方法は、電話、インターネット、窓口の3つです。

飛行機のキャンセル手続きの流れ

電話でキャンセルする

キャンセル手続きの中でも、電話での手続きは最も手軽です。航空会社の予約センターに電話して、キャンセルする旨を伝えます。スムーズに手続きができるように、住所氏名のほか、搭乗日と便名、予約番号を事前に手元に用意しておきましょう。

インターネットでキャンセルする

航空会社のホームページにある「予約確認・変更・取消」のページから、キャンセルの手続きが行えます。必要事項を自分で入力する手間はありますが、24時間いつでも手続きができるのがメリットです。メールでのキャンセルは確実にメールが届かない場合があり、トラブルにつながるので避けましょう。インターネットから手続きする際は、ホームページ上の予約取消フォームなど、所定の手続き方法を守って申し込んで下さい。

窓口でキャンセルする

一般的に、航空券のキャンセル手続きは電話やインターネットで済ませるケースがほとんどですが、当日の急なトラブルなどの場合、窓口でもキャンセル手続きは可能です。ただし、航空券のキャンセルは早ければ早いほどお得になるので、空港到着してからキャンセルしなければならなくなった場合を除き、電話やインターネットで手続きすることをおすすめします。

キャンセル時の返金手続きはどうなる?

航空券の代金が返金される場合、原則として支払った時と同じ方法で返金されます。クレジットカード払いであれば、カード会社経由で返金されます。現金払いなら、窓口での返金や、銀行口座への振り込みで返金されます。

返金処理が完了するまでの期間は航空会社によって異なりますが、現金での払戻しが最も早いというのが一般的です。現金での払戻しの場合は1週間から2週間程度、クレジットカードの場合は1ヶ月から2ヶ月程度かかるようです。

キャンセルの可能性がある予約は要注意!

航空券のキャンセルは、割引や出発日までの日数など、条件によって異なります。キャンセルの可能性がわずかでもあれば、予約する際にキャンセルしやすい航空券を購入することをおすすめします。
運賃が割安なことで人気のLCCは、キャンセル条件が非常に細かく、運賃タイプによってはキャンセルができません。また、JALやANAといった大手航空会社でも、早期購入割引チケットは普通運賃よりかなり高額なキャンセル料がかかります。

キャンセル料を大まかにまとめると次のようになります。

大手航空会社の普通運賃 出発前までは数百円の払戻手数料のみでキャンセル可能
大手航空会社の早期購入割引 出発までの期間によってキャンセル料が変動
LCCのオプション運賃 オプション料金をプラスした運賃タイプを選べばキャンセル可能
LCCの最安運賃 いかなる場合もキャンセル不可

このように、最もキャンセル料がかからないのは大手航空会社の普通運賃です。反対に、LCCの最安運賃の場合はほとんどキャンセルできないので注意しましょう。

航空券のキャンセルはできるだけ早めにしよう

航空券のキャンセルは、出発時刻に近付くほどキャンセル料が高くなっていきます。万が一キャンセルが出発後になると、大手航空会社でもほぼ全額に近いキャンセル料がかかってしまいます。航空券のキャンセルは、なるべく早めに手続きしましょう。また、予約の際もキャンセルの可能性を考えた航空券選びが大切です。